もしも織姫と彦星が、違う色だったら。
もう過ぎてしまったが7月7日、七夕。
織姫と彦星が、一年に一度だけ会うことを許された夜。
子どもの頃は、ただロマンチックな物語だと思っていた。

でも、色を学ぶようになってから
七夕の景色を思い浮かべるたびに、別のことを考えるようになった。
「もし、織姫と彦星のイメージカラーが今とは違う色だったら
この物語はどう見えていただろう。」
七夕のイラストや飾りでは、織姫はピンク系。彦星は青系。
そんな配色で描かれることが多い
この組み合わせは
多くの人の中で自然なイメージとして定着しているように思う。
私は、この二色だからこそ、七夕という物語は
ここまでロマンチックに感じられるのではないかと思った。
もし、違う色だったら。
色を変えるだけで、物語の印象は驚くほど変わる。
例えば
織姫がミステリアスなラベンダーで、彦星が深いモスグリーンだったら。

どこか現実離れした、静寂すぎる二人。
一年に一度の再会も、淡々とした大人の儀式のように感じる。
私たちが知っている
胸が締め付けられるような切なさは、生まれなかったかもしれない。
では、織姫が鮮やかなアプリコットオレンジで
彦星が熱を帯びたカージナルレッドだったら。

画面全体が熱を帯びる。
どちらも前へ進む力が強い色だから、会えない一年の想いは
恋しさよりも衝突や執着、情熱へ変わってしまう気がする。
ドラマチックだけれど、少し熱すぎる。
見ているこちらの胸まで焦げついてしまいそう
あるいは、織姫がレモンイエローで、彦星がミッドナイトブラックだったら。

お互いの存在は強烈に際立つ。
でも、その対比はロマンチックというより、どこか歳の差のようなギャップを生む
寄り添う二人というより
年齢差が向かい合っているような、背伸びをした恋物語に感じる。
色にも向き不向きがある
他の色を並べてみて分かったと思うが
物語、状況を伝える上で、色には向き不向きがある。
こうして色を置き換えてみると
私はやっぱり、織姫はピンク系、彦星は青系のイメージがしっくりくる。
ピンクは、赤に白が加わることで
熱量を残したまま柔らかさをまとった色。
恋という感情そのものにピッタリ。
ただ想いをぶつけるのではない
届くか分からない相手を、それでも優しく想い続ける色。
だから織姫には、ピンクがよく似合う。
一方で青は、 静けさや誠実さを感じさせる色。
感情を大きく揺らすのではなく、 その想いを静かに
受け止める力を持っている。 そして、誠実さも感じられる。
だから彦星には、青がよく似合う。
優しく焦がれるピンク。 静かに待ち続ける青。
この二つの色が、一年に一度だけ交わる。
だから、七夕という物語をロマンチックに感じるのだと思う。
色が物語をさらに物語にする
文字だけで綴られた物語も
私たちの心の中では、いつも鮮やかな色彩を伴って再生されている。
もし七夕の二人が、別の色をまとっていたら。
それはきっと
私たちが知っているあの切なくて美しい「七夕」とは
まったく違う物語になっていただろう。
色は、ただ背景や衣装を飾るためのものじゃない。
言葉以上に饒舌に、登場人物の心の距離や
秘められた恋しさを私たちに伝えてくれている。
ピンクと青。 この二つの色が出会うからこそ
七夕はいつまでも私たちの胸を捉えて離さないのだ。
夜空を見上げるたび、私はその色が持つ、静かで確かな力を感じている。
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