『小さな春の場所』最終話 パジャマパーティーの夜は深けて
ケインが胸を張って言った。
「俺が十日間も夢を見続けたのは、愛がそうさせたんだ」
「はいはい、のろけの時間ね」とミライはポテチをつまみながらいった。
小春はクッション越しに、
「うざ・・・」と言いながら、しっかり笑っていた。
プリはというと、
ミライを盗み見しては、うっとりした顔になっている。
「小春のママのどら焼き、私は餡クリームチーズが一番だと思うな」ミライが言う。
「いや、ウインナーケチャップだよ。あっ、粒マスタードもね」ケインが即答する。
「えー、粒々栗餡だよ」小春が言う。
「私はミライちゃんと同じ」もちろんプリが言う。
ミライが笑った。
「プリ、嬉しいけどさぁ~」
「いや、合わせてるんじゃなくて、同じでして」
プリがミライを見て、
ケインが小春を見て、
ミライがその二人を見て、
小春が全員を見た。
妙な沈黙。
プリが口を開いた。
「ねぇーおやじ、まだ小春ちゃんにチューしてもらってないの?」
「プリ、聞くな」 ケインが即死した。
「だって、ここは日本だよ。そんな文化ないし」
ミライは腹を抱えて笑った。
プリは満足げだった。
「ところで、プリの本名は?」
「ケイン、それ聞く」
「笑わないなら言うけど…。天地真理」
「で?」ケインは真顔だった。
小春は首をかしげた。
「でって?」
「えっ?・・・普通に可愛いけど。」
ミライが吹き出した。
「プリ、期待外れだったね」
プリはむしろ誇らしげだった。
「おじいちゃんが真理ちゃんのファンだったんです。天地家は江戸時代から、代々“真理”を継ぐ家ですし」
「ぼく、男の子に興味ないので・・・」
「お父さんは『天地道場の跡取りはどうする!』って頭抱えてます。」
「それで、お母さんは」
「『養子もらえばいいじゃない。』の一言で終わりました」
「軽っ!」
「うちの母ですから」
「学期終わったと思って、制服のズボンを、クリーニングに出しちゃったし」
「でも、スカート似合ってたよ」
「黙れ、ケイン」
小春とミライが吹き出した。
そこから天地家の歴史の話が始まり。
プリはずっと真顔で語り続けた。
ケインが時計を見る。
「まだ続くのか」
「まだ、明治時代の話です」
「長っ」
そしてわちゃわちゃと夜は更けていった。
エピローグに続く
✥≁:.。.≁:.。....。....。.≁.。.:≁✥
🌿最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。
✥≁:.。.≁:.。....。....。.≁.。.:≁✥
