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島ひばりのゆる~い日常④ ふたりの俳句大会


 最近ぐっすり眠れず疲れが溜まっている私、島ひばりは昨夜、睡眠サプリを飲んでヨガをして、枕元に塩を置いて(悪夢を見ないように)から眠ったのだが……。(最近noteっていう面白いアプリにハマって夜な夜な記事を読んでるのが原因かも。あと仕事でやなことがあってストレスが溜まってる)

 また今朝も変な夢みた~。たしか自転車で会社に通勤して二時間ぐらいかかってヘトヘトになったような。なんでだ~!
 もう朝からくたくただぜ。時計を見ると十時羊。あれ? 十時羊の羊ってこれでいいんだっけ? まあいいか……。
 夢で見たあの子は運命の子かな? えへへ、えへへ、えへへへへ。 ん? 私まだ寝ぼけてる……。
 あ~夢と現実の区別が……。
 しばし夢の現実を行き来すること1時間……ってさすがにもう起きるわ!
(朝のルーティンとしての独り言がはじまる)


 え~っとみなさんはじめまして。島ひばりです。みんなにひばりんと呼ばれてます。
 つまらないので一人漫才をはじめます。って誰があんたの漫才聞く奴がおんねん。(ひとりツッコミ)
 ついにチャクラが開かれた。
 ってなんの話やねん。
 最近ヨガ教室に通っております。
 ああ流行ってるいいますな。
 まずは基本の瞑想をしてみます。
 ああ、瞑想はいいらしいですな。マインドフルネスゆうやつや。
 う~ん。う~ん。う~ん。
 なにうんうんうなっとんねん。
 空中浮遊。
 なんでやねん!

 今日のひとり漫才70点。まだまだだな私。

 さてひとり漫才で目も覚めたし、そろそろ起きて朝飯兼昼飯食べますか。
 冷蔵庫から昨日スーパーで買った半額ののり弁をチンして食べる。2リットルの烏龍茶をごくごく飲みながら。そして色んなサプリを飲んだらスマホタイムだ。最近noteという面白いアプリにハマって色んな記事を読んでいる。この前の休みの日なんか履歴を見たら、8時間もnoteを見ててやばいスマホ中毒だと焦った。でもまあ読書と同じだしな。目が疲れるけど。


 ピンポーン
 あれ? 宅急便かな~?
 プレゼントでも当たったのかな?

「こんにちは~ひばりんいますか~?」
 この声は高校時代の同級生の夢原桜子だ。実はたった一人の親友でもある。
 急いで玄関を開けた。


 そこには春らしいピンクのカーディガンを着た桜子が心配そうに見つめていた。桜子は明るくふわふわしていて可愛い。私と正反対だ。
「ういっす」
「どうしたの? LINE既読つかないしもしかしたら死んじゃったのかなとおもって心配になって来てみたよ」
「死んどらんわ! 今日は絶望日和3日目だよ。あ~もう仕事に行くのやになったー」
「なんかあったの?」
「おまえは馬鹿かって言われた。お局に」
「それはひどいね」
「それに寝ると変な夢ばっか見て疲れるんだよ~」
「どんな夢?」
「うんとね。会社まで自転車で2時間かけて通勤する夢」
「それは大変だねー」
「うん。あ、立ち話もなんだし上がってよ。散らかってるけど」
「お邪魔しますーす」
 早速六畳一間に案内した。
 ローテーブルの上には、昨夜飲んだレモンハイの空缶が散乱してて恥ずかしくなった。
「ごめんねーまだ掃除してなくて」
「ううん。別に大丈夫だよー」
「座って座って。今おーいお茶をお持ちしますので」
「はーいお茶」
「お、今ので一句思い付いたかも」
「え?」


 富士山を眺めてランチおーいお茶


「おー。すごいねー」
「ほら」
 桜子にお茶のボトルを渡した。ボトルには色々俳句が書かれている。
「私さ。最近俳句作り出したんだよね。みんはいの影響で」
「へー。すごいじゃん俳句。どんなの作ったの?」
「うんとねー」

 みちのくの淋代の浜訳若布


「とか」
「すごーい。本格的な俳句だね」
 パチパチ拍手する桜子。
「えへへ。実はね。歳時記に載ってた山口青邨って人の『みちのくの淋代の浜若布寄す 』の本歌取りなんだ」
「へー。本歌取りかー」
「他にも色々作ったよ。ノートに書いてあるけど見る?」
「うん、見たい」
 桜子は目をキラキラ輝かせてくる。なんかうれしい。
「これとか」


 富士山を眺めています峰不二子


「おー! 富士山だ」
「へへへ、これは駄洒落だけどね。あとは……」


 馬の耳に俳句聞かせて旨い馬


「うまい!」
「これは川柳かな。こんなのもあるよ」

 いい月だ今夜は俳句詠まナイト

「ふーん」
「他にはね」

 夏の井戸レモンプレバト梅の沢

「ふふふ。ゴロがいいね」
「プレバトの梅沢さんだよ。梅沢さん繋がりで……」



 名人の真似してレモン被りけり


「とか」
「ほうほう。缶チューハイだね」
「うん。これは我ながらよく出来たかな。桜子もやってみればー」
「えーなんか難しそう」
「大丈夫だって。季語入れて五七五だよ。ほら、わけわかめでも食べながらさ」
「はーい」
 ちょうど昨日、スーパーの特売でたくさん買ったわけわかめの袋がテーブルに置いてあった。ポテチは身体に悪いって聞いたからやめた。
 しばらくふたりでモグモグ食べた。
「これおいしいね」
「うん。昨日会社の帰りに買ってきたんだ」
「何で出来てるの?」
 パッケージの裏に原材料が書かれてあった。
「えーっとね。原材料はわかめせんべいと伊万里湾産のにぼし。カルシウムとミネラルが豊富だってさ」
「香ばしくてサクサクしてて止まらないね」
「うん。カルシウムが入ってるから頭に良いかもね」
「よし、これで頭良くなって俳句できるかも」
「私も俳句考える」
 それからしばしのシンキングタイムがはじまった。歳時記を出して回し読みする。
「わけわかめを食べたから……」


 お互いに訳ありの恋わけわかめ


「おー。面白い」
「でもこれは川柳かな」
「ふーん。私は名前が桜子だから桜使おっかな」
「お、いいねー」

 ママチャリで通った桜並木かな


「うまい! はじめてにしては上出来だよ」パチパチ。
「やったー! ひばりんに誉められた」
「じゃ私も桜で……」


 ママチャリをふたりで降りた桜坂


「いいね桜坂。じゃ今度は……」

 遠山の金さんの背に桜かな



「ふふふ。たしかに桜の刺青だね。じゃ次は……」

 夜桜の下に佇む美人かな

「お~絵になるね」
「きっと着物美人」


 なんか段々勢いがついてきて次々浮かんでくる。やっぱ桜子と話すと脳味噌が活性化するみたい。 いつもはそんなに浮かばないのに。それから互いに詠み合うふたりの俳句大会がはじまった。

 夜桜の下で坂本冬美かな


「夜桜お七」
「あの曲好きだな」

  

 夜桜の下で埋火抱えおり

 

「女の情念ってか」
「そんな感じ」

 夜桜の下に佇む研ナオコ

「ふふふ、面白いね」 
「シュール句かな」
 

 夜桜とバカ殿様と研ナオコ
  

「ふたりは友達? それとも?」
「生卵~」


 夜桜の下に佇む雪女


「こっちが正統派」
「なるへそ」


 夜桜の下でBOSS飲む宇宙人


「トミーリージョーンズさん?」
「うん」

 UFOが西へ東へ花見かな


「たしかに地球に、お花見に来てるかもね」
「他の惑星じゃ桜、なさそうだしね」

 姥桜わたしの夢は夜開く


「お、姥桜きた!」
「曲から一句だよ」


 今日も咲け明日も咲けよ姥桜


「美魔女さん!?」
「今宵咲きます」


 あの頃のマドンナ今じゃ姥桜


「まあ、たしかにね」
「今頃どうしてるかな?」


 姥桜48に恋をして


「なんじゃそりゃー」
「そのうち出来るかも」
「じゃあパ句って……」

 姥桜48がダンスして


「バラエティー番組で観たような気がする。芸人のお母さん」
「あるある、ナニコレ珍百景」

 母さんは今頃燃える姥桜

「元気なあ母さんだね」 
「口だけはね」

 みちのくの上沼恵美子姥桜

「おいおい」
「えへっ」

 狂い咲く一夜限りの姥桜

「どんな姥桜だよ!」
「色っぽいよー」

 八十で一花咲かす姥桜

「まだまだ元気なうちのおばあちゃん」
「いいですなー」



 なごり雪溶けて咲きます姥桜



「これも曲から一句だよ」
「いい加減姥桜離れましょ」
「そだねー」 


 初桜笑顔で離婚しましょうね 

「やめーい」
「シュールかな」
「シュールシュールオレシュール♪」
「あははは」


 初桜勝鬨上げよ春将軍


「春将軍?」
「冬将軍の対義語。造語だよ」
「なるへそ」


 夜桜の下に恋する荒法師

「お、意外な取り合わせだね」
「坊さんだって恋をしたい」

 夜桜や美人の霊が出るらしく

「怖っ」
「でも美人だよ」


 UFOと幽霊と観し桜かな


「これまた意外な取り合わせ」
「豪華絢爛のホラー句」


 UFOの桜ツアーやひらぴかり


「ひらぴかりいいね。バッチグー」
「へへ。ひねったよ」

 寅さんの妹の名はさくらかな

「って、そのまんまやないかーい!」
「ふふふ」


 さくら観て寅さん足を止めにけり



「目に浮かぶね」
「きっと故郷を思い出したながら……」

 この恋は叶わぬらしい夕桜

「お、いいね」
「頬を赤く染め……」 
「あ、それなら」


 夕桜ふたりの頬を染めてゆく


「沁みるね」
「赤面を隠して……」

 夕桜恋する歌のお姉さん

「かわいいね」
「きっと歌のお姉さんも……」

 花疲れ酔ふてコマネチしてみたり

「ふふふ。ウケる」
「コマネチっ!」

 桜貝そっと火星の風の音


「おっそれポエムっぽい」
「やったー」
「季語変えるね」
「うん」
「どれにしようかな……」


 ハイヒール似合ふ女よ桃の花


「ハイヒールモモコ」
「いや、別にそういう訳じゃ。……ってかよく知ってるね」
「ちっちゃいころにテレビで見た気がする」


 桃の花昔美人といふ勿れ


「おいおい」
「じゃこれは」


 桃の花昔美人の首の皺


「やめーい。……って言いたいところだけど、ありっちゃありかな」
「次はちゃんとしたの」


 影薄く化粧も薄く桃の花


「おー、きれいだね。上手上手」パチパチ。
「よっし」
「じゃまた桜に戻って……」


 黄桜の女河童に恋玉手箱


「あ、それも小さいころCMで見たよ」
「なんか色っぽかったなあ、ピンクの河童」

 シャイですと書いたTシャツ花曇り


「分かる分かる」
「まさに私」


 凍蝶が溶けて桜と混じりをり


「あーたしかに蝶々っぽい」
「紋白蝶だね」


 百年後誰見る枝垂桜かな


「たしかに」
「樹齢千年とかあるし」

 芭蕉にもスピッツ聴かせたき春よ


「あーね。なんて言うかな」
「よきかな」
「それじゃ……」

 スピッツを流してさくらさくらかな


「おー。春の歌とか」
「うん、今度公園でやってみようよ。お花見しながら」
「うん、やろやろ」


 あいみょんの唇に咲く桜かな


「おお。そんなジャケット見た気がする」 
「Googleで写真出てきたよ」
「じゃアーティスト繋がりで……」


 また君に恋して桜吹雪かな


「これも曲から一句」
「ビリー・バンバンかー。じゃ今度は」


 ピアノ弾くYOSHIKIに桜吹雪かな


「YOSHIKIきたー!」
「サプライズでやりそう。Forever Love」
「このまま~そばに~い~て♪」


 炭治郎禰豆子に桜吹雪かな


「なんか沁みるね。目に浮かぶよ」
「最終回……」


 願わくは花の下にて口づけん



「和歌の上の句だよ」
「国語の授業で習ったね西行さん」
「うん、これだけは覚えてた」


 夜桜や束稲山に西行碑


「日本全国に西行さんの碑文があるんだよ」
「そうなんだ。たしか西行さん猫が好きなんだよね」
「うん、猫を撫でてるイラスト見た気がする」
「それじゃ……」


 西行忌偲ぶ桜の下に猫


「それ好きだなあ」
「にゃ~お」

 西行忌桜の下に迷い猫

「いいね。目に浮かぶよ」
「これ実話だよ。ちょっと前に近所の公園でノラ猫を保護したことあるんだ」
「えー。それは大変だったね」
「夜桜見ようと公園行ったんだけどさ。トイレの前に小さな猫がいてすり寄って来たんだ。痩せてる白猫。ズボンにしがみついて登ってきたよ」
「えー。普通は警戒するのに」
「それがめっちゃなつっこくてさ。高台の桜並木まで猫と一緒に歩いたよ」
「それでどうしたの?」
「めっちゃ可愛いし飼いたかったけど、このアパートペットダメじゃん。それで知り合いに猫飼ってるおじさんがいるの思い出してさ。LINEで写メ送ったら保護して連れて来てって返信来て、おじさんちまで猫を連れて行ったよ。段ボールに入れてスクーターで」
「それは大変だったね。でもよかったね保護してもらえて」
「うん。次の日病院に行って注射打ってもらったって。片目が眼病だったみたいだから」
「そっか。その猫ちゃん、ひばりんに会えてよかったね」
「うん、私も知り合いに猫好きなおじさんがいてよかった。ほっとしたよ……」
 なんかあの日のことを思い出してしんみりしてしまった。色々大変だったけど、知らんぷりして帰らなくてよかったな……。
「きっとその猫福猫だよ。ひばりんに良いことあるよ」
「だといいな。しばらくしたらおじさんとこ行って見てくるよ。先住猫とうまくいってればいいな」
「だよねー」



「……あ、俳句だったね」
「うん」

 恋をして身長伸びて春の風


「たしかに伸びそう」
「成長ホルモンとか……」

 また逢いに来てね先輩初桜


「きっと来るよ」
「そうかなー」

 桜見てあなたを想う青春忌


「お、青春だね」
「ちょいはずい」


 きみと観し一目千本桜かな


「恋の句だね」
「照れる」


 帰り道春を惜しまぬふたりかな


「さわやかで切ない」
「一瞬の輝き」

 

 くちづけるふたりを隠す花嵐


「ひばりんたら」
「へへっ」
「俳句楽しいね」
「うん楽しい」
「教えてくれてありがとね」
「いえいえ、どういたしまして」


 こうしてふたりで俳句を作っていていると、あっという間に時間がたって外を見ると夕焼け小焼けになっていた。お昼頃に桜子が来たから6時間ぶっ続けで俳句を詠んでいた。
 朝から不調で怖い夢見たり、お局に怒られたこと思い出してイライラしてたけど、今はすっかり気分も良くなって元気だ。すぐにくよくよしちゃう根暗でネガティブな私だけど、俳句を作っていると嫌なこと全部忘れて夢中になるから楽しい。恐るべし俳句。本当に薬になるかも。
 頭使ってお腹減ったので久しぶりに桜子と外食することにした。桜子によると近所の裏路地に、最近串カツ屋さんが出来たらしいので行ってみることにする。
 これからも落ち込んだり、嫌なことあったら俳句を詠んで気を紛らわそっと。楽しみだなー。



65句収録
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参考までに

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島風ひゅーが 素晴らしい記事ですね♪