ウルトラマン第35話「怪獣墓場」はとても美しいおとぎ話
Youtubeのウルトラマン公式から今週、神回が配信されているのでそれについて思い出話などを綴ってみようと思います。
少し前に「ウルトラマンでも観るか」的にBlu-rayを引っ張り出して再生したのもこの回でした。初代はホントにどの回も面白いんですが、終盤に特に好きな回が集中しています。
この第35話は初代における最後の実相寺監督回で、その魅力が爆発している名作ですね。
親に買わせた「ウルトラマンブック」
私の子供時代ですが、「ウルトラマンブック」という書籍が出ていました。

これはネット上からお借りした画像ですが、ウルトラマンのエピソードを場面写真で絵本のように構成した本で、一話一冊、三冊セットが箱に入ってなんと390円という。今みたいに映像がすぐに観られない時代でしたから、ウルトラっ子な私は本屋でこれを見かけると食い入るように立ち読みしておりました。しかし、読むためには箱から出さなければいけなく…出し入れの際に、箱の開閉に用いるツメの部分を破いてしまったことがあります。それを、まだ無邪気な幼児だった私はそのまま親に報告、大目玉を喰らうに至ったんですね(笑)。当然、お買い上げとなりました。
ここで「商品に傷をつければ買ってもらえる」なんて考え方にならなかったのは、こっぴどく叱ってくれたおかげだとも思い親に感謝しています。というのも今、成人してから世の中を見るとケースは違えど、
「良くないことをして周りに構ってもらおう」
という人間が年齢問わず居るなぁと感じるからなんですよね。
やや性質の違う話ですが、最近例の野球監督の件などでそれを実感したりしました。
さて、そんなウルトラマンブックで映像より先に話を読んで、最も心に残ったエピソードが今回配信されている「怪獣墓場」なんですね。お買い上げと相成った本はさすがにもう持っていませんが、数年前古本屋で見かけて衝動的に手が出たので…実は今も所有していたりします。


ウルトラマンの写真を見てはしゃいでいただけです

ただ「やめて~」って言ってたように見えますが
絵本形式で物語を読んでも、かなり読み応えがある二転三転のストーリーでしたね。そして子供の頃から、
「怪獣をロケットに乗せて宇宙まで飛ばすなんて、無理がないか?」
と思ってはいたものです(笑)。
シーボーズは特殊ですが、大体他の怪獣はあんな細いロケットで支えられないでしょう。

そりゃそうだろ、物量的に支えられるわけないじゃんと子供心にも思いました
序盤のビルに登るシーボーズもかなり無理があるなと思いましたが
攻撃的になるのは、弱いから
あらためてこの回を観返すと、冒頭から怪獣の悲哀が描かれていてとにかく「可哀想」が一貫しているエピソードだな、と感じます。怪獣を供養しよう、という提案が出る科特隊も普段とは違う雰囲気です。しかし最初のシーボーズに攻撃を仕掛けるビートルの火力がヤバくて笑いました。シーボーズ自体は歩いているだけなのに、ビートルの攻撃で街がダメージを受けているように見えます(笑)。メフィラス回なんてビートルの頑丈さに寒気がした程ですが、マジで科特隊ってなんなのレベルに強いんですよね。
怪獣を倒した実績も防衛隊の中でピカイチですし、この実力があるからこそ怪獣に対して情をかけられるのだろうな…と感じました。逆に言えば、すぐ攻撃的になる人は、根本的に弱いって事も言えると思います。

科特隊とウルトラマン、原点にして頂点と言っても良い組み合わせですが倒すのではなく、帰してやるとなると非常に手を焼きました。力で制圧するよりも、コミュニケーションを取る方が難しいと世の中を暗喩しているようにも見えるシーボーズとの「戦い」です。

ロケットで再挑戦の流れになります。人間とウルトラマンが真に共闘している名エピソードですね

しかし目的は違うので光線の類は使ってないんですよね
と、言いつつレッドキングを倒したほどの投げ技を使ってはいますが(笑)
これも加減してるのかな
この一つ前のスカイドンの回は明確なコミカル回でしたが、このシーボーズ回はシュールさと悲哀が混ざった独特の空気を持っています。結局最後は倒してしまったスカイドンと違い、なんとか宇宙へ送り返せたシーボーズは良かったな…と、胸を撫で下ろすばかりです。実は前回とセットになっているのかもしれませんね、同じ実相寺エピソードとして。

こんなのを倒す(つまり、殺す)なんて出来るわけないですよね
考えてもみれば、ウルトラシリーズ以外で敵である存在を保護しないと、なんて話を描いた作品ってなかなか見かけないんですよね。同じ円谷作品であるミラーマンも全話観ましたが…そんなエピソードはなかったと思います。ウルトラマンは、第一作から怪獣を倒す対象としてだけでなく生命を持った存在として尊重する物語も描いています。そこには、思いを叶えるには実力も持たなければならないという教訓も含んでいる気がするんですよね。
そんな60年前に放送された、「未来の御伽噺・ウルトラマン」。
この先も何十年経とうと語り継がれて欲しいと思いますし、微力ながら私もこういった形でその伝導の一端を担えたら良いなと思う次第です。
