見出し画像

8/16 好印象はつくれても、信頼は演じ続けられない。元刑事が考える「人格の強さ」

「話がうまい人」と「信頼できる人」は、同じではない。

礼儀正しく、受け答えも丁寧。
反省の言葉がすぐに出て、相手が求めている答えもよく分かっている。

それでも私は、その印象だけで人を信用することはありません。

刑事として15年間、約500件の事件に関わり、多くの人から話を聴いてきた経験則からです。

好印象は、その場でつくることができます。
しかし信頼は、その場だけではつくれません。


テクニックは、短い関係なら通用する

『7つの習慣 デイリー・リフレクションズ』の8月16日の一節では、短期間の付き合いなら、相手に関心があるように振る舞い、魅力的な印象を与えるテクニックが通用することもあると説かれています。

話し方を学ぶ。
笑顔を意識する。
相手の話にうなずく。
求められている言葉を返す。

こうした技術自体が悪いわけではありません。

問題は、それが相手を尊重するためではなく、「自分をよく見せるため」だけに使われている場合です。

本当の動機は、平穏なときには隠せます。
しかし、都合が悪くなったとき、責任を問われたとき、自分が損をしそうになったときには隠しきれません。

取調べで見るのは、話術ではなく「一貫性」

取調べでも、流暢に話す人はいます。

説明が分かりやすく、反省の言葉にも迷いがない。
こちらの質問の意図を読み、納得させるような答えを返してくる。

しかし、刑事が確認するのは話のうまさではありません。

供述と客観的な証拠が一致しているか。
時間の流れに不自然なところはないか。
その言葉と、実際に取った行動がつながっているか。

疑うためではなく、確かめるために見ていきます。

どれほど整った説明でも、事実との間に矛盾があれば、その違和感は少しずつ表に出てきます。

反対に、話すことが苦手でも、分からないことを「分からない」と言い、間違いを認め、事実に沿って話そうとする人もいます。

その姿勢には、話術とは違う強さがあります。

人格は、追い込まれたときの選択に現れる

人の本質が現れやすいのは、余裕があるときではありません。

ミスを報告すれば、自分の評価が下がるかもしれない。
部下をかばえば、自分まで責任を問われるかもしれない。
仕事を止めれば、納期に間に合わないかもしれない。

そんな場面で、何を優先するのか。

事実を伝えるのか、隠すのか。
責任を引き受けるのか、誰かに押しつけるのか。
危険を感じたときに止まるのか、そのまま進めるのか。

厳しい状況では、好印象を保つ余裕がなくなります。

そこで出てくるのが、その人が普段から大切にしている価値観です。

人格とは、立派なことを言える能力ではありません。
損をする可能性があっても、自分が正しいと思う行動を選べる力なのだと思います。

信頼は「言葉と行動の一致」から生まれる

信頼を得るために、特別な演出は必要ありません。

約束したことを守る。
できないことは、できないと伝える。
間違えたら、言い訳より先に認める。
相手によって態度を変えない。
誰も見ていないところでも、同じ基準で行動する。

そうした小さな一致が積み重なり、やがてその人の信用になります。

一度の会話なら、うまく演じられるかもしれません。

しかし、信頼は長い時間の中でつくられます。
だからこそ、信頼だけは演じ続けることができないのです。

今日、どう動くか

今日は一つだけ、自分に問いかけてみてください。

「どう見られたいか」ではなく、
「誰にも見られていなくても、どんな行動を選びたいか」

そして、その答えに沿った小さな行動を一つ実行する。

言葉を磨くことも大切です。
それ以上に、言葉と行動を一致させることが、人との関係を長く支えてくれます。

好印象は一瞬でつくれても、信頼は一日ではつくれない。

けれど、今日の一つの誠実な行動から、信頼は確実に始まります。


参考:スティーブン・R・コヴィー著
『7つの習慣 デイリー・リフレクションズ』
8月16日「インサイド・アウト」

いいなと思ったら応援しよう!

森 雅人(防犯法人ケイジケン代表理事) ゆくゆくは元刑事が運営するシェルター、リアル「メゾン・ド・ポリス」を運営したいと思ってます!

この記事が参加している募集