【続いてる写経 2304日め】"愛と勇気だけがともだちさ"の背景にあったもの
やなせたかしさんの伝記『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(梯久美子・著)を読みました。
いや、すごいお話でした。梯さんの文章がまたドラマティックにまとめられていて泣ける。
ほんと、ワタシやなせたかしさんについて、知らなさ過ぎた。
というのもアンパンマンは世代でないし、テレビなかったから子どもいても一緒に観てなかったのです。
ギネス認定されるほどのキャラクター数がいて、ミュージアムまであって、
なんとなくディ●ニー的な商業主義を感じ、逆に避けていたくらい。
が、ワタシの無知でした。
ほんと、頭下げずにいられない。
『アンパンマン』の根底にあったものを知らなさ過ぎました。
やなせたかしさんが、どんな想いでアンパンマンを描き出したのか。
幼少期に実母と別れ、伯父叔母夫婦に育てられ、たった一人の肉親であった弟も戦争でなくしてしまう。
太平洋戦争が終わって、戦時下の「正義」がひっくり返ってしまった。
どの国も、自分たちこそが正しいと思って戦争をする。だが、戦争は結局殺し合いだ。それぞれがいろんな理屈をつけて戦うが、正義の戦争というものはないんだ。
では、ひっくり返らない正義というものがあるのか?
やなせさんが、戦後の混乱期で強い印象を受けたものは、子ども同士で食べ物を分け合う姿だったそう。
もし、ひっくり返らない正義がこの世にあるとすれば、それは、おなかが空いている人に食べ物を分けることではないだろうかー。
飢えている人を助けるのは、国も時代も関係なく、正しいことのはずだ。
この思いから、食べ物で困っている人に自分の顔を分け与える”あんぱんまん”というキャラクターが生まれたのだそう。
初期アンパンマン絵本の描写で、あんぱんをあげている姿がちょっとグロいなと思っていたのですけど、実は、ひっくり返らない「正義」を描いたものだった。
それこそ完全に認識がひっくり返りました。
誰かのために何かをしようと考えたときに、勇気がわいてくる。
そんな勇気のある人たれと、「アンパンマン」にメッセージが込められていたのでした。
また「アンパンマンのマーチ」の歌詞も、実はものすごく深かったのです。
”何のために生きるか”、哲学的な問いを発する歌、大人が歌詞を読むとうーんと唸ってしまします。
この曲が東日本大震災のとき、避難所で子どもたちが大合唱し、その姿に大人が励まされたエピソードも紹介されていました。
子ども時代に何とはなしに歌っていた曲の意味を知った時、大人になったらそれこそ勇気がもらえるかもしれません。
やなせさんの、果てしない慈愛を感じました。
折しも、世田谷文学館で『やなせたかし展』開催中。
これは観に行かねば。
