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防具としてのニューエラ

カラスに襲われた。

子どもを保育園に送り届けたあと、いつものように公園を散歩していると、急に後頭部に殴られたような痛みを感じた。僕の前方にギャアギャア鳴くカラスが舞い降りる。どうやらカラスに頭を蹴られたようである。何もしていないのに……彼らの巣の近くを通ったらしく、そのせいで威嚇されたようだ。急な暴挙に当然怒りが収まらないのでにらみをきかしてワッと驚かすが、これが後に知るに良くない対応だったらしい。カラスは自分に悪さをした人物の顔や服をしっかり覚えるという。さらには仲間うちで共有するとかなんとか……。とんだヤクザである。

恐怖を覚え、まずは整形外科でケガを見てもらう。幸いたいした傷にはなっておらず、抗生剤入りの塗り薬を渡される。「カラスに襲われた」と言うと先生は半笑いだったが、看護師さんや受付の人たちが同情的だったのが救いだった。

今後も公園の近くを通るのは確実だから、カラスの野郎どもに襲われ続けてはたまらない。最近の日差し対策もかねて、急遽帽子を買うことにした。

ただここで問題がひとつ。僕は劇的に帽子が似合わないのである。端的に言えば、あたまがでかい。似合う帽子がほとんどなかった。

買い物の前にいろいろ検索していると、頭が大きい人ほど、大きめのつばや高さ(深さ)がある帽子のほうが似合うらしい。ある人によれば、ニューエラの帽子が頭の大きな人には良いという。

ニューエラ。NY、ニューヨークヤンキースのマークの野球帽。あれである。僕の中ではヒップホップとか、あっちのイメージがつよい。ただ一方で、Netflixの『クィア・アイ』に出てくる、カラモ・ブラウンのイメージもある。『クィア・アイ』は、5人のセクシャルマイノリティーが食、美容・ファッション・インテリアなどで自信を失った人たちを改造していくリアリティ番組だがカラモはそのなかで「カルチャー」を担当している。人々の悩みをカウンセリングし、メタファーを利用して打破させる役割なのだが、僕はカラモのキャラクターが大好きである。またファッションも好きだ。質の良い、上品なボンバージャケットをよく着ていて、日本ではあまり見たことがないこれまた品の良い色あい・素材のニューエラのキャップをかぶっている。シンプルだけどカジュアルすぎず、まさに僕の目指したファッションをカラモは体現している。

そんなカラモに近づくべく、西宮ガーデンズに向かい、ナノ・ユニバースの店員さんに相談すること30分。僕はニューエラのキャップとハットを手に入れていた。店のほとんどの帽子は僕の頭には小さすぎたが……。それにかぶって外を歩いていると、なんだかリトルリーグ時代に戻ったようでなんとなく恥ずかしい。ふだんかぶっていなから余計である。ただ、これで僕は防具を手に入れた。少なくとも、1回ぐらいはカラスの猛襲から守ってくれることを祈る。

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