【政治を学ぶ】「比例代表」って、結局なに?
選挙のニュースを見ていると、
必ず出てくる言葉があります。
「比例代表」。
小選挙区の当落は分かりやすいのに、
この比例代表というものだけは、
ふわっとしたまま毎回終わってしまう。
そんな経験、ありませんでしょうか。
実はこの制度、知れば知るほど
「なるほど、うまく考えられているな」
と感心してしまう仕組みなのです。
今日は、比例代表制の中身を、
できるだけ易しい言葉で
紐解いてみたいと思います。
1. そもそも、なぜ「比例代表」が必要なのか
日本の国政選挙には、
大きく分けて2つの仕組みが同居しています。
1つは
「小選挙区(選挙区)」。
1つの選挙区からひとりだけを選ぶ、
いわば一騎打ちの仕組みです。
もう1つが
「比例代表」。
政党が獲得した票の割合に応じて、
議席を分け合う仕組みです。
なぜ、わざわざ2つの仕組みを
併用しているのでしょうか。
小選挙区は、
一位以外の票がすべて
「死票」になってしまう
という弱点を持っています。
たとえば、ある選挙区で
A候補が51%、
B候補が49%
の票を得たとします。
結果はA候補の当選ですが、
49%もの民意は、
議席にはまったく反映されません。
この弱点を補うために存在するのが、
比例代表なのです。
得票率に応じて議席を配分するため、
小さな政党や少数意見であっても、
一定の票さえ集めれば、
議席という形で
国会に声を届けることができます。
いわば、小選挙区が
「地域の代表」を選ぶ仕組み
だとすれば、
比例代表は「民意の縮図」を
国会の中に再現しようとする仕組み
だといえるでしょう。
2. 議席はどう決まるのか「ドント式」という物差し
比例代表で
各政党の議席数を決める計算方法を
「ドント式」と呼びます。
19世紀のベルギーの法学者、
ヴィクトル・ドントが考案した方法で、
仕組み自体は
さほど難しいものではありません。
各政党の総得票数を、
1、2、3……という整数で
順番に割っていき、
その商(割り算の答え)が
大きい順に、
議席のある数だけ配っていく——
それだけです。
言葉だけでは
イメージしづらいと思いますので、
簡単な例で見てみましょう。
議席数が6、
政党がA・B・C・Dの4つあり、
得票数がそれぞれ
1,200票、900票、600票、300票
だったとします。
各党の得票数を1、2、3……で割った表をつくり、
出てきた数字をすべて大きい順に並べていきます。
そして、上から6番目までに入った政党へ、
議席をひとつずつ配っていくのです。

結果として、この例では
A党に3議席、B党に2議席、
C党に1議席、D党には議席が回ってこない、
という配分になります。
得票数の多い政党ほど有利にはなりますが、
小さな政党にも議席が渡る余地が残される。
これが、ドント式という
物差しの絶妙なところです。
ちなみに、この計算で
複数の政党の商が全く同じ数字に
なってしまうこともあります。
そんな時は、なんと
くじ引きで最後の議席の行方が決まります。
議席の行く末が、
最後は運に委ねられることもある。
選挙という、
これほど重い制度の片隅に、
意外な余白が残されているのです。
3. 衆議院と参議院、実は仕組みがまるで違う
「比例代表」と
ひとくくりに呼ばれていますが、
衆議院と参議院とでは、
その中身がかなり異なります。
衆議院の比例代表「拘束名簿式」
衆議院の比例代表は、
全国を11のブロックに分けて行われます。
投票用紙には、
政党名だけを記入します。
各政党は、
あらかじめ候補者に順位をつけた
名簿を用意しており、
獲得した議席数の分だけ、
名簿の上位から順に
当選が決まっていく仕組みです。

これを「拘束名簿式」と呼びます。
つまり、
有権者が投票の段階で決められるのは
「どの政党に何議席渡すか」
までであり、
「誰が当選するか」という部分は、
実質的に政党側が
あらかじめ決めているのです。
なお、衆議院には
小選挙区と比例代表の
両方に立候補できる
「重複立候補」という制度もあります。
小選挙区で敗れても、
小選挙区での惜敗率
(当選者との得票差の近さ)次第で、
比例名簿の順位が繰り上がり、
当選することがあります。
俗に「比例復活」と呼ばれる現象は、
この仕組みから生まれています。
参議院の比例代表「非拘束名簿式」
一方、参議院の比例代表は、
全国をひとつのブロックとして行われます。
こちらは投票用紙に、
政党名を書いても、
候補者個人の名前を書いても構いません。
政党があらかじめ順位を決めることはなく、
個人名での得票数が多い候補者から
順に当選していきます。

これを「非拘束名簿式」と呼びます。
有権者の一票が、
政党への支持であると同時に、
個人への応援にもなる——。
そんな性格を持った投票方式です。
ただし例外もあり、
2019年からは
「特定枠」という制度が加わりました。
政党が名簿の一部について、
あらかじめ優先的に当選させたい候補を
指定できる仕組みです。
そのため今の参議院比例代表は、
非拘束名簿式でありながら、
部分的に拘束名簿式の性質も併せ持つ、
少し複雑な制度になっています。
4. 比例代表を知ることが、選挙をおもしろくする
小選挙区の一騎打ちに比べて、
比例代表は少し地味に見えるかもしれません。
けれど、この制度があるからこそ、
大きな政党の陰に隠れがちな声にも、
議席という居場所が用意されています。
投票用紙にどちらの名前を書くべきか
迷ったとき。
その一票が、
政党の議席数を左右するだけでなく、
参議院であれば
候補者個人の当落にも直結する。
そう考えると、
あの短い用紙に記す数文字が、
これまでよりも少しだけ
重く感じられるのではないでしょうか。
制度を知ることは、
決して難しい勉強ではありません。
ニュースの向こう側で交わされている
数字のやり取りが、
自分ごととして見えてくる、
ただそれだけのことなのだと思います。
今度の選挙特番では、
比例代表の開票速報にも、
少しだけ目を留めてみませんか?
いつも読んでくださっている皆さまへ。
今日も最後までお付き合いいただき、
本当にありがとうございます。
これからも、
知っているようで知らない仕組みを、
少しずつ紐解いてまいります。
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