デジタルマーケティング×色彩心理|潜在層と健在層では色の役割が違う
タムラ カズアキさん(株式会社COMMA代表)が運用する、Podcast番組
#62
「あなたのその行動、見られてる、、かも??〜デジタルマーケティングってなに?〜」
この回で、デジタルマーケティングについて話をしていて
私の配色の考え方が一段階上がったような感覚があった。
それは
潜在層と顕在層では、色に求められる役割そのものが違う
と思ったからだ。
潜在層は、まだ問題を解決する方法を知らない。
そもそも問題に気付いていない。
そのため最初に必要なのは
「読むこと」ではなく「気付くこと」になる。
一方で顕在層は違う。
既に問題を認識している。
比較検討もしている。
求めているのは気付きではなく、安心して決断するための材料だ。
つまり
潜在層向けの配色と顕在層向けの配色では、設計思想そのものが変わる。
潜在層の配色は「止める」
潜在層向けの広告やSNS投稿では、まず視線を止めなければならない。
そのため
・彩度が高い
・コントラストが強い
・目立つ
といった要素が有利になる。
例えば飲食店。
新規オープンを告知するなら、
オレンジ
赤
黄色
などの暖色は非常に目を引きやすい。
美味しそうという感情と
「何だろう?」
という興味を同時に生み出せるからだ。
美容系でも同じ。
若年層向けなら、
ピンク
コーラル
ビビッドカラー
などを使い、理想の自分を想像させる。
潜在層向けの色は、読ませるためではなく
気付かせるために扱うべきだ。
だから目立つ必要がある。
潜在層への配色は「認知負荷」をあえてかける
潜在層向けに彩度を高くしたり
コントラストを強くしたりするのは、単純に派手だからではない。
スクロールする手を止めてもらうためだ。
SNSや広告は大量の情報と競争している。
その中で綺麗に整った配色は、周囲に同化してしまうこともある。
だから潜在層向けでは、あえてタイムラインの中で浮く配色が必要になる。
これは脳の「カクテルパーティー効果」に近い考え方だ。
本来自分に関係がない情報でも、「何だろう?」
と思わせることで注意を向けさせる。
ここでは美しさよりも
違和感
刺激
発見
の方が優先される。
潜在層向けの配色は
認知負荷をかけてでも視線を止めることが目的になる。

顕在層への配色は「認知負荷」を下げる
顕在層は違う。
既に興味を持っている。
比較したい。
詳しく知りたい。
購入や来店を検討している。
つまり、読む準備ができている状態だ。
ここで潜在層向けのような
高彩度・強コントラストの配色を続けると逆効果になる。
目が疲れる。
情報が整理しづらい。
比較しづらい。
結果として離脱の原因になる。
顕在層向けに必要なのは、認知負荷を下げることだ。
例えば、
・白背景に黒文字
・重要な部分だけにアクセントカラーを使う
・情報の優先順位を整理する
・余計な色を減らす
といった設計になる。
顕在層向けの配色は
目立たせるためではなく、理解を助けるために存在する。
情報の比較や理解を邪魔しない。
そのための引き算の配色が、決断を後押しする。
色相よりも「認知の段階」が重要
よく、
暖色=集客
寒色=信頼
と言われることが多い。
もちろん間違いではない。
ただ、その前に考えるべきことがある。
それは、ユーザーが今どの段階にいるのかという視点だ。
実際には、潜在層と顕在層に向けたメッセージから紐解いていくと
実は「何色を使うか」で悩むことは少なくなる。
先に決めるべきなのは色ではない。
今ユーザーがどこにいるのか。
ユーザーに何を求めるのか。
気付いてほしいのか。
興味を持ってほしいのか。
比較してほしいのか。
決断してほしいのか。
その役割が決まれば、自然と必要な色の性格も見えてくる。

補足
今回の記事では、
潜在層は「気付き」
顕在層は「理解と決断」
と極端に分けて話した。
もちろん実際のマーケティングでは、ここまで単純ではない。
例えば大手企業の場合、潜在層向けの広告であっても
商品理解より先に、「ブランドを思い出してもらう」
ことが目的になる場合もある。
その場合は、高彩度で目立たせることよりも
ブランドカラーを一貫して見せることの方が重要になる。
今回伝えたかったのは、
暖色か寒色かという話ではない。
配色を考える時に、
「気付き」を優先するのか。
「理解」を優先するのか。
その違いによって色の役割が変わるということだ。
配色はデザインの最後に決める単なる装飾ではない。
今ユーザーがどこにいて、
次にどんな行動を取ってほしいのか。
配色は、その状況に合わせて考えるものだ。
だから配色を考える時は、
「何色を使うか」ではなく、
「何を感じて、何をしてほしいのか」
から考えた方が上手くいく。
潜在層には気付きを。
顕在層には理解と決断を。
色を決める前に、ユーザーが今どこにいるのか。
まずはそこから考えたい。
配色例
飲食店の場合
飲食店は、潜在層向けと顕在層向けで配色の役割が大きく変わる。
潜在層向け(SNS・新規オープン広告)
目的は「視線を止めること」。
料理をじっくり読んでもらう前に、まず存在を知ってもらう必要がある。
そのため、
鮮やかな赤橙
黄色
高彩度な暖色
などが有効になる。
食欲を刺激し
「美味しそう」「気になる」
を瞬時に作る。
ここでは認知負荷をあえて高め
タイムラインの中で目立たせることが重要になる。
顕在層向け(メニュー・予約サイト)
目的は「理解と比較」
料理写真を見て価格を確認し、来店や予約を決めてもらうことだ。
そのため、
クリーム色
ベージュ
ブラウン
落ち着いたグレー
などにして色みを落ち着かせる。
重要なのは、
料理写真を邪魔しないこと。
情報を読みやすくすること。
料理を引き立てる配色にすること。
ここでは目立たせることよりも
認知負荷を下げることが最も優先される。
同じ飲食店でも、
潜在層には「気付かせる色」
顕在層には「理解を助ける色」
が求められる。
変えたのは色相ではない。
色に与える役割だ
潜在層では視線を止めるためのオレンジ。
顕在層では料理を引き立てるためのオレンジ。
同じ系統の色でも、ユーザーの認知段階によって求められる仕事は変わる。

美容業界の場合
美容業界では、潜在層と顕在層で配色を通して果たす役割が変わる。
潜在層向け(SNS・インフルエンサー投稿)
まだサービスを探していない人や
自分の悩みに気付いていない人に対しては
まず興味を持ってもらう必要がある。
そのため
ローズベージュを中心にラベンダーやシャンパンゴールドを組み合わせている。
ここでの目的は、情報を理解させることではない。
「こんな自分になりたい」
「なんだか気になる」
「かわいい」
といった感情を先に動かすことが大切になる。
モデル写真を大きく使い、世界観や憧れを伝える設計になっている。
潜在層向けの配色は、比較や理解よりも先に
興味の入口を作るためのものだ。
顕在層向け(料金表・施術内容・予約サイト)
既に興味を持ち、比較検討を始めている人に向けている。
ここでは目立つことよりも、情報を理解しやすくすることが重要になる。
白をベースに、ニュアンスグレーや彩度を抑えたローズピンクを使用し
料金表や施術内容、ビフォーアフターが見やすい構成にしている。
予約ボタンにも色は使われているが、必要以上に目立たせてはいない。
安心して比較し、納得して予約できることを優先しているためだ。
顕在層向けの配色は
興味を引くためではなく、理解と決断を助けるために存在する。
同じ美容業界でも
潜在層には「憧れを抱かせる色」
顕在層には「理解を助ける色」
が求められる。
重要なのは、色に与えている役割
潜在層では感情を動かし、興味を持たせる。
顕在層では情報を整理し、比較と決断を助ける。
美容業界の場合、施術料金が比較的高額になることも多い。
そのため顕在層向けの配色には
決断を後押しする役割だけでなく、不安を取り除く役割も求められる。
強く刺激して今すぐ申し込ませるよりも、
「ここなら大丈夫そう」
「ちゃんと比較できた」
「納得して選べた」
と感じてもらうことが重要になるため
彩度をある程度抑える必要があると考える。

士業の場合
士業も潜在層と顕在層で配色の役割が変わる。
ただし他業界と違い、どちらの段階でも信頼性を維持する必要がある。
潜在層向け(SNS広告・リスティング広告)
目的は「問題への気付き」
まだ相談を考えていない人に対して、
「そのままで大丈夫ですか?」
という危機感を与える。
例えば
相続放置
未払い残業代
契約トラブル
助成金申請漏れ
など。
ここでは、深い赤
警告色の黄色
濃いネイビー
を組み合わせる。
ただし、赤だけで構成すると煽り広告に見えるため、
ネイビーやグレーで信頼感を補強する必要がある。
潜在層向けの配色は、危機感を伝えながらも、
相談先としての信頼を失わないことが重要になるため
暖色系の面積の色は少なめすることで
信頼感をコントロールする事が必要である
顕在層向け(実績・費用体系・問い合わせ)
顕在層は、既に問題を認識している。
求めているのは、
安心
実績
専門性
である。
そのため
深いネイビー
ブルー
ホワイト
ライトグレー
などが中心になる。
料金体系
解決事例
対応実績
問い合わせ導線
を理解しやすくすることが重要になる。
ここでは目立つことよりも、
正確に読ませること。安心して相談できること。
が優先される。
同じ士業でも、潜在層には
「問題に気付かせる色」
顕在層には
「安心して依頼させる色」
が求められる。
飲食店が食欲、美容が憧れを扱うのに対し
士業は不安と信頼を扱う。
そのため潜在層向けであっても、
他業界ほど派手な配色にはなりにくい。
危機感と信頼感。
そのバランスを取ることが、士業の配色設計では重要になる。

※画像は、チャッピー生成なので
一部おかしいですが、ご理解くださいませ🙇
まとめ
この記事では、潜在層と顕在層では色に求められる役割が変わるという視点から配色を考えてみた。
飲食店なら食欲。
美容なら憧れ。
士業なら不安と信頼。
扱う感情は業界によって違う。
しかし共通しているのは、ユーザーが今どの段階にいるのかによって、色の役割が変わるということだ。
潜在層には気付きを与える。
顕在層には理解と決断を助ける。
そのため、同じ色を使っていても、果たす役割はまったく違う。
配色を考える時、多くの場合は「何色を使うか」から考え始めてしまう。
しかし本当に先に考えるべきなのは、
ユーザーは今どこにいるのか。
何を感じてほしいのか。
次にどんな行動を取ってほしいのか。
という部分だと思う。
配色はデザインの最後に加える装飾ではない。
ユーザーの認知や行動を支える設計の一部だ。
だから色を選ぶ前に、まずはユーザーを見る。
今回ラジオを聞いていて
そんな当たり前だけど大切な視点に改めて気付かされた。
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