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察してができない私が、生きづらかった理由

――ADHDの特性と、先が見えてしまう人が壊れるまで、そして助けられた話





私はずっと、生きづらかった。


  •   天然
  •   変わっている
  •   空気が読めない

と言われるか、
そうでなければ怒られてきた。

何が悪いのか分からない。
どう直せばいいのかも分からない。

ただ、「私が悪いのかもしれない」と
長い間思い続けてきた。

最近になって、やっと整理できた。
これは性格の問題でも、努力不足でもなかった。

特性と、役割と、環境の問題だった。



私の特性について



私は46歳のときADHDと診断された。

脳のブレーキが効きにくい。
思い立ったらやらないと我慢できない。

いわゆる多動は、外からはあまり見えない。
動きは落ち着いていると言われることが多い。

でも、頭の中は常に動いている。
  •   脳内が多動
  •   同時に考えることが多い
  •   因果関係を一気につなげてしまう
  •   先が見えてしまう
  •   完璧主義
  •   責任感が強い

時間管理が苦手で、遅刻の常習犯。
一人になると、気づかないうちに時間が過ぎる。

別居して一人になった時期、
毎日3時に寝る生活になったこともあった。

これは「だらしなさ」ではなく、
特性の出方だった。



私のコミュニケーションの特徴



私は、本音と建前が苦手だ。
  •   社交辞令をそのまま受け取る
  •   言葉を文字通り信じる
  •   皮肉や冗談に気づかないことがある
  •   言葉の裏を読むことができない

だから、「察して」が一番難しい。

本音で話したい。
はっきり言ってほしい。
言葉に出してもらえないと分からない。

これは私の誠実さの選択であり、未熟さではない。



「特性だから仕方ない」と言うと、誰も賛同しなかった



私が「特性だから仕方ない」と口にすると、
誰も賛同しなかった。

妹も、夫も、息子も。
  •   逃げだ
  •   何でも病気にするな
  •   名前をつけて責任逃れしている

そう言われた。

でも、私が言いたかった「仕方ない」は、
免責でも、甘えでもなかった。

できないことがある
だから無理な役割は引き受けられない
工夫や調整が必要だ

という、現実認識と境界線だった。

今なら分かる。

理解してしまうと、
フォローに回らなければならなくなる人たちが、
それを拒否したのだ。



誰かが気づいて報告するものなのか



あるとき、勤務先で発達障害の特性があるように思う生徒がいたので、上司の先生にその旨配慮した方が良いのではと問題提起してみた。
すると、こう言われたことがある。

「発達障害なら、親が学校に報告するのでは?」

その言葉を聞いて、私は少し戸惑った。

私はたぶん、言わないと思う。
というより、言えないと思う。

発達障害と言っても、全員が障害手帳を所持しているわけではない。

ゼロか100ではないから、人間誰しも少なからず特性があったりする。

その特性の出方が、多すぎると社会に適応できなくなる。
その方は障害手帳が必要になる。

大人の発達障害は、気付かないで成長してきてる人が多いので、
ちょっとおバカに見えたり、だらしなく見えたり、変なこだわりが強い人、空気が読めない人、無神経もしくは自己中心的に見えたりするだけである。

特性は「性格」や「努力不足」で処理され、
我慢できるなら問題ないとされる。

学校生活は何とかやれていた。
手帳もない。
支援制度も使っていない。

それなら、
わざわざ「報告する」という発想自体がないと思う。

私のADHDも、
親が気付かなかったことが悪かったわけでも、
私が隠していたわけでもない。


だから私は、
今になって特性を理解しても、
どこかに申告したり、証明したりする必要は感じていない。

ハラスメント気質の人が職場にいたら、打ち明けても、配慮もしないし、共感もしない、ただ言い逃れと思われるのである。

これは、
ラベリングや免責の話ではなく、
自分の人生を調整するための理解だからだ。


ADHD妻がDV夫に伝えたこと



私は夫に、きちんと伝えた。
  •   察することが一番難しい
  •   それはできない
  •   言ってくれないと分からない
  •   教えてほしい

逃げでも、言い訳でもない。
境界線の提示だった。

でも夫は理解しなかった。
理解できなかったのではない。
理解しないことを選んだのだと思う。

私に「察してくれ」と言い続け、
怒りの理由を言葉にしないまま、
私を責め続けた。

ここははっきり切り分けておきたい。

DVは特性の問題ではない。
DVは、加害行為だ。



先が見えてしまう、という特性



私は、先が見えてしまう。
  •   このままだと破綻する
  •   後で困る
  •   誰かがやらなければ回らない

そういう未来が、具体的に浮かんでしまう。

これは、
ADHDの特性の出方のひとつだと思っている。

ADHDは「注意散漫」と言われがちだけれど、
実際には、完璧主義のところがある。

  •   情報を同時に処理する
  •   因果関係を一気につなぐ
  •   リスクを先に想定する

という力も強い。

だから「ADHDは社長に多い」と言われる。

構想する力、先を読む力は、
フォローよりも決断・設計・責任側に向いている。



フォロー側に回ると、なぜしんどいのか



私は完璧主義で、責任感が強い。
  •   見て見ぬふりができない
  •   気づいてしまう
  •   放置するとまずいと分かってしまう

だから、

気づいたなら、私がやらないと。

誰かに振る事は考えてなえてないし、頼めば細いと嫌がられるから、
仕事を増やしてしまう癖があった。

これは能力の問題ではなく、
役割ミスマッチの構造だった。



記憶がすぐ消えていく、という特性



私は、記憶がすぐ消えていく。

話を聞いていると、
言おうとしていたことを忘れる。

運転中に
「あ、あの調味料を買い忘れていた」と思い出しても、
家に着く頃には忘れている。

三つくらいのことを
同時に頭に置いたまま数分歩くと、消える。

これは怠けでも、不注意でもなかった。

ワーキングメモリが弱い、という特性だった。

だから私は、
覚えない工夫をしてきた。
  •   思いついたらすぐスマホにメモする
  •   リマインダーは必須
  •   スマホのカレンダーも必須
  •   空になった調味料のボトルは、買うまで捨てない

頭の中ではなく、
外に記憶を置く生活。

これは私にとって、
一番安全で現実的なやり方だった。




家族の場合(母の身元引受人の引き継ぎ)



私が入院を控えていたとき、
母の身元引受人に関する情報を整理した。

自分が関われなくなったあとも回るよう、
一度で全体が分かる形にして弟に送った。

すると、
  •   量が多すぎる
  •   受け取る方が大変
  •   仕事ができない人のやり方

と言われた。

でもそれは、
命と責任が関わる引き継ぎだった。




職場の場合――唯一、フォローされた場所



職場では、フォローされた経験もあった。
振り返ると、それは私にとって、数少ない救いだった。

新卒で入った会社でも、遅刻が多かった。
部屋に呼ばれ、少し年上の他の部署の人から言われた。

「部下が毎日遅刻するから上司が大変なんだぞ」
「ほんとに君の周りは胃が痛くなっているんだぞ」
「早く起きて、渋滞に巻き込まれないように来なさい」

私はその言葉を聞いても、結局改善できなかった。
そして当時は、その言葉の“裏の意味”も理解できていなかった。

その会社は、かなり個人商店的な職場だった。
残業代は全く出ないが、有休はある。
遅刻しても直接的なペナルティはなかった。

今思えば、
それでも雇い続け、静かに見守ってくれていたのだと思う。


遅刻やギリギリ行動は、小学生のころから続いている。
社会人になっても、勤務期間が長くなると必ず遅刻が出てくる。

疲れる職場では、片頭痛が悪化し、
遅刻が増え、最終的に体調を崩して退職する。
その繰り返しだった。


派遣会社で委託社員として働いていた頃。
ADHDの診断を受けたあと、
トラブルをきっかけにコーディネーターへ申告した。

その後、職場にも共有されていたのだろう。
同年代の上司たちは、私に強く当たることはなかった。

本来なら、
できない人を指導するのは、イライラするものだと思う。

それでも彼女らは、励ましながら関わってくれた。


「時計を見ながら仕事をするんだよ」

そうアドバイスされ、試してみた。
5分おきに時計を見る。
すると、脳が異常に疲れる感覚があった。

そのとき初めて思った。

「みんな、こんな高度なことを無意識にやっているのか」
「仕事ができる人は、やっぱり違うんだな」

1日30件以上の処理ノルマがある中で、
私は集中すると、1件に30分かけてしまう。


当時、子宮筋腫で膀胱が圧迫されていたことを、
私はまだ知らなかった。
(その6年後、子宮全摘出手術後、トイレに行く回数が格段に減った)

緊張や片頭痛予防で水分を取ると、
頻繁にトイレに立つことになる。

1時間に1回は休憩してよい職場だったので、
気兼ねなく離席していたが、

「件数が少ないから、水分を控えて
トイレの回数を減らしたほうがいい」

そうコーディネーターに言われたこともあった。


それでも、上司たちは私を笑って教えてくれた。

「目立つよね」
「変わってるよね」

呆れでも、嘲笑でもなく、
どうすれば他の人と同じくらいできるかを、
愛情をもって伝えてくれていた。



何かに集中してると、気付けば深夜。遅刻という現実と、今も続いている課題。


早く寝れないことが大きな問題である。

かなり稀だったけれど、5年続いた職場。

そこでは、
  •   特性を人格評価にしなかった
  •   フォローが役割として存在していた
  •   業務として分担されていた

だから機能した。



遅刻は、
「だらしない」
「やる気がない」
と思われやすい。

でも私の場合、意志の問題ではなかった。

最初は、気を張っている。
新しい環境では緊張しているから、遅刻しない。
むしろ早く着こうとする。

けれど、だんだん慣れてくると、
その緊張がほどけていく。

すると、
脳のブレーキが緩くなっていく。

やるべきことより、
今やっていることを優先してしまう。

「ここで切り上げる」というブレーキを、
外してしまう。

これは、
気が抜けたからでも、
甘えているからでもない。

緊張で無理やりかけていたブレーキが、
保てなくなるだけだ。

やりたいことを止める。
眠くなる前に、早く風呂に入る。
早く寝る。

そんな「簡単なこと」が、
今も本当に難しい。

正直に言って、
私はいまも大変だ。

だから私は、
「気合で直す」ことを目標にするのをやめた。

いまの目標は、とても小さい。
   •   やりたいことを、途中で止める
   •   眠くなる前に、風呂に入る
   •   早く寝るための行動を、先にする
   • 朝は、思い出したこと、気になることに手を付けない
   • 朝は、メールを返信しない



これは怠けの告白ではない。

私が、今も生きるために
続けている調整の話だ。



別居後、私はAIに相談するようになった



別居してから、
私は身内に送るメールやLINEを
AIに校正してもらうようになった。

本当に、傷ついていた。

好意が怒りに見え、
命令だと言われ、
上から目線だと受け取られた。

AIに相談すると、
相手は会話型で、
かなり短文にしないと負担になるタイプだと分かった。

進化は、私を助けてくれた。




生きづらさの正体



私の生きづらさは、

発達特性 × 察し文化 × 説明しない関係性

の組み合わせだった。



今、思っていること



私のやり方は、ベストだった。
それでも壊れたなら、
相手と環境が悪かった。




同じく生きづらさを感じている方へ


  •   裏を読めなくてもいい
  •   本音で話したい人は悪くない
  •   察しを要求する人から離れていい

私は今、
「うまくなる」より
「安全に暮らす」ことを選びたい。

それでいいと思っている。

最後までお読みいただきありがとうございます。

何か気付きになっていただければ嬉ししいです。

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