電動車いすでディズニークルーズ1
第1話
思い込みは、お腹を空かせる
機内に
「まもなくシンガポールに着陸いたします」
というアナウンスが流れました。
ああ、シンガポール初上陸です。
8時間のフライトと思っていましたが、
時差の関係で実質は7時間ほど。
エコノミークラスで大丈夫かな、と
かなり心配していました。
でも、娘が持たせてくれた
空気を入れて前の座席との間に置くクッションのおかげで、
思ったより快適に過ごせました。
トイレは使いませんでした。
搭乗前に済ませておき、
空港に着いてからゆっくり使おうと決めていたのです。
ここまでは順調でした。
ところが――
ひとつ、トラブルというか、
私の思い込みがありました。
ストックホルムへ行ったときも、
夜中0時半発の飛行機でした。
あのときは14時間のフライトで、
離陸後しばらくしてしっかりと機内食が出されたのです。
だから今回も、
同じように出るものだと
勝手に思い込んでいたのです。
娘は
「何か買ってから乗ったほうがいいよ」
と言ってくれました。
でも私は
「機内食が出るから食べられなくなるよ」
と何も買わずに搭乗。
ところが。
機内の照明が落とされ、お休みモードに…
待てど暮らせど、
機内食の気配はありません。
「え~?機内食まだなのかなぁ」
やがて配られたのは、
小さなおやつの袋と
小さなペットボトルのお水。

……え、これだけ?
娘はお腹を空かせて
お菓子を食べ始めました。
私はというと、
何も調べなかった自分を反省しながら、
そのまま眠ることにしました。
数時間後、
着陸前に待ちに待った朝ごはんのサービス。
和食か洋食かと聞かれ、
和食は「鮭弁当」。
これはもう一択でしょう、と
二人で喜んで鮭弁当を選びました。

ところが。
期待を大きく裏切る味。
温められた鮭もちくわの磯辺揚げも、きんぴらもご飯もみんなふにゃふにゃしていて、とても美味しいとは言えない鮭弁当でした。
結局、少しだけ食べ、
おやつのマフィンでしのぐことに。
そんなこんなで――
お腹を空かせながらも、
なんとか無事に
シンガポールの空港へ到着しました。

さて、早朝のシンガポールチャンギ空港。
ディズニークルーズの乗船時間は14:30です。
お天気は?
移動手段は?
何か食べられるかな?
「どうにかなるでしょ」
そう思いながら、機内用車いすのお迎えを待っていました。
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