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がんの放射線治療の裏側を支える、医学物理士

がん治療の三大標準治療の一つである「放射線治療」。その安全性と精度を支えている専門職が「医学物理士」です。昨年、大同病院で初めて医学物理士資格を取得した放射線部の山川哲弘さんに、資格取得までの道のりや仕事内容、そして患者さんへの想いについて聞きました。(2026年4月8日、Voicyにて配信)

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医学物理士とは

イズミン 医学物理士とはどのような資格ですか?

ヤマカワ 医学物理士は、放射線を用いたがん治療や画像診断が、安全かつ正確に行われるよう支える専門職です。物理学や工学の知識を生かし、医師と連携しながら放射線治療計画の作成や検証、治療装置の精度管理などを担います。

イズミン この資格試験はとても難易度が高いと聞きます。

ヤマカワ はい、とても難しかったです。試験の内容も難しいのですが、それ以前に受験資格として大学院修士課程を修了している必要があります。

シノハラ 診療放射線技師で大学院まで進学される方は多くない印象です。

ヤマカワ そうですね。当院では私だけです。大学院へ進学された方は、病院よりも医療機器メーカーや大学教員の道へ進まれるケースが多いですね。

イズミン ヤマカワさんは、最初から医学物理士を目指して大学院へ進まれたそうですね。

ヤマカワ 最初から資格取得だけを目標にしていたわけではありません。私は放射線技師になるための専門学校からスタートし、その後大学へ編入する際に医学物理士という資格を知りました。将来、より専門的な分野で活躍したいと思い、その可能性を広げるために大学院への進学を決めました。

シノハラ 大学院ではどんなジャンルを専攻されていたのですか。

ヤマカワ 放射線治療に興味があったので、その分野を専攻しました。特に陽子線治療について研究していました。

シノハラ 近年、陽子線治療は注目が高まっていますね。

ヤマカワ そうですね。保険適用の範囲も広がり、臨床で活用される機会が増えています。学生時代に学んできたことが、今の医療現場で生かされていると感じています。

資格取得で広がった治療への関わり

イズミン 放射線治療は、がんの三大標準治療の一つとして、非常に重要な分野ですね。

ヤマカワ はい。放射線治療は、患者さんに直接アプローチできる治療です。CTやMRIなどの画像検査は診断を支える役割ですが、放射線治療は自分が関わった計画や技術が患者さんの治療に直結します。その点に大きな魅力を感じています。

シノハラ 医学物理士は、放射線治療にどのように関わるのでしょうか。

ヤマカワ 医師は「腫瘍にしっかり放射線を当てながら、正常な臓器への影響をできるだけ少なくする」という臨床的な視点で治療計画を立てます。医学物理士は、その計画を物理学や工学の視点から支え、放射線の特性や治療装置の性能を踏まえながら、より安全で精度の高い照射方法を検討します。
また、治療計画の作成に携わるだけでなく、医師が作成した計画を検証し、「この計画を実際の装置でどう実現するか」を専門的な知識をもってサポートすることも重要な役割です。

シノハラ 医師の治療方針を、実際の治療へとつなげる"橋渡し役"ともいえる存在ですね。

イズミン 医学物理士の資格を取得して、治療への関わり方は変わりましたか?

ヤマカワ 大きく変わりました。以前は医師が作成した治療計画に沿って照射を行う立場でしたが、資格取得後は治療医と一緒に治療計画を立てる段階から関わるようになりました。
 その中で、「医師がどの腫瘍を重点的に治療し、どの臓器を守ろうとしているのか」という意図が以前より深く理解できるようになり、診療放射線技師として自分がすべきことを、より広い視点で考えられるようになりました。

シノハラ より広く、専門的に治療に関わることで、放射線治療にも深く取り組めるようになったということですね。

イズミン 今後、医学物理士として目指していきたいことを教えてください。

ヤマカワ 医学物理士になってから治療計画に携わる機会が増え、これまで見えていなかったことが見えるようになりました。現在は照射業務に入る機会が減った分、その経験や考え方を、照射を担当する技師へ積極的に伝えています。
 「私ならこう考える」という視点を共有することで、チーム全体の知識や技術が向上し、結果として放射線治療の質、そして病院全体の医療の質の向上につながればと思っています。医学物理士の資格を取得して本当に良かったと感じています。

イズミン 資格取得をされたとき、放射線治療医の先生もとても喜ばれたとか。

ヤマカワ 両手を挙げて一緒に喜んでくださいました。周囲の期待や支えを改めて実感し、とてもうれしかったですね。これからも医師やスタッフと協力しながら、より良い放射線治療を提供できるよう努力していきたいと思います。


ゲスト紹介

山川 哲弘(やまかわ・てつひろ)
大同病院 放射線部 診療放射線技師・医学物理士。診療放射線技師として約10年勤務し、2024年に大同病院初となる医学物理士資格を取得。放射線治療の安全性と精度向上を支える専門家として活躍している。趣味はカラオケに釣りと、アクティブな一面も魅力。


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