九州地区眼鏡チェーン 若年層集客施策
本提案書は、老舗眼鏡店ビジョンパートナー天神店が中高年層中心の集客基盤を維持しながら、若年層、特に16~25歳の学生層を新たな顧客として取り込むための考え方と方向性を示したものです。
市場動向や競合分析を踏まえ、若年層に「レンズ選びの大切さ」というビジョンパートナーの信念をどう伝えるかを軸に、学割プログラム・親子割引・音楽やカフェとのタイアップイベントなど、地道かつ話題性のある仕組みを組み合わせた戦略を提案しています。当時はWEB広告やSNS展開が盛隆ではなかったので入れていません。現在は若者向け提案には外せない要素ですが、基礎的な組み立て方を理解していただくために、あえてそのまま提示いたします。
ターゲット層の興味(音楽・ファッション・デザインなど)に合わせたコラボ施策の発想や、既存顧客(親世代)を媒介とした紹介モデルなど、長期的なファン化を見据えた設計がポイントです。
このような「若年層開拓」企画を立案する際は、
● 既存顧客との信頼関係を活かせる仕掛け
●ターゲット層の生活や関心領域を具体的に言語化して施策に反映する視点
●店舗の“らしさ”やブランド価値観をどう翻訳して伝えるか
を意識することが大切です。
以下、オリエンの要点と提案の骨子について整理します。
<依頼主が抱えていた課題・オリエン内容>
中高年層に強いブランドだが、若年層(特に学生層)の集客が弱い
店構え・商品ラインナップ・接客などが若年層を受け入れる構えになっていない
WEBサイトなどの情報発信も若年層向けの打ち出しが弱く、検索経由の流入機会を逃している
競合(ZoffやALOOKなど)が低価格・デザイン性・キャラクター訴求などで若年層に浸透しつつある
特にWEBプロモーションやメディア施策で先行しているため、差別化が必要
「メガネはレンズ選びが大事」というビジョンパートナーの信念を若年層にも浸透させたい
単なるファッションアイテムではなく、正しい視力ケアの重要性を理解し、長期的な顧客化を図りたい
天神地区の駅ビル再開発などにより人の流れが変わるタイミングをチャンスにしたい
<提案のポイント>
ターゲット設定の明確化
若年層の中でも「16歳〜25歳の学生層」に特化
音楽・ファッション・デザイン・友達・携帯など、彼らの関心ワードを施策に反映
既存の強みを活かした仕組みづくり
「ティーンズクラブ」「カレッジクラブ」の会員制プログラムで学割と長期関係構築
カスタマイズプランで既存顧客の満足度向上とファッションニーズ対応
親世代との信頼関係を媒介にした「親子割引キャンペーン」
既存のシニア層顧客を通じて、若年層への紹介促進
若年層の関心に合わせた新しいチャレンジ施策
天神FMとのタイアップイベント(インディーズライブ)
人気カフェとの異業種コラボ
新メディア「リドロック」など話題性のある体験型プロモーション
雑誌スタイリストとのコーディネート提案イベント
SWOT分析に基づく方向性の整理
強みを活かしつつ、弱点であるデザイン性・低価格帯の不足を補う
若年層の取り込みは「学生層」に集中して、地道にファンを増やす
ブランドの根本価値観を再翻訳
「メガネは人からどう見られるかだけでなく、自分がどう見えるかが大切」というコアメッセージを、若年層にも響く形で伝える
👉 本記事は「企画が通る構造」を分解して解説しています。
同じ構造はテンプレートとして再現可能です。
→つまり、同じレベルの企画を再現できます。
この事例は
「世代開拓型(既存の主力顧客を維持しながら、新しい年代層へブランド価値を翻訳して広げていく企画)」の企画です。
(※企業名や商品/サービス名は 守秘義務により仮称としております)
(※他の企画事例はこちらの一覧ガイドを参照ください)
1. 提案の背景と市場分析
市場動向の確認
本提案は2008年8月、広告代理店によって株式会社ビジョンパートナー天神店向けに作成されました。眼鏡市場の現状分析によると、一世帯あたりの眼鏡年間支出額は8,464円で、平成13-14年の新業態台頭時から徐々に回復傾向にあります。
世代別の支出傾向を見ると、40歳以上では20・30代の2倍以上の支出があり、特に40-49歳の層でメガネ支出が急増しています。これは遠近両用眼鏡や老眼鏡などの需要増加を示唆しています。
人口動態と需要予測
2015年前後には団塊ジュニア世代が40歳を迎え、65歳以上の高齢者と合わせて中高年を主力とした需要の大幅な増加が期待されます。福岡県でも同様の傾向が見られ、中高年層を主要ターゲットとした戦略の重要性が確認されています。
季節傾向と消費特性
統計調査では、新入学・就職で新調する3月と夏休み後の9月に需要のピークが見られます。メガネ市場は横浜の浜銀総合研究所の分析によると、「買い回り品」から「最寄り品」へ、「実用品(必需品)」から「ファッション性(嗜好品)」へと変化しており、若年層にとってはファッションアイテムとしての側面が強まっています。
2. 競合分析と課題の特定
同業他社のWEBサイト・販促物分析
競合他社(Zoff、ALOOK、Coolens、眼鏡市場、武田メガネ)の分析から、以下の特徴が確認されました:
Zoff: デザイン性とキャラクター訴求、低価格帯(5,250円~)の明確な表示
ALOOK: 配色とデザインの工夫、品揃えの鮮度アピール
Coolens: コンセプトの明快な提示
眼鏡市場: 大物タレント起用とワンプライス戦略
各社ともWEBサイトに重要な役割を持たせ、従来型のチラシ展開を縮小している傾向が見られました。
ビジョンパートナー天神店の課題
WEBサイト分析から、若年層向けのショップとして直感的に認識されにくく、検索で訪れる訪問者に対して機会損失を招いている可能性が指摘されました。主な課題は:
若年層を受け入れる構えがない(店構え、商品ラインナップ、接客要員)
若年層を呼び込む施策がない(ターゲットを絞り込んだ展開の不在)
3. ターゲット設定と戦略方向性
ターゲットの明確化
提案では、若年層(16歳~25歳)の中でも特に「真剣に自分の目を大事にしたいと考えている層」、具体的には学生層を主要ターゲットとして設定しています。これは、ビジョンパートナーの「メガネ選びにはレンズ選びがまず大切である」というポリシーに共感し、支持する受容態度のある層を対象とする戦略です。
若年層のキーワード
ターゲット層の関心事として、以下の5つの要素が抽出されました:
音楽
ファッション
デザイン
友達
携帯
4. 具体的施策の提案
提案された施策は、大きく2つのアプローチに分類されます:
A. ビジョンパートナーの変わらぬ主張を取り入れた施策
1. 学生向けプログラム「ティーンズクラブ/カレッジクラブ」
既存のキッズクラブの延長モデルとして、中高生向け「ティーンズクラブ」、大学生向け「カレッジクラブ」を設立。学割適用により「学生の強い味方=ビジョンパートナー」のポジショニングを確立し、感受性の強い時期からビジョンパートナーの考え方を伝え、生涯のファン・絆づくりを目指します。
2. カスタマイズプラン(学割対象)
「レンズそのままフレームを替えてイメチェン」をコンセプトに、既存メガネのカスタマイズサービスを提供。ビジョンパートナーの高度な技術力を活かし、スポーツ対応や破損部品の交換、デザイン性向上などのニーズに対応します。
3. 顧客内プロモーション「親子特別割引キャンペーン」
携帯電話の「家族割」をモデルに、信頼を得ているシニア層(親)を媒介として子供(孫)への拡販を狙います。小切手タイプまたはパスポート型の割引クーポンを活用し、親子間のコミュニケーションを促進します。
B. 新しい発想を取り入れたチャレンジ施策
4. メディアタイアップ・イベント「天神FMコラボレーション」
天神FMと連携し、週末限定で若者向けミニライブ「インディーズウィークエンド・コンサート」を開催。ビジョンパートナー天神店を音楽関連情報の発信基地として位置づけます。
5. 異業種タイアップ「カフェ体験キャンペーン」
九州・福岡の人気カフェサイトと連携し、「ワイ・プラス」商品の体験キャンペーンを実施。店頭での試着者にカフェチケットをプレゼントし、カフェでは期間限定で商品展示とお試し会を開催します。
6. 新しいプロモーション・メディア「リドロック」
日本初上陸のミュージックエンターテイメントツール「リドロック」を活用。CD-ROMやDVD-ROMを載せたドリンクカップを九州エリアのファストフード店やシネコンで配布し、話題性を創出します。
7. プレゼント・キャンペーン「願いをカナエル・キャンペーン」
東ハトのキャラメルコーン季節商品「カナエルコーン」を活用し、受験・恋愛・新年などのシーズンに展開。来店プレゼントやお試しプレゼントとして、口コミを誘発する話題のシーズナル商品を使用します。
8. 複合メディアコラボ「スタイリストイベント」
雑誌の人気スタイリストによる「秋冬コーディネート術」を店頭ディスプレイとイベントで展開。「ワイ・プラス」を中心としたファッションコーディネートを提案し、天神FMやフリーペーパーEPとのクロスメディア展開で話題の広がりを狙います。
5. SWOT分析と戦略的方向性
現状分析(SWOT)
強み(S): 老舗の信頼、ビジョンケアのコンセプト、技術力、良質なシニア層顧客、九州160店以上の規模
弱み(W): 若年層離れ、店舗自体の高齢化、低価格帯不在
機会(O): 駅ビル再開発による新しい顧客の流れ、シニア層向けポジションの確立機会
脅威(T): 天神地区流通再編による市場環境変化、競合他社の攻勢
戦略立案
SWOT分析に基づく戦略として:
強みを活かす戦略: 技術力を活かした若年層向け新サービス、世代を超えて継承できるサービス
弱みを克服する戦略: 競合に負けない品揃え、デザインセンスのあるオリジナル商品開発、若者受けする店舗内外装
6. 今後の方向性
ターゲットの主軸はシニア層を維持: 市場分析から40歳以上の中高年需要が今後さらに活況を呈すると予測
若年層対策は学生に特化: 「メガネはレンズで選ぶ」という主張に共感する受容態度のある学生層を対象
地道な活動の重要性: 派手さはなくとも、対象層に丁寧に取り組むことが貴社の取るべき戦略
「それは、よく見えるメガネですか。それとも、人から良くみられたいためのメガネですか。」というコピーに象徴されるように、ビジョンパートナーの「メガネはレンズで選ぶもの」という不変の価値観を、若年層にも誤解なくわかりやすく翻訳して伝え、共感者を増やしていくことが重要であると結論づけています。
▶︎ この企画の「型」を再現するには
この企画がうまくいっている理由は、
既存顧客を捨てずに、新規ターゲットだけを明確に切り出しているからです。
多くの集客施策では、
若者向けに全面リニューアルする
トレンドに寄せすぎる
既存客とのズレが起こる
という失敗が起きがちです。
しかしこの企画では、
中高年層という既存基盤を守りながら、
16〜25歳の学生層に限定
将来顧客化しやすい層を選定
ブランド思想に共感しやすい層へ絞る
という非常に戦略的な設計になっています。
ここが秀逸です。
さらに、若年層に合わせて
単に価格訴求をするのではなく、
学割プログラム
親子割引
カスタマイズ需要対応
音楽・カフェ・ファッションとの接点づくり
店頭イベントによる体験機会創出
など、生活文脈に合わせて接点を設計しています。
つまり、
商品を売る前に、若者の日常の中へブランドを入れている。
これが成果につながる構造です。
また、この企画の本質は
ブランド価値の“翻訳”にもあります。
「メガネはレンズ選びが大切」
という本来の強みを、
目を大事にしたい学生
長時間スマホを見る若者
勉強・就活・ファッションを両立したい層
へ向けて再解釈しています。
ブランドの芯は変えず、
伝え方だけ変える。
これはあらゆる老舗企業に有効な考え方です。
たとえば、
老舗飲食店の若年層開拓
地域百貨店のZ世代集客
専門店の新規年代獲得
シニアブランドの次世代化
地場企業の若返り施策
にも応用できます。
考え方の順番はシンプルです。
今の主力顧客を守る
次に取るべき世代を一つ決める
その世代の生活関心を洗い出す
自社の価値をその世代向けに翻訳する
継続接点を作る
この流れで企画すると、
無理なく顧客層を広げられます。
ただ、この構造を毎回ゼロから考えるのは簡単ではありません。
この型は他の事例でも繰り返し使われており、
成果が出ているパターンです。
👉 この構造はテンプレートとして再現できます。
👉(=ゼロから考えなくてよくなります)
実務でそのまま使えるように設計しているので、
空欄を埋めるだけで、
課題・インサイト・施策が一本につながる企画が組み上がります。
※同じ構造で企画を作りたい方はこちら ☟
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございますこの記事は noteマネー にピックアップされました

