【せりふ三題噺*アイスコーヒー葉桜昼寝】いたずら
失礼いたします。
こちらの企画にまた参加させていただきたく、スマホを握りました。
お題は以下になります。
■セリフ
「やるなら今だよ」
■三題
・アイスコーヒー
・葉桜
・昼寝
あなたは縁側でお昼寝。
干していたふかふかの座布団を枕代わりに。
これでは座布団を干しているのか、あなたを干しているのか分かりません。
そもそも、お願いしていたお庭の草取りはどうしたのでしょう?
“やるなら今だよ”
小さなノイズのような、かと言ってハッキリとした声のような「何か」が囁いたような気がして、私の中にそわそわとした奇妙な衝動が立ち上がりました。
いたずらの鉄則は“こっそり”です。
息を潜めて、音を立てずに近づきます。
あなたは横向きで背を丸めて眠っています。
お布団の中の時とおんなじ。
お腹を見せたりしないのは懸命ですが、どこか無防備に感じるのは何故でしょう。
膝立ちでにじり寄り、あなたの身体の内側へ入り込みます。
揃えた膝の前に手を突いて、前屈みになって寝顔を観察するように覗き込みます。
床板を鳴らしてしまわないよう、慎重に。
そこでふと、あなたの髪に桜の花弁をひとひら見つけました。
おや珍しい。
景色はすっかり葉桜だというのに、散り忘れてしまったのんびり屋の桜が居たのでしょうか。
そうっと指で摘んで眺めておりましたら、不意に吹いた風にふわりと攫われてしまいました。
気を取り直して…いたずら続行です。
再びあなたのやわらかな寝顔へ視線を落とします。
床板へ突いた手に重心を乗せて、あなたの呼吸を感じるほどの距離へ。
心なしか、鼓動が高鳴る感覚さえします。
少しずつ顔を近づけて…。
「えいっ!」
座布団を掴んで思い切り引っ張り抜きました。
ゴン、と床板に側頭部が当たる音。
「い"っって!?なっ…なに!?」
驚いて勢いよく上体を起こしたあなた。
顔を近づけていたせいで額同士が衝突し、鈍い音が響きます。
「っ!」
「あだっっ!?」
悲しいかな私の頭蓋の方が圧倒的に硬かったので、10:0であなたがダメージを食らってしまいました。
「〜〜〜っ!」
声にならない声で呻いて、恨めしそうにこちらを見るあなた。
そんな表情もなかなか……ああ、いえ、すみません。二発目は不可抗力です。本当に。
*
小さな保冷剤をハンカチで包んであなたの額へ。
少し、反省。
…そうだ、お茶にしましょう。
アイスコーヒーでもいかがですか?
根が優しいあなたは、すぐに「いいね。」と同意してくれます。
今日はシロップを入れますか?
喫茶店で教わった、レモンを試してみましょうか?
「じゃあ…眠気覚ましに、そのままで。」
水滴が滲むグラスをあなたへ手渡します。
あなたはコーヒーへ鼻先を寄せて。
「…ん"っ?」
「え?」
「…ねえ、」
「はい?」
「サボってたの、そんな怒ってる…?」
「いいえ?」
「これさ……」
「はい。」
「多分、めんつゆ」
「……」
「………」
「え」
失念しておりました。
試しにと自作してみためんつゆ…専用の容器が埋まっていて、ひとまずアイスコーヒーの空きボトルに移していたのでした。
…ほ、本当ですよ?
あなたは「ぷふっ」と息を吐いて、
「たまに天然かましてくるのウケる…かわいっ…!」と、肩を震わせて笑いました。
(反省会のようなもの)
アイスコーヒーの使い方に迷い、ベタ過ぎる(?)取り違えオチで逃げる筆者…。
この後めちゃくちゃそうめん食べました。
(あれ、反省してないなコイツ)
素敵なお題を使わせていただきありがとうございました。
また、ここまでお読みいただきありがとうございます。
#せりふ三題噺
#アイスコーヒー葉桜昼寝
