虎に翼 私の感想(再録記事)
(この記事は2024.9.27に日経クロスウーマンアンバサダーブログに掲載したものです)
虎に翼に出会って、人生が変わった人も多いのではないだろうか?私もその一人だ。
3月、日系製造業で勤続15年を迎えた。おかげさまで営業畑で楽しく仕事させていただきながら、ご縁があり結婚し、子どもにも恵まれた。それでも、結婚して自分のほうが姓を変えたり(とても不便)、子どもが生まれてからは、育児という新しいタスクも加わり、出張には気軽には行けなくなった。
さらに、「頑張らなくて良いよ」という趣旨の声がけを、色々な方から善意で受ける。これが、仕事好きの私には、地味に、こたえた。
子供を持つ母親が、愛着のある仕事を頑張りたいと思うことのは、望ましくないことなのか?コラム「浜田敬子が見た「虎に翼」なぜ女性だけが罪悪感にさいなまれるのか」を、首がもげそうになりながら読んだ。
私が本作のなかで一番心揺さぶられたのは、戦後、寅子が裁判所に職を求めに行く場面だ。妊娠と同時に周りから「母が働くのはかわいそう」と言われ、体調の問題もあり、あんなに好きだった弁護士職を辞した寅子。状況が変わって再就職しようとしたら、今度は「お前は一度法曹の道を諦めた。分かってるな」と男性の先輩に言われる。
こんな理不尽なことがあるだろうか?全部女の側の「自発的な選択」にされる。
私はたまたま、産前に楽しく仕事できた経験が忘れられず、出産後も仕事に対して異様な執着心を持っていた。先輩方が踏み固めてくださった道もあった。さらに、本当に幸運なことに、周囲の協力を得ることができた。
でも、もしこれらの要素がなかったら、きっと従順に、「善意の」「優しい」アドバイスや、慣習にしたがっていたと思う。そしてもしそうなっていたら、次に踏み出した時に「おまえは一度降りた」と言われたことは、容易に想像がつく。実際にそういう悔しい思いをしている女性の存在も、ひしひしと感じる。
本作を通じて、家族や友人とたくさん会話した。みんなそれぞれの立場で、この物語を受け止め、共感や違和感を口にした。放送作家のたむらようこさんは、本作のヒットを祝いつつ、「本当に! どうしてこんなに日本の女のポジションは変わらないのか?」と憤る。
私も悲しくて悔しいけれど、本作を通じて、こうやってさまざまな人が、この問題を「自分ごと」として表明するようになったと思う。これは本当に本当に、すごいことだ。それに何より、なんの「てらい」もなく、仕事が好き!法曹が好き!と打ち込む寅子の姿を見て、私はとても励まされた。自分も前向きに一歩踏み出そうと、背中を押された。
お話の中の寅子は、子どものとの不和、仕事の難しさ、後輩からの突き上げ(!)を乗り越えながら、晩年には、仲間や心許せる伴侶とともに、幸せな日々を送っている。
今日は最終回。ハッピーエンドに、自分と、日本の女性の幸せな未来を重ねたい。

