ダイエット食品コミュニケーションプラン
今回紹介するのは、具体的な完成形の企画事例ではありません。
クライアントのオリエン(課題の背景や要望)を多角的に読み解きながら、
マーケティングのプロである広告会社が「感覚や経験だけに頼らず、客観的なデータと数字を根拠に戦略を組み立てる」という姿勢でまとめた、戦略立案の土台となる企画準備資料です。
どのように課題を整理し、どのように“データドリブン”でコミュニケーションフレームを構築していくか。その考え方の流れをぜひ参考にしてみてください。
依頼主がオリエンで意図した課題・背景
☛既存のWEB施策だけでは不十分
マス広告主体のPushだけではなく、Pull型(ユーザーの自発的な検索・口コミ)をどう取り込むか。
モバイル購買・SNSなどチャネル多様化にどう対応するかが課題。
☛顧客層の広がりと新市場開拓の必要性
ライト層とヘビー層の間に埋もれた潜在ニーズを顕在化したい。
女性コア層だけでなく男性市場も取り込んで拡大したい。
☛「陰」から「陽」へ。ダイエットの捉え方を変えたい
「一人でコッソリ続ける」から「みんなで励まし合って続ける」へ。
そのためのコミュニティ形成が必要。
☛WEBに閉じずSNS・モバイルを含めたオムニチャネル化
スマホやSNS経由の情報拡散・購買行動をデータで可視化したい。
休眠客の掘り起こし、カゴ落ちフォローなど継続率アップが必要。
☛データドリブンに運用できる基盤を整えたい
顧客行動の見える化(GA4・CRM)を踏まえたLTV向上。
エンゲージメントやUGCをどう生かすかを検証したい。
提出側の提案のポイント
☛Push × Pull × コミュニティ型の融合を具体策で提示
SNS施策を「陰→陽」シフトの具体手段として位置づけ
(#スリムゼリーチャレンジ、UGCリポスト)LINE公式・チャットボットで休眠掘り起こし → Push強化
YouTubeショート・リール広告でブランドストーリー発信 → Push
SNSでのリアル体験談 → Pullとコミュニティ化
☛既存・休眠・新規の4象限を現代型に再整理
CRM/GA4活用で既存客のLTV最適化
LINEとリターゲティング広告で休眠客にパーソナライズ
SNSインサイトで潜在層を発見して新規開拓
☛データドリブン経営を提案の土台に
SNSエンゲージメント率・クチコミ分析を新たに調査設計に組み込み
AI分析で広告クリエイティブを最適化
☛オムニチャネル設計で「モバイル」「SNS」「リアル」の行動をつなぐ
PC/モバイル/SNSを横断した購買体験
休眠客向けクーポン配信やカゴ落ちフォローで取りこぼしを防ぐ
☛ブランドポジショニングの明確化
競合比較に加え「SNSコミュニティ軸で楽しむダイエット」という独自ポジションを示唆
以上のように、オリエンでの「WEBだけでなくSNS・モバイルを含めたPush/Pull融合と顧客の可視化を進めたい」という要望に対し、提出側は最新のSNS/LINE/CRMなどを活用して「陰→陽」シフトを具体策に落とし込み、データドリブンなLTV最適化とUGC施策の拡充で“続けやすいコミュニティ型ダイエット”を支える提案に仕上げています。
👉 本記事は「企画が通る構造」を分解して解説しています。
同じ構造はテンプレートとして再現可能です。
→つまり、同じレベルの企画を再現できます。
この事例は
「データ活用型(感覚ではなく、市場調査・顧客行動・購買データを起点に勝ち筋を設計する企画)」 の企画です。
(※企業名や商品/サービス名は 守秘義務により仮称としております)
(※他の企画事例はこちらの一覧ガイドを参照ください)
1. 企画概要と背景
1.1 基本情報
作成日: 2010年2月15日
用途: 社内打ち合わせ用
商品: アーバンコレクト「スリムゼリー」
主要課題: WEBを核とした新しいコミュニケーション・フレームの構築(「Push」と「Pull」の融合)
1.2 調査の目的
今後の「スリムゼリー」のコミュニケーション戦略立案のための基礎資料作成。特に購入実態における「WEB」の役割に注目。
2. 調査体系の全体設計
2.1 一般的な調査体系
市場調査
市場規模、推移
メーカーシェア、ブランドシェア、チャネルシェアの推移
消費者調査
対象ブランドの認知、好意、イメージ、意向、経験
ユーザーの使用実態、購入理由、情報認知経路、購入プロセス
SNSインサイトやクチコミ分析によるユーザー心理の可視化
競合分析
競合メーカー/ブランドと自社ブランドの広告展開分析
競合メーカー/ブランドと自社ブランドの販促展開分析
SNSエンゲージメント率の比較分析
2.2 スリムゼリー特化型調査フレーム
売上拡大に向けた4つのアプローチ:
既存客の単価UP
現ユーザーのプロフィール把握(デモグラフィック特性)
購入プロセスと情報経路(GA4/CRMでLTV可視化)
購入理由、自社製品ロイヤリティ/他メーカー併用度
休眠客の掘り起こし
購入中止者のプロフィール把握
中止理由、継続期間(LINE公式アカウントのチャットボットQ&Aでヒアリング)
リターゲティング広告による再アプローチ戦略
新規顧客の開拓
潜在ターゲット層のアプローチ模索
可能性のあるターゲット、認知メディア
競合も含めたブランド認知、イメージ
興味関心をもったきっかけ、購入障壁
市場/競合把握
定点的な市場/競合展開の把握
市場規模推移、潮流
競合の広告展開分析(デジタル広告含む)
3. 具体的な調査設計
3.1 定量調査設計(案)
調査目的: 潜在ターゲット層の探索と認知メディア・商品認知の把握
調査方法: WEB調査
調査対象: 「ダイエット」に興味関心をもつ20代~50代男女
調査エリア: 全国
調査内容:
ダイエット全般への意識、活動
ダイエット食品への関わり、意識、購入経験
競合も含めた商品ブランドの認知、イメージ、認知メディア、意向
プロフィール
3.2 定性調査設計(案)
調査目的: 商品の強みと競合との勝敗因把握、コミュニケーションのアプローチポイント探索
調査方法: グループインタビュー調査
調査対象:
パターン1: ダイエット食品に関心があるが未購入者/スリムゼリーに関心があるが未購入者
パターン2: ダイエット食品購入経験者/ゼリータイプ購入経験者
調査エリア: 首都圏
3.3 パイロット調査設計(案)
調査目的: 「スリムゼリー」の受容性を実感
調査方法: 社内・ヒアリング調査
4. ダイエット市場の現状分析
4.1 市場規模と経験者の実態
ダイエット経験者: 全体平均67%(女性約8割、男性約5.5割)
成功率: わずか38.1%(リバウンドや失敗が多い)
トレンド: 男性のダイエット経験者が全般的に増加(2008年4月メタボ検診スタートの影響)
4.2 効果的なダイエット方法
食事制限(カロリー制限): 78.42%(圧倒的1位)
ウォーキング・ジョギング: 53.74%
ダイエット用サプリメントや健康食品: 51.06%
4.3 ダイエットへの投資額
主要価格帯: 「3,000円以下」が半数
価格別割合:
~1,000円: 17.0%
~3,000円: 26.0%
~5,000円: 24.4%
月2万円の壁は意外と高い
4.4 情報入手経路
一般的な情報源(2004年→現在):
テレビの情報番組: 64.7%(圧倒的1位)
インターネットの美容・健康サイト: 22.9%
美容・健康系の雑誌記事: 22.8%
友人・知人: 22.8%
実際の購入者の情報源:
友人・知人からの紹介・クチコミ: 40.8%(トップ)
新聞・雑誌の広告: 20.7%
検索エンジンで自分で検索した情報: 20.3%
4.5 モバイル購入の実態
女性のモバイル購入経験: サプリ22.6%、ダイエット食品24.4%(意外と多い)
購入きっかけ:
キャンペーンで安くなっていた: 26.0%
携帯サイトの広告: 25.6%
携帯メルマガの広告: 21.3%
4.6 ダイエット食品の購入実態
購入経験のあるタイプ:
こんにゃくを使ったタイプ: 52.4%
バランス栄養食のブロックタイプ: 45.6%
牛乳や水に溶かして飲むタイプ: 45.5%(スリムゼリーの競合カテゴリー)
効果指数ランキング:
牛乳や水に溶かして飲むタイプ(特に30代で高評価)
便秘解消タイプ
スープや雑炊タイプ
5. 戦略仮説の提示
5.1 仮説1:ライト層とヘビー層の橋渡し
ライト層: 流行に敏感で「ゼロカロリー」「朝バナナ」など取り入れる層
ヘビー層: 月2万円を継続的に支出する本格層
戦略: この境目をならすことで新市場創出
5.2 仮説2:男性市場の開拓
現状: メインターゲットは若い女性
機会: メタボ意識浸透で男性市場が拡大
戦略: 男性の購入障壁(恥ずかしい・物足りない)を取り除く
5.3 仮説3:「陰」から「陽」へのシフト
従来: 一人でコッソリ・淡々と(パーソナル・陰)
新潮流: 励ましあって・みんなで・明るく(リレーション・陽)
デジタル施策:
Instagram/TikTokで「#スリムゼリーチャレンジ」によるUGC促進
公式アカウントでモニター投稿をリポストし、コミュニティ感を演出
5.4 仮説4:ブランドポジショニングの明確化
競合分析から見えるポジショニングマップ:
A社: 7年連続売上No.1の安心・実感
B社: 品質重視(美味しさ)
C社: 親しみやすいキャラクター、ビフォア・アフター訴求
御社: SNSコミュニティを軸とした「みんなで楽しむダイエット」ポジション
6. 今後の方向性とまとめ
6.1 デジタルビジネスモデルの構築
オムニチャネル戦略: PC・モバイル・SNSを統合した購買体験
Push×Pull施策の新展開:
Push: YouTubeショート/リール広告で商品ストーリー発信
Pull: 公式サイト/Instagramでリアルユーザーの声を提供
UGCキャンペーンで両方を連動
6.2 重要な示唆
価格戦略: 月3,000円以下の価格帯が主戦場
情報戦略: テレビ×WEB×SNS×口コミの統合的アプローチ
商品戦略: 「牛乳や水に溶かすタイプ」の効果実感の高さを活用
ターゲット戦略: 女性コア層を維持しつつ男性層開拓
6.3 次のステップ
LINE公式アカウント活用: 休眠客向けパーソナライズクーポン配信
リターゲティング広告展開: Meta/Googleでカゴ落ち対策
データドリブン経営: GA4/CRMでLTV最適化、AI分析で広告コピー改善
コミュニティマネジメント: SNSでの体験談シェア促進
本企画資料は、スリムゼリーが従来のダイエット食品市場の枠を超えて、WEBとSNSを核とした新しいコミュニティ型マーケティングモデルを構築するための重要な指針を示しています。特に、「個人的で隠れた活動」から「社会的でオープンな活動」へのダイエット観の変化を捉え、デジタル時代に適応した商品展開を目指すことが成功の鍵となります。
▶︎ この企画の「型」を再現するには
この企画がうまくいっている理由は、
最初から施策アイデアに飛ばず、
市場規模
成功率・失敗率
情報接触経路
購入価格帯
男女別ニーズ差
既存客・休眠客・新規客の状態
を整理したうえで、どこに伸びしろがあるかを可視化している点 にあります。
さらに、
女性中心市場から男性市場への拡張
WEB単体施策からSNS・LINE・CRM統合へ進化
一人で我慢するダイエットから、みんなで続けるコミュニティ型への転換
Push広告とPull検索・口コミの融合
というように、時代変化を構造的に読み解いています。
つまりこれは、
「広告案」ではなく、事業成長のためのコミュニケーション設計図 です。
売れない施策の多くは、
誰に
何を
どこで
どう届けるか
が曖昧なまま走ってしまいます。
この企画はそこを、
定量調査で市場把握
定性調査で本音把握
セグメント別施策設計
LTV視点で継続設計
まで落とし込んでいるのが強みです。
ただ、この構造を毎回ゼロから考えるのは簡単ではありません。
この型は他の事例でも繰り返し使われており、
成果が出ているパターンです。
👉 この構造はテンプレートとして再現できます。
👉(=ゼロから考えなくてよくなります)
実務でそのまま使えるように設計しているので、
空欄を埋めるだけで、
市場分析
ターゲット整理
課題抽出
勝ち筋仮説
施策設計
が一本につながる企画が組み上がります。
※同じ構造で企画を作りたい方はこちら ☟
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございますこの記事は noteマネー にピックアップされました

