大学受験に女子枠は必要か
大学の「女子枠」が必要かどうか、という議論を見ていて、いくつか考えたことがある。
まず前提として、この話は突然出てきたものではなくて、医学部入試で問題になった「男子優遇(女子減点)」が背景にある。
だから本来まず必要なのは、不当に男性を優遇する仕組みをなくすこと。ここは外せない前提だと思う。
その上で出てきているのが、「そもそも理系に進む女子が少ない」という問題。
ただこれについては、能力や適性だけで説明できるものではなく、かなり早い段階からの刷り込みの影響が大きい気がする。
男の子は理数が得意、女の子は文系が得意、というイメージ。
共学より女子校の方が理系進学率が高い、という話があるのも、環境によって選択が変わることの一例だと思う。
家庭の中でも、女の子には「おとなしく」「本を読む」「家のことをする」といった経験が与えられやすく、それが結果的に文系選択につながる可能性もある。
ここでよく出てくるのが、「女子枠が必要なら、女子大があるじゃないか」という意見。
でもこれは、女子大がどういう経緯で作られたのかを考える必要があると思う。
もともと大学というものは、男性のための教育機関だった。
そこに対して、女性にも教育の機会を与えるために作られたのが女子大であって、女性を優遇するための制度ではない。
つまり女子大は、男女格差を是正するための歴史的産物であって、「女性だけの特権的な枠」として語るのは少しズレている。
さらに言えば、女子大の学部構成を見ると、文系や家政系が多く、理系分野が少ない傾向がある。
これもまた、「女性は家庭」「女性は文系」という長い時間をかけて作られてきた社会的イメージの影響を反映しているように見える。
つまり問題は一貫していて、進学段階だけの話ではなく、もっと手前から続いている。
その上で女子枠の話に戻ると、枠を作ること自体がどこまで効果的なのかはやはり疑問が残る。
そもそもその分野に興味を持つ女子が少ない状態で、枠だけ増やしても、利用者が大きく増えるとは限らない。
むしろ、一般入試で受かるはずだった人が、女子枠で入るだけになる可能性もある。
「女子枠があるなら受けてみよう」という動機も想定されるけど、理系学部の負担の大きさを考えると、大学名だけで選ぶ人がそこまで多いとも思えない。
だから結局、制度で後から調整するだけではなくて、もっと前の段階、つまり「そもそも興味を持つ人を増やす」ことが必要なんだと思う。
小さい頃から、「男だから」「女だから」で選択肢を狭めないこと。
家庭でも、性別で経験を分けないこと。
そういう環境があって初めて、進路の偏りは変わっていくんじゃないかと思う。
個人的には、女子枠という制度だけで解決する問題ではなくて、もっと長い時間をかけて作られてきた前提の方に目を向ける必要がある気がしている。
