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個人的に多大な影響を受けた/強烈な印象を残したバンド紹介 #39 lynch.

20代の頃DIR EN GREYに喰らいまくった俺はDIRのみでは飽き足らず、同系統の他バンド…フォロワー勢をも片っ端から漁るように聴きまくっていた時期がある。「the GazettEが嫌いじゃないDIRファン」と言えば当時の俺の嗜好が分かるだろう。ちなみにこれは20代後半から30代にかけての話である。20代前半の頃はイングヴェイに喰らいまくり、ディスクユニオンで帯に「ネオクラシカル」だの「様式美」だのと書かれているアルバムを片っ端から収集していた。そしてただのギターピロピロ速弾きオナニーアルバムでしかない事に失望する。そんな恥ずかしい過去が俺にもあったってわけさ(笑)。

当時から言われていた通り実際には「DIR EN GREYの劣化コピー」等とディスられていたバンドが多く、そういったバンドは人知れず消えていった。世の常というやつである。だが中にはフォロワーの枠に留まらずにV系ラウド路線でありながら独自の方向性を進み成功を収めた実力派も存在している。ファイアーエムブレムに対するスーパーロボット大戦のようなものだ。本日はそんな成功を収めた実力派の一組を紹介したい。

2004年に名古屋で結成されたV系メタルバンドlynch.(リンチ)。複数による暴力行為の俗語をバンド名に冠するとは何とも不穏だが特にそういった荒くれた意図は無いようで、名前の最後に付く「.(ピリオド)」がポイントである。同年にGULLETを脱退したギターの玲央がシンガー葉月とドラマー晁直に声をかけ結成。ライヴを行いつつ2006年にツインギターの片割れである悠介が加入する。

メジャーデビュー直前までベースは固定せずサポートメンバー頼りでレコーディングはマルチプレイヤーでもある葉月がプレイしていたが、2010年のツアーファイナルでそれまでサポートを務めてきた明徳が正式にベーシストとして加入する。翌年2011年に通算5作目に当たるアルバム『I BELIEVE IN ME』をキングレコードからリリースしメジャーデビューとなる。

2015年には9作目に当たるアルバム『D.A.R.K. -in the name of evil-』で正式に海外デビューも果たすが、翌年2016年にベーシスト明徳が大麻不法所持で逮捕される。当時国内エクストリームメタル界隈のバンドマンの間でマリファナがブームだったのか他にも芋づる式に逮捕者が出た(HER NAME IN BLOODのドラマーUmebo)のは有名な話である…。

当然ながらバンドは暫く活動休止となるが、2017年に4人体制で活動再開しさらに逮捕されクビになっていた明徳がバンドに復帰する。セカンドチャンスというやつだ。恐らく明徳が人格者だったのかどうかは定かではないが替えの効かない存在だったからだと思われる。ライヴでの弄られ方を見るにバンド側からもファンからも愛される存在である事が伺える。

2020年にはデビュー15周年を記念しキャリア初となる日本武道館での単独公演が発表されるもコロナ禍のため中止。その代案としてYoutubeの公式チャンネルにて無料ライブ配信を行う。その後はコロナ禍という事もあり一時活動休止となるも2022年に活動再開。延期となっていた武道館公演も成功させ、2024年には結成20周年を迎えツアーやファンクラブ限定ライヴ、さらには4枚組のニューアルバムをリリース。そして2025年には初期作リメイクアルバムをリリース。当時のナンバーを現代の演奏力/プロダクションで蘇らせており、改めて聴くと当初から今現在の路線をしかと打ち出していた事が伺える。

同郷である黒夢やLaputa、ROUAGE等と言った所謂「名古屋系」のバンドから影響を受けているが、2000年代半ばに登場したバンドだけに音楽性はかなりメタル寄りだ。当初はDIR EN GREY路線のラウド系と見做されていたが実際には早い段階からスクリーモやメタルコアの要素を取り入れており、ダークさや激しさ/アグレッションの中に憂いや叙情/哀愁を感じさせる作風が持ち味である。2010年以降の現代V系メタルコアが良くも悪くもイマドキなポップさ/キャッチーさを取り入れているのに対しlynch.はあくまでも90~2000年代V系の系譜に位置する憂いを帯びた薄暗いメロディーラインを武器としている。

決して今風なミックスボイスによるハイトーンを使わないシンガー葉月のスタイルもlynch.のメロディーラインに大きく作用しているのであろう。昔ながらのミドルレンジで艶やかかつ朗々と歌い上げる歌唱は色気があり実にエモーショナルだ。それでいてスクリーム/グロウルは現代メタルコアのそれと比べて一切遜色の無い激しさ/声量があり、早口で勢い良く捲し立てるスクリームには兼ねてより定評がある。俺自身葉月のスクリームには何気にかなり影響を受けており、主にミッドのグロウルで葉月を意識する事は多い。アルバムを重ねる毎に表現力も向上しており、一時期スランプに陥りグロウル/スクリームが控えめだった時もあるが今は克服。以前はフライスクリームが基本だったがフォールスコードによるローのグロウルやガテラル、トンネルスロート的な咆哮をも披露するまでに進化した。

余談になるが葉月はlynch.結成前に当時「V系デスメタル」を称していたDEATHGAZEの初代メンバーとして名を連ねていた。1stシングルのみ参加している。

演奏もタイトさを誇っており、2010年以降のV系メタル勢のようなシュレッドギターソロこそ見せないものの(ライヴでたまに披露する事はある)縦がキッチリと揃ったアンサンブルを披露。ライヴでもそれは変わらずソリッドな演奏スキルを提示している。7弦ギターでヘヴィリフとクリーンなアルペジオを両立させる悠介に6弦ギターで堅実なプレイを見せる玲央、スラップを交えたセンスあるフレーズを多用する他バックアップグロウルも務める明徳、ハードコア畑出身でタイトかつアグレッシヴなドラムを叩く晁直と個性溢れる巧者が顔を並べている。こういう所もまたlynch.が勢いを落とさず活動を継続出来ている大きな要因だろう。

ルーツが名古屋系だけにミッドチューンやバラードにそういった往年のダークなV系要素を感じさせるが、メタルヘッズとしてはやはりメタルコア色濃いアグレッシヴなファストチューンが最も刺さってしまう。メジャーデビュー作となった『I BELIEVE IN ME』は以前から持っていたDIR EN GREY路線のラウド要素を残しつつ当時でいうスクリーモの要素を取り入れており、叙情性と浮遊感、エモさとキャッチーさ、ダークさが両立した名盤である。俺も当時滅茶苦茶ヘビーローテーションしまくっていたのを覚えている。

後のアルバムも毎回メロディアス路線だったりアグレッション路線に寄ったり等の差異こそあれど基本的にはダークで叙情的かつアグレッシヴなV系メタルコア/スクリーモでありつつ90年代名古屋系をも踏襲したサウンドをキープしている。メインコンポーザーはシンガー葉月で彼が殆どの楽曲を手掛けているが故に手癖のようなものも強く、メロディーやリフ、フレーズが結構被る事もあるんだが根本的なメロディーセンスが優れておりバラード等においてもフックある叙情的なメロディーを味わえる。

そして最後に個人的lynch.最強キラーチューンの一角であり歌詞にも喰らいまくったナンバー『GALLOWS』を紹介して今回の記事の締め括りとする。メタルコア路線のファストチューンで後半にのみ顔を出すクリーンVoによる日本語詞は俺のケツを蹴り上げるような内容であり、そして聊かプライベートな話になっちまうが今苦しみを抱えている俺の友人…と呼ぶには余りにもおこがましい、俺よりも遥かに格上の存在でありlynch.やNOCTURNAL BLOODLUST、DEVILOOFらと同じ位尊敬している人物に捧げたい。

さぁ 何を躊躇い 何を迷う?
まだ観ぬ明日は闇 やがて降り注ぐは絶望
何を失い何を懸ける?
覚悟を今決めろ 涙止まなくとも
空は時に雨を寄越し
風は猛り 夢を奪っていく それでも
志半ば腐るために生きているんじゃないだろう
さぁ行こう 死の先へ

『GALLOWS』 - lynch.

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