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新シリーズ✴︎神と女神✴︎1

「スッキリしたい」それは男子の本能。

自分ですれば0円なのに、2時間くらいの時間に10万円近く払ってもリピートする世界がある……何かを求めて。

──それが、高級快活の世界。

これは、その世界を作る神と、そこに待ち受ける女神と、訪れる旅人の話。

一見、おかしいと思われがちなその世界と、その世界を知らない人たちが健全だと思い込んでいる外の世界……
本当に狂っているのは果たしてどっちなのか。
私は今でもそう思う。
そして、以前にも書いたがまた言いたい。

裸にもなれないやつに何ができるってんだよ。笑わせんな。


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(短いシリーズですが、是非最後まで読んでなにかを感じてもらえたら【元・女神】として嬉しいです🌸色々バレ回避のため、フェイク入れまくりなので【あくまでもフィクション】ということでお願いします。)

※少し分割してあげますが、完結したら、もしかしたらtalesの方の「くそきゃくづかん」アカウントにまとめて移行するかもしれません。

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─はじまり─

時代が違うので今はどうだか知らないが……

私の知る、所謂「昔ながらの高級店」にはある程度の基準があった。
身長160〜170
身長−体重が110〜120
Dカップ以上
これらは全て実寸であり、痩せすぎても太っていてもいけない「普通」よりスタイル良いくらいの感じ。

それが合格基準ではなく、あくまでも面接を受ける資格の基準である。
リスカや傷跡、目立つシミや刺青は問い合わせ不可。

そこからさらにどんな顔か、髪や爪の手入れ、清潔感、受け応えなどの立ち居振る舞い。
色気もないといけないし、体力もあって、頭もある程度良くなくてはいけない。
なのに、いかにも風俗嬢という見た目は嫌がられる。

スカウトを通していれば適切な場所を紹介するが、自分からの応募は落ちればもう少し安いところへと段々と下げていく。
自分の値段が初対面の他人によって決められる……そんなシビアな世界。

やっと仕事につけても「お茶を挽く」といって収入0円〜、私の場合は最高日給28万(多分)まで
リピーターを掴めるかどうかと、収入はその日の流れと運でもあるが、格安や中級はせいぜい10万円ちょいが上限ではあるが、一見さんも来るのでお茶を挽く確率はグンと下がる。

箱や泡の場合は部屋数も限られるため、客持ちといって店ではなく自分目当ての客が沢山ついている人が優先され、稼ぐチャンスを得たい人の部屋を客持ちが使うためにどかすこともある。
すると、自然にカーストのようなピラミッドが出来、一度上に上った者は落ちない為に必死にしがみつく。

そんな
旅人に見せる光の分、真っ黒になる闇のような世界で、擦れずやさぐれずにいつかまた人間に戻りたいと願う女神と、訪れる旅人にとっての天国を作ろうとした神の物語。

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─神降臨─

神は、執事の姿で現れた。

シュッとしたスタイルに綺麗な長めの白髪、光沢のあるグレーのスリーピースにアームバンド、ピカピカに磨かれた靴。
そしてなにより、物腰が柔らかく丁寧で執事のようだった。

「お客様が喜んでくださるならば、私で良ければなんでもします」と神は言う。
神は裏表なく、旅人のいない場所でも本気でそう思っている。

神は「高級店」に拘ってはいなかったが、納得する店の立ち上げやコンサルタントをしようとしているうちに格安や中級ではそのポリシーが受け入れられないため、結果として高級に流れ着いたと言っていた。

本当は、中級店こそ理想的であってほしいと嘆く神。
だが、多くの中級店は神を「チンタラしてるし、理想ばかり言って使えない奴」と見做した。

ある日
私の時間が押してしまい、40分ほど旅人を待たせなくてはならなくなった。
多くの旅人は余計な時間はない。
忙しい中、時間を作って来ている人がほとんどだから、キャンセルになっても仕方ない……

だが、体は一つだ。どうにもならないこともあると諦めかけていた。

だが、支度ができて迎えに行くと、旅人は上機嫌で執事と話していた。
和気藹々とした空気から一転して、土下座する勢いで「いってらっしゃいませ!」という神に旅人は「ありがとう!」とチップを渡そうとしたが、絶対に受け取らないマンなので
旅人に耳打ちし、代わりに私が受け取って、あとで神に渡すことにした。

不機嫌になって帰ってもおかしくないピンチをチップに変える神……一体、何が起きていたのかその時はわからなかったが
旅人はその後も神に差し入れするくらいには仲良くなっていた。

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神は、私が暇な時間にタバコ休憩をしているといつも紅茶を淹れてくれる。
私はダージリンのセカンドフラッシュが好きなんだけども、いただいたチップで買ったというその紅茶を淹れる姿は当に執事そのものだった。

「私なんて、色がついてりゃなんでも美味しいのにわざわざありがとうございます」と言うと、神はトレンディドラマのように爽やかに大笑いする。
紅茶を受け取ると「ご一緒していいですか?」と前置きし
「岡村(仮)さんとお話できるのは私にとっては大切な時間です」と言う。
お世辞でもなんでも、自分にとって学ぶ要素のある、好きなスタッフがわざわざこうして来てくれるのは嬉しい。

私はおそらく、他の女神たちよりも神のことを好きだった。男女の好きではなく、人として。
もともと物腰が柔らかく執事のような人の方が居心地が良いのもあって、神とはいろんな話をして、私もそれを参考にして接客に取り入れたりもしていた。

だが、一部のスタッフや嬢に神は嫌われていて、その悪口を聞くことも少なくはなかった。
それらはやはり「チンタラしてる」とか「使えない」とか「贔屓してる」など。なかには「岡村を狙ってる」なんてのもあった。


そんな、とある天候大荒れの日
用事があって別の建物にある事務所に寄ると神しかおらず、交通網も麻痺しているため当分タクシーも来ず、神とゆっくり話す時間ができた。そして今までずっと疑問に思っていた事を聞いてみた。

若い頃に大手商社マンだったと言われている神がなぜ、その地位を捨ててこの世界に来たか……


──いつもより静かな風俗街。
遠くに救急車のサイレンが聞こえるくらい静まり返る、暖かく閉め切られたマンションの一室で
外はギラギラした看板に似つかわしく無い、神の髪色と同じ真っ白な雪が積もり始めていた。



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