きもの専門チェーン店・プロモーション企画
呉服チェーン最大手の一つであった「きもの工房 “HAGOROMO”」は、きもの文化の担い手として全国に店舗を展開し、振袖や訪問着などの和装全般を扱う和装専門小売業として知られていました。そのビジネススタイルは、単なる物販にとどまらず、人生の節目に寄り添う“きもののある暮らし”を提案するイベント販売・接客型リレーションシップを特徴としていました。
大量集客やセールに頼るのではなく、「HAGOROMOの客で良かった」と顧客に実感される体験の創出を目指し、一人ひとりの顧客と長期的に関係性を築くCRM的視点を大胆に導入。店舗、セールスプロモーション、広告の“三位一体”で、ロイヤル顧客・ファン・スリーピング層といった多層的な顧客に向けて最適な接点設計を行いました。
また本企画では、「うれしい出会い」をテーマに、和装が四季・人生・自己発見と結びつく場面をデザインし、店舗イベント・ポイントカード制度・年間販促カレンダーなどを体系化。近年では、こうした施策にLINE公式アカウントやInstagramなど、現代のデジタル施策も部分的に組み込むことで、関係性の深度と持続性をさらに高める形へと進化させています。
本記事では、HAGOROMOの営業戦略「Your Relationship, Our Value」構想をベースに、その全体像と現代的補完の可能性について整理・解説します。呉服という伝統商品と、顧客関係という普遍テーマがどう融合したか――その試みは、今あらためて見直す価値があるはずです。
👉 本記事は「企画が通る構造」を分解して解説しています。
同じ構造はテンプレートとして再現可能です。
→つまり、同じレベルの企画を再現できます。
この事例は
「顧客資産活性型(既存顧客・休眠顧客・ロイヤル顧客という保有資産を再設計し、継続売上へ変えていく型)」の企画です。
(※企業名や商品/サービス名は 守秘義務により仮称としております)
(※他の企画事例はこちらの一覧ガイドを参照ください)
1. 企画概要
基本情報
クライアント: きもの工房 “HAGOROMO””(仮称)
コンセプト: Your Relationship, Our Value
スローガン: 顧客との関係が企業価値の本質であり、お客様にバリューを感じていただける取り組みを心掛ける
コンセプトの背景
現代の消費社会において、買い物時点では満足しても後に満たされない気持ちが残る経験が増加。小売業態の過剰により、顧客と店舗の関係が希薄化し、「大事にされない顧客(孤客)」が増えている現状を踏まえ、顧客との生涯にわたるリレーションシップ確立を目指す。
2. 戦略目標
主要目標
800,000人の顧客が「HAGOROMOの客であることを誇り」に思う状態の実現
一人一人の顧客の顔が見える関係性の構築
生涯価値をもたらすロイヤル顧客の育成
プロモーション具体目標
顧客のさらなるHAPPY CUSTOMER化促進
ロイヤル顧客の見直し
眠っている2,000名の顧客掘り起こし
新規顧客の獲得
3. 顧客分析と戦略
顧客セグメント
1店舗平均2,500名の顧客を以下に分類:
Aランク: ロイヤル顧客(約500名)- 徹底した囲い込み対象
Bランク: ファン顧客(主力ターゲット)
Cランク: 一般顧客(主力ターゲット)
スリーピング顧客: 約2,000名(活性化対象)
顧客成長プロセス
DN(Don't Know): きもの関係なし・興味なし層
潜在顧客: 和物への興味あり
顕在化: 購入検討層
HAGOROMOファン: リピーター
HAGOROMO LOYAL: ロイヤル顧客
4. プロモーション展開の視点
基本戦略
MD提案
Life Style: こんなきもの・こんなライフスタイル
Life Stage: このきもの・こんなライフステージ
Life Taste: このきもの・こんなくらしの味付け
機会提案
Time: きものを着ると心弾む時がある
Place: きものが特に映り栄えする場所がある
Occasion: きもののある人生の節目がある
情報提案
News: だれも知らない新製品情報
Value: 人より早く価値ある情報
Limited: 私だけが知っている限定情報
三位一体のリレーションシップ強化戦略
店舗: 500名をしっかりホールド
パーソナルな出会いづくり
店長主催の年2回「うれしい出会い」イベント
Googleビジネスプロフィールとの連携
店舗ごとの季節催事をGoogle上で発信・予約受付
写真と口コミ投稿で地域の信頼を醸成
店長の顔が見える動画メッセージの投稿
セールスプロモーション: 2,000名との接点づくり
SPツールの仕掛けづくり
愉しい催事や得する仕掛けの出会いづくり
広告: 80万人にアプローチ
メディアで告知
SPの仕掛けを告知しての出会いづくり
Instagram・Xによる"和装の日常化"発信
「#今日のきもの」「#うれしい出会い」のハッシュタグ化
ロイヤル顧客による投稿紹介(UGC活用)
着物がある暮らしの自然なイメージを拡散
5. 具体的施策
コミュニケーションテーマ「うれしい出会い」
4つの出会い:
きもので四季とのうれしい出会い
日常生活と違う「和」とのうれしい出会い
私を発見、私の知らなかったうれしい出会い
「その日を美しく」結婚式や入学式などうれしい出会い
ポイントカード制度の導入
期間: 2003年(設立30周年)まで使用可能
ポイント種類:
購入ポイント
来店ポイント
紹介ポイント
特典: 一定額到達で商品券と交換
初期付与: 10,000ポイント(仮案)
デジタル化への展開:
ポイントカードを「デジタル会員証」に転換
来店履歴との連動による顧客体験の向上
着物相談・クリーニング・染め替え・来店予約のオンライン化
スリーピング顧客活性化施策
デジタルDM+LINE連携による再活性化
過去購入データをもとに最適な再来店タイミングをAI予測
デジタルDMとLINEを組み合わせたキャンペーン通知
「あなたの振袖、染め変えませんか?」などパーソナライズ訴求
「新KIMONOスタイリング」小冊子プレゼント
家族構成から「記念日」を拾い出し、家族ごとのDM送付
年間イベントカレンダー
春(3-5月): 入学式、花見、端午の節句
夏(6-8月): 浴衣、花火大会、夏祭り
秋(9-11月): 紅葉狩り、七五三、結婚式
冬(12-2月): 忘年会、新年会、成人式
新規顧客獲得施策
新規チャネル開発
美容院との連携
販売員による週1回のフリーデー設定
戸建て住宅へのポスティング
プレミアムキャンペーン
来店抽選プレゼント
「新KIMONOスタイリング」小冊子プレゼント
特別セール
お買い上げ金額の5%還元セール
きもの保証キャンペーン(染め抜き・染め変えサービス)
6. 中長期戦略
25周年から30周年へのブリッジ
25周年のエネルギーを一過性で終わらせない継続的な取り組み
インナーキャンペーン「うれしい出会い2000」の展開
2000年までに各店舗2,000人のSAランク顧客獲得を目指す
顧客データベース構築
顧客の顔が分かるデータベースづくり
マッピングシステムの活用
地域住民のライフスタイル把握
ECや予約制来店への導線設計
オンライン予約システムの構築
デジタル会員証と連動した顧客管理
デジタル展開
インターネット・ホームページの活用
「和もの・きもの」趣向グループへのアクセス強化
年代別の豊富な情報コレクション
全国の和もの・和ごとコンテンツのネットワーク化
7. 成功指標と期待効果
定量目標
各店舗でスリーピング顧客2,000名の活性化
最低目標として1割(200名)の下方目標設定
800,000人の顧客全体のロイヤル化推進
定性目標
「HAGOROMOのサービスはどこか違う」という差別化の実現
顧客満足度の向上と測定システムの構築
従来型の体質・意識からの脱皮と「新生HAGOROMO」の印象づけ
8. 実施上の留意点
One to Oneコミュニケーションの重要性
画一的コミュニケーションでは個々の顧客に届かない
「私だけに」というLimited感覚の情報ニーズへの対応
双方向コミュニケーションと出会いの場づくり
LINE公式アカウントによる新たなOne to One戦略
顧客ランク(A〜C)ごとのセグメント配信
誕生日や記念日に「きもので行ける場所・イベント」情報を配信
「その方にだけのお知らせ」をLINEチャットで演出
競合優位性の確立
市場シェアだけでなく顧客シェアの重視
ロイヤル顧客の他店への流出防止
きもの市場における独自ポジションの確立
システム運用の課題
人力・アナログ部分へのエネルギー傾注
POSシステムとの将来的な連動を見据えた設計
デッドカード化防止のための定期的な交換会実施
まとめ
本企画は、単なる販売促進を超えて、顧客との「縁と絆」を深める総合的なリレーションシップマーケティング戦略である。本年をスターティングイヤーとして、次の10年に向けた中期的な視点で、店舗・SP・広告の三位一体による顧客との絆づくりを推進する。特に、各店舗2,500名の顧客を細分化し、それぞれに最適なアプローチを行うことで、「HAGOROMOの客で良かったという価値」を感じていただけることを目指す。デジタル化への対応も含め、伝統的な着物文化と現代的なマーケティング手法を融合させた革新的な取り組みとなっている。
▶︎ この企画の「型」を再現するには
この企画がうまくいっている理由は、
新規集客だけに頼らず、すでに存在する顧客基盤そのものを売上資産として再定義していること にあります。
多くの小売・サービス業では、
新規獲得コストが高い
一度買った顧客が再来店しない
優良顧客対応が属人的になる
休眠顧客が放置される
店舗ごとに施策品質がバラつく
という課題が起こります。
この企画では、それを防ぐために、
顧客をA〜Cランクで分類する
ロイヤル顧客には特別体験を設計する
一般顧客には継続接点を増やす
休眠顧客には再来店理由をつくる
店舗・販促・広告を連動させる
季節行事や人生イベントと商品を結びつける
という、顧客データ→関係深化→再来店→継続購入→紹介 の流れを構築しています。
特に優れているのは、
着物という“低頻度商材”を、人生の節目・四季・自己表現という高頻度テーマに変換している点 です。
つまり売っているのは商品だけではなく、
成人式・結婚式など人生イベント
季節を楽しむ体験
自分らしさの発見
店舗との信頼関係
大切に扱われる満足感
です。
この型は、
呉服店
宝飾店
高単価アパレル
住宅・リフォーム
ブライダル関連
会員制サービス
地域密着型店舗ビジネス
など、既存顧客のLTVが重要な業種全般 に応用できます。
新規集客より先に、
すでに接点がある顧客を活かす方が成果が出るケースは少なくありません。
この型は他の事例でも繰り返し使われており、
成果が出ているパターンです。
👉 この構造はテンプレートとして再現できます。
👉(=顧客施策を毎回ゼロから考えなくてよくなります)
実務でそのまま使えるように設計しているので、
空欄を埋めるだけで、
顧客分類・再来店導線・休眠復活施策・イベント企画・継続購入施策まで一本につながる企画が組み上がります。
※同じ構造で企画を作りたい方はこちら ☟
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