日本市場における韓国航空会社媒体戦略
韓国便の観光利用イメージが強いSEOUL航空が、日本市場で「観光だけでなくビジネスでも選ばれるGlobal Airline」へとブランドを進化させるために立案したのが、今回の年間媒体戦略です。
現状の好意度や利用状況、利用者イメージを調査データで徹底分析し、「ビジネス利用の訴求」「国際路線の認知拡大」という課題を明確化。
その上で、Broad Target(観光+ビジネス層) と Business Target(ビジネス特化層) の二本立てで、年間を通じた継続的なメディア露出を計画しています。
調査→課題抽出→ターゲット設定→メディア戦略という王道の流れを踏まえた、航空会社のブランディング企画の好例です。
プランナーのための企画立案ポイント
課題設定は“現状との差分”で考える
└ データに基づく「目指す姿」と「現状」の差を明確にし、課題を絞り込む。ターゲットを層別に捉え、複数戦術を設計する
└ 観光客向けとビジネス客向けでメディアとメッセージを分けるなど、ターゲットごとに最適化する。年間プランニングの重要性を意識する
└ ブランド認知の醸成は単発施策ではなく、継続露出で成果を最大化。メディア選定はターゲットの“接触習慣”を踏まえる
└ 例:ビジネス層には新聞・経済誌、観光層にはBS番組やFM番組など。調査データを説得力の源泉にする
└ 客観データをもとにした戦略立案で、クライアントを納得させる企画書に。
👉 本記事は「企画が通る構造」を分解して解説しています。
同じ構造はテンプレートとして再現可能です。
→つまり、同じレベルの企画を再現できます。
この事例は
「ブランド転換型(既存イメージに縛られたブランドを、新しい利用文脈へ再定義して市場評価を変えていく企画)」の企画です。
(※企業名や商品/サービス名は 守秘義務により仮称としております)
(※他の企画事例はこちらの一覧ガイドを参照ください)
1. 企画概要
タイトル: 日本市場における年間媒体戦略
- Global Airlineとしての更なる飛躍を目指して
クライアント: 株式会社SEOUL航空
2. 与件の確認
➤背景
Fuel Surcharge等の影響による海外需要低下の懸念
航空会社間での競争の一層の激化
➤課題
Businessおよび観光需要の掘り起こし
Global AirlineとしてのBrandingを実現するための媒体計画
➤ターゲット
メイン: 全ての海外旅行利用客
サブ: Business Persons
➤展開時期
20XX年1月~12月
➤広告予算
2億円
3. 現状分析(3つの調査結果)
3.1 ブランド調査(Brand Data Bank)
➤調査概要
調査期間: 20XX年6月
調査主体: Brand Data Bank株式会社
実施方法: インターネット調査
集計数: 31,563名
➤主要結果
「好きな航空会社」調査(アジア・太平洋路線10社中)でSEOUL航空は8位
男性: 1.3%、女性: 1.5%の好意率
上位航空会社との差が大きい(1位の全日空は男性56.2%、女性50.9%)
女性層、特に40代には支持されている傾向
3.2 利用者調査(AIRLINE IMAGE SURVEY 20XX)
➤調査概要
調査期間: 20XX年8月
調査主体: 日本経済新聞社
調査方法: インターネット調査
集計数: 595名(業務で海外渡航経験を持つビジネスパーソン)
➤主要結果
認知率: 85.4%(28社中7位)
過去の利用経験: 35.8%(全体13位)
First/Business Class利用率: 34.6%(28位)
Economy Class利用率: 73.1%(2位)
利用経験がEconomy Classに偏重している
3.3 生の声・イメージ取材調査
➤調査概要
調査日: 20XX年9月
調査方法: 対面調査
調査対象: 32人
➤主要結果
「SEOUL航空は観光、買い物」という見られ方をしている
「Businessで使うイメージがない」という人が多い
Worldwide路線については「こんなにあるとは思わなかった」という人が多数
4. 問題点の抽出と課題整理
➤現状認識
3つの視点の合成から、日本の利用客には以下の認識がある:
好意度: 特に女性層に支持
利用経験: Economy Classでの利用に偏重
イメージ: 韓国、観光、安価なチケット
➤問題点(目指す姿と現実との差)
Business UseのImageがない
韓国以外の国際便が知られていない
➤設定課題
Business Imageを植えつけること
国際路線の存在を知らしめること
5. 戦略立案
ゴール設定
日本人利用者に「BusinessでもSEOUL航空」「SEOUL航空はWorldwide」というImageの形成を行う
コミュニケーション戦略フレームワーク
➤現状のImage
韓国、Economy、観光(よく知られている)
➤今回加えるEssence
Business Use(ほとんど知られていない)
➤Image Goal
観光でも、Businessでも、韓国以外も、Reasonableな選択(新しい見え方)
Global AirlineとしてのImage形成を目指す
6. メディア戦略
6.1 基本戦略
戦略①: 年間を通じた訴求展開
一年中存在する「Business需要」と「観光需要」に対し、継続的なImageの刷り込み
年数回のキャンペーンではブランド構築は難しいため、年間展開が必要
戦略②: Broad Target戦術とBusiness Target戦術の二本立て
Broad Target(観光・Business両面):「Excellence in Flight」Imageを定着
Business Target:Business UseのEssenceを強化し既成Imageを転換
6.2 メディアミックス
➤Broad Target Media
TV媒体、Radio媒体、WEB媒体 等
➤Business Segment Media
新聞媒体、雑誌媒体、WEB媒体 等
7. 具体的なメディアプラン
7.1 Broad Target向け展開
➤ TV媒体(年間予算:3,500万円)
<ポイント>
BS番組提供は視聴者層が高齢化しているため、地上波+TVer配信併用の情報番組や旅番組への協賛に刷新。
<番組例>
日本テレビ「世界ふしぎ発見!」+TVer
テレビ朝日「朝だ!生です旅サラダ」+TVer
フジテレビ「もしもツアーズ」+TVer
➤ Radio媒体(年間予算: 800万円)
<ポイント>
若年層・移動中接触を意識して、FM番組だけでなくSpotify音声広告を追加し、韓流・旅系Podcastとのコラボを推奨。
<番組例>
J-WAVE「STEP ONE」内インバウンド特集コーナー
FM802「ROCK KIDS 802」内スポット
Spotify音声広告(エリアターゲティング)+韓流Podcastタイアップ
➤ WEB媒体(年間予算:4,500万円)
<ポイント>
Yahoo!やGoogleのListingに加え、SNS広告(Instagram/Facebook)とYouTube動画広告、旅行系OTAサイト内広告を組み合わせ。
<出稿例>
Yahoo! JAPAN トラベル内特集記事+ネイティブアド
Google Search/ディスプレイ広告
Instagram/Meta広告で韓国旅行ターゲットを行動リターゲティング
YouTube動画広告(Vlog系Travelチャンネルタイアップ)
ExpediaやTrip.com内のディスプレイ+特集
7.2 Business Target向け展開
➤ 新聞媒体(年間予算:5,000万円)
<ポイント>
紙面だけでなくデジタル面(電子版+Webタイアップ記事)を強化。
日経以外に朝日新聞デジタルなどビジネス層が読む媒体も一部追加。
<出稿例>
日本経済新聞:紙面4色全5段×年4回+日経電子版タイアップページ
朝日新聞デジタル:特集記事タイアップ
➤ 雑誌媒体(年間予算: 2,500万円)
<ポイント>
日経Businessなど紙媒体は縮小し、ビジネス誌+LinkedIn Sponsored Contentでハイブリッド展開。
<出稿例>
日経Business電子版・Forbes JAPAN電子版 タイアップ記事
LinkedIn Sponsored Content広告(ターゲット:出張需要の多い業種)
➤ WEB媒体(年間予算: 3,000万円)
<ポイント>
NIKKEI NET単独から、ビジネスニュースメディアの多様化に合わせてNewsPicks、東洋経済オンライン等へも拡張。
<出稿例>
NIKKEI NET トップページ+ニュースページ
NewsPicks Brand Design 記事広告
東洋経済オンライン タイアップ+バナー
8. 広告効果予測
ARS Plus(広告会社オリジナルツール)による推定:
年末には「30%を上回る」広告認知が推定される
3人に1人が「広告を見た」という水準の広告効果が期待できる
9. 予算総括
年間予算合計(税別): 1.93億円
内訳:
Broad Target向け:45%(約8,800万円)
Business Target向け:55 %(約1億500万円)
まとめ
本企画は、SEOUL航空が日本市場で直面している「韓国便の観光利用」という限定的なイメージから脱却し、「Global AirlineとしてBusinessでも利用できる航空会社」というイメージへの転換を図るための包括的な年間媒体戦略である。調査データに基づく現状分析から導き出された課題に対し、Broad TargetとBusiness Targetの二本立て戦略により、継続的かつ効果的なブランドイメージの構築を目指している。
※同じ構造で企画を作りたい方はこちら ☟
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