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ドアの鍵を閉めるなと言われた日|境界線①

― 壁の穴から見えたもの昭和OSを捨てて、自分を守る世界標準へ

はじめに

壁の穴を見たとき、
私はあることに気づいた。

それは「境界線」という言葉だった。

それまで私は、
家族だから許されることがあると思っていた。

夫婦だから。
親子だから。

でも、本当にそうなのだろうか。


自宅に帰宅して


私は夫と別居しているが、自宅に戻ったとき、子ども部屋の壁に新しい穴が増えていることに気づいた。


息子の退職と自宅への引越しと同じ時期に私は家を出ていた。

息子が高校生の時に作ったものではない。
たしか、大学4年生のころ。ドアや壁に出来た穴にリフォームシールを貼ったから、穴はもう見えないはずだった。


「また、辛くなったのだろうか」

そう思った。

壁に向かうしかなかった感情があるとしたら、
その背景には、どんな構造があるのだろう。

DVは怒鳴り声だけではない。
私は、対等でない関係に潜むのだと学んだ。

静かに、日常の中で積み重なるものもある。


① 借金 ― 経済カード


息子は成人している。
ブラック企業を退職して、自宅に戻って来ていた。
税理士を目指して、
税理士事務所でアルバイトをしながら簿記2級の勉強をしている。

半年で2級合格を目指し、秋から税理士の予備校に通う予定だ。

税理士の合格率は20%弱。

11科目中5科目合格が必要で、最短でも3年、働きながらだと5年はかかる。

大学時代は人のために役に立ってると肌で実感できる仕事を探していた。

地元の鉄道会社の夢は消え、地元の建設コンサルタント業で実現しようとしていた。

革新的なENTPの息子は古い業界とは合うはずもなく、自営を考えるようになった。

そして、現在税理士の資格取得を目標に、将来的には独立を目指している。

そんな20代の息子は今は困窮しているが、法的に親に経済的援助の義務はない。

あるとき、息子は父親に車を処分するため、残債の肩代わりの借金を頼んだ。

すると「返済は不要」と言われた。

一見、とても優しい話に見える。


しかし、自宅へ戻ってきてからの8ヶ月間、
生活費や消耗品は息子自身の貯金から出している。
自炊もしている。


ーーー振り返ると、
夫は7年前から、私が片頭痛が悪化しても、家事の分担が不満だと言っていた。

口論の末に、離婚したいと言っていて、
ちょうど1年前も、私と息子は一緒に、この家を出て行くようにと、私に言っていた。

潜在的に、子供も排除したい気持ちがあるのだろう。

だから、
父親からの目線では、
今の息子を
"居候" "厄介な子供"
として映っているのではないかと、
私は不安視している。

父親には
応援する気持ちが
無いのかもしれない。ーーー


水道光熱費は父親から請求されない。
だが全面的な支援でもない。

つまり、

「住まわせている側」という優位性は残る。

経済カードは、力のバランスを固定しやすい。


② キッチン ― 正論 × 力の差


息子は自炊をする。
ただ、すぐに片付けないこともある。
2階の自室に戻り、翌日になることもある。

すると父は注意する。

キッチンを汚すな。
だらしない。
ルールを守れ。

内容だけ見れば正論だ。

しかし、

・住居の管理権
・経済的優位
・立場差

これが重なると、正論は「従わせる力」に変わる。


正論 + 圧倒的な力の差 = 逃げ場のない攻撃

顔を合わせるたびに繰り返される説教は、
対等な話し合いにならない。

父親は自炊をしない。
親子の食事は完全に別々。

キッチンを汚したことでの説教が終わらない。

夫は、私に「謝って済むなら警察は要らない。」と言い、討論する人だった。

弁の立つ息子でも、話が終わるまでに50分もかかったそうだ。


③ 部屋への侵入 ― 境界線の否定


息子が「入らないで」と言っても、父は部屋に入るようになった。

以前は息子が帰省するたびに部屋のゴミ集めも換気も気持ち悪いから嫌だと言って積極的ではなかったのに、
私がいなくなって息子が住むようになってから、態度が急に変わった。

息子は外出時、外から十円で簡易的に鍵をかけるようになった。

すると「鍵をかけるな」と怒られたという。

ここで問題なのは掃除ではない。

境界線を引いたことへの反応だ。

「NO」が通らない構造。

これが繰り返されると、
安心は削られていく。

その積み重ねが、
大切な家族との縁さえも静かに壊していくことに、
当事者は気づかない。

まるでシェアハウスのような自宅で起きたできごと。

個室への侵入拒否と鍵施錠する息子、それを拒む父親。

もしこれが本当にシェアハウスであれば、
オーナーであっても、設備維持を理由に
本人の許可なく各部屋へ無断で入ることは許されないだろう。

話し合いでは解決できないこの構図は、
DVで典型的に見られる支配のパターンの一つである。


自立を急ぐ理由


息子は一人暮らしの時期を一年早めることにした。

簿記2級に合格したら、
現在バイトしている税理士事務所に
正社員登用を打診する。

難しければ就職活動をする。

今はダブルワークで資金を作っている。

「落ち着いて勉強できる環境がない家には居られない」

これは逃げではない。

構造から離れる選択だ。


「構造としての境界線が守られない現実」から身を守る術なのだ。


DVは感情ではなく構造


DVは怒鳴り声だけではない。

・経済カード
・正論の圧
・境界線侵害

これらが積み重なると、
力のバランスは固定される。

だから講座では必ず言う。

「物理的に離れること」

距離は、最後の防御になる。


DVの問題は、感情の衝突ではない。
境界線が守られない構造そのものにある。

話し合いが成立しない関係では、
距離を取ることは逃げではなく、防御である。

断絶は復讐ではない。

安全を守るための合理的な選択だ。


これらの夫の行為から、父親とはもう会わないつもりで自立する決意をしたことは、困難な中でも、一つの救いでもある。

私だけ離婚して避難できても、息子は両親どちらとも縁が残る。
息子も絶縁の道を選んでも良いのだ。


自分を守る選択をして良いのだ。


息子も、もう十分頑張ったと思う。

息子から、私も早く仕事を増やすように、励まされてしまった。

私も頑張ろう。


令和における「違和感」の正体

日本もようやく世界標準に追いついた

• 「家長」という絶対権力:
昭和の価値観では「稼いでいる者が一番偉い」「親の言うことは絶対」という空気が強く、家の中での対等な対話という概念自体が希薄でした。
• 「正論」という名の武器:
「飯を食わせてやっている」「ルールを守れ」という理屈さえ通れば、相手の感情やプライバシー(部屋の鍵など)を無視しても「教育」や「しつけ」として正当化されがちでした。
• コミュニケーションの不器用さ:
「背中を見て育て」という文化の裏で、言葉で寄り添うことを知らず、支配や圧力をかけることでしか威厳を保てなかった父親像は、まさに昭和のステレオタイプです。

現代では、これをDVとされる支配の構造と重なります。


① 法整備

日本では2001年にDV防止法が施行。
最初は身体的暴力中心だったけど、徐々に精神的暴力も含まれる解釈に広がった。

② 世界的な流れ

欧米では90年代から
  •   coercive control(強制的支配)
  •   psychological abuse(心理的虐待)

という概念が研究されていた。

日本は少し遅れて浸透。

③ SNS時代

体験が可視化された。
「うちも同じ」が増えた。

■ モラハラが理解され始めたのはいつ?

日本で一般化したのは
2010年代後半〜ここ10年くらい。

女性相談窓口に夫婦問題を相談にきた人の中で、モラハラ=DVと知らない人は多い。

20年前は、正直ほぼ理解されていなかった。


欧米(特にイギリスなど)では、身体的暴力的がなくても、行動を制限したり、経済的に追い詰めたり、孤立させたりして相手をコントロールすることを犯罪として扱う動きが90年代から研究されてきて、2015年には法制化されました。

まとめ


話し合いができない家庭。
そこには、力を持っている側がルールを決め、従わせるのが正しいと疑わない、対等でない関係が浮き彫りになる。

力を持って、支配しようとする構図なのだ。

金銭援助は支配への入り口。

境界線の侵害は、支配の強化。

対等ではない立場。そこには力の差がある。

私は講座を受けて学んだから、もう迷わない。

その力の差の中で起こること。
これは、DVでよく見られる支配のパターンなのだ。

〜支配から逃げることは、自分を守ること〜

親子であること、夫婦であることは、
相手の気持ちの境界線を越えてよい理由になるのだろうか。

あなたの境界線は、守られていますか。



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
何かの気づきや、考えるきっかけになれば嬉しいです。

このテーマについて、これからも綴っていきます。
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