推し着物/岡野く仔
【昔、祖母に着物を着せてもらい、友達の家に遊びに行ったかの子は、なんでもない日に着物を着ていることで周りから白い目で見られて以来、着物を好きな気持ちや着たい気持ちを閉じ込めて生きてきた。
そんなかの子は毎週電車で見掛ける着物男子が推しだった。
ある日、勇気を出して話し掛けると、久乃さんの営む着物屋さんに連れて行かれ……!】
この漫画はこんな内容だ。
今でこそ、着物で街を歩く方や私服が着物の方も増えたような印象だが
今より10年以上前はまだまだ若者が私服で着物を着るのは稀で、奇異の目で見られたり、心ないことを言われていたかもしれない。
かの子は久乃さんと出会うことで着物を好きな自分を隠さなくていいのだという気持ちになり
自分を開放していく。
着物は高く、敷居が高く、スタイルを選ぶイメージがあるが
ものによっては着物もリーズナブルな金額で買えるし(洋服と変わらないような値段)、和洋ミックスのように手持ちの小物や服でアレンジもありだし(令和に入ってから和洋ミックスの概念を私は知った)、仕立てることで自分に合った着物を買うこともできるらしい。
着物は憧れているけど、ちょっと躊躇ってしまう人の背中を優しく押し、誘ってくれる。
本作はそんな漫画だ。
推しキャラ概念コーデや手描き帯も楽しそう。
私の周りには私服が着物の方はいないが
街中で着物の方を見掛けると見とれてしまう。
着物をキレイに着こなしている方はシャンとしていてかっこいい。
私は着付けが上手くできず、セパレート浴衣を買った人なのだが
だからこそキレイに着こなしている人への憧れがやまない。かっこいいなぁと思う。
いつか和洋ミックスコーデもしてみたい。
川越でそういった専門店を見掛けて、見ながらワクワクした。
なお、着物漫画といったらこちらもオススメだ。
岡野く仔先生自身も私服が着物のようだが、東村アキコ先生も私服が着物である。
岡野く仔先生は「推し着物」「着物ちゃんとロリータちゃん」という着物をテーマにした作品を描いているが
どちらも和洋ミックスを取り入れている。
好きなファッション、好きなコーディネートを楽しむ主人公やキャラ達が魅力的だ。
読んでいて明るく前向きになれる。
一方、東村アキコ先生の「銀太郎さん、お頼み申す」は和洋ミックスは取り上げていない。
着物の着方、柄の由来、歴史、和の小物や器等伝統的な着物についてじっくり掘り下げてくれる。
読んでいて勉強になる。
主人公のさとりちゃんが素人で今風な若者なので、読者はさとりちゃんに自分を重ねて作品を読みやすく、さとりちゃんと一緒に「へぇ~!」と驚きながら一から着物を学んでいくのだ。
そして、銀太郎さんの美しさに見とれる。
銀太郎さんに品があり、艶っぽく、読んでいてポ~ッと憧れてしまうのだ。
こちらでは銀太郎さんの昔の恋についても描かれており、読んでいて切なくてウルッとしてしまうこともある。
笑いあり涙ありの作品で、本格的な着物や一途な恋に触れられる。
新刊を特に楽しみにしている作品の一つだ。
東村アキコ先生の作品は引き込まれる。
白茄子の根付がほしくなった。

