“寄り添う”だけでは、支援は前に進まない
寄り添うということ
ケースワーカーは、“伴走者”のような存在だと言われることがあります。クライエントがゴールにたどり着くまで、共に悩み、考え、行動するというものです。
私の同僚でも、クライエントと一緒に一喜一憂し、時に涙するほど寄り添う人がいました。その結果、支援が停滞したり、心身ともに疲弊しているところも見てきました。
寄り添うことを正しく理解しないと、支援が進まなかったり、支援者自身が疲弊してしまうリスクがあるんです。
寄り添いの誤解
寄り添うことに次のような誤解をしていると、支援停滞や支援者疲弊のリスクがあります。
(1)ケースワーカーは“優しくあるべき”
誤解を恐れずに言うと、ケースワーカーに必要なのは、優しさそのものより、信頼関係を築く力です。大切なのはクライエントや関係者と信頼関係を構築することだからです。
(2)クライエントの意思を必ず尊重する
寄り添うことは、言いなりになること、ではありません。本当に必要なことは、ケースワーカーがいなくても、クライエントが望むことを実現できる状況にすることです。
(3)クライエントと"同じ目線"
これもよくある誤解で、同じ目線に立ちなさい、とはよく言われるものですが(私も言われたことがあります)、もう一言加えるべきです。
「同じ目線になって、客観視しなさい」
寄り添えること自体は、ケースワーカーとしての強みです。矛盾するようですが、ケースワーカーには熱意と愛情が必要で、それができる人は、大抵クライエントと良い関係を結んでいます。
なぜ、寄り添いすぎるのか
感情論ではなく、バイステックの7原則をもとにした技術的な視点でみてみましょう。
(1)「統制された情緒的関与」ができていない
支援者自身の感情コントロールができていないということです。クライエントを客観視できているか、距離が近すぎないか、など、自分自身の考えを理解しなければなりません。
(2)「受容」を履き違えている
受容とは、受け止めてあげること。言うことを聞くのではないのです。
クライエントの発言や思いに共感し、受け止めてあげる距離感が大切です。
(3)「自己決定」を阻害している
寄り添うがあまり、クライエントが望んでいない支援まで踏み込んでしまうことも。これはまさに、「支援がズレていく」ことですね。
【寄り添う視点を変える】
寄り添うこと、を少し言い換えてみましょう。一気に視点が変わりますよ。
寄り添うこと → 【ゴールまでのガイド役】
ケースワーカーは、クライエントのゴールまで、一緒に伴走していく役割です。つまり、“導く存在”として伴走することです。
あなたが初めて山登りをするために、ガイドをつけたとします。ガイドは、あなたが頂上にたどり着くまで、必要な助言と時に励ましをしながら伴走してくれますが、代わりに登ってくれることはありません。このイメージです。
これからできること
最後に具体的に実践できることをお伝えします。
【ケースワークしている自分を外から見てみよう!】
クライエントを客観視することも大切ですが、まず自分の言動を、少し距離を置いて、自分自身の関わり方を見直してみましょう。
寄り添えることは強みです。
ただし、“寄り添うだけ”では支援は前に進みません。
支援を進めるためには、熱意に技術を加えること。
それが、本当の伴走者です。
