GROWモデルの限界を超える6つの質問①
コーチは傾聴をしているだけでなく、質問をします。そして多くのコーチは構造というものを使っています。
思いつきで質問をしているわけではなく、質問に構造があるわけです
※構造=どんな順番で何を考えてもらうか
当たり前ですが、どんな順番で何を考えるかは大切です。ビジネスではフレームワークなどと言われることもありますが、考えの枠組みですね。役にたつ枠組みで考えるから、精度の高い仮説が生まれるわけです。
ちなみに、コーチングで使われる構造は、フロー、モデル、フレームワークなど様々な呼ばれ方をしています。
そのコーチングの構造で一番有名なもの、それがGROWです。アレクサンダーというコーチのコーチングからモデリングされたものと言われています。
※モデリング=達人のやっていることを誰もが活用できるようにパターン化したもの
さてこの記事は、世界中で最も使われているGROWモデルの問題点を取り上げ、その限界を越えるモデルを提案するというものです。
とか大上段に構えましたが(笑)、GROWモデルを拡張した10ステップモデルをご紹介してみたいと思っています。
GROWモデルにいくつか勿体ない点、注意すべき点があるのは事実ですので、それらを理解いただくための解説も順を追ってしていきたいと思います。
まずは拡張モデルをご紹介

はい。これを覚えてください。丸暗記してください。絶対損はしません(笑)
GROWモデルの拡張モデルなので、GROWの質問も埋め込まれています。GROWに足りない要素を6つ足しているわけです。大幅改訂ですが、
いつも10種の質問を使わなければいけないわけでないので、不要ならばカットして構いません
とは言えまずは、この順番で質問しながらコーチングしてみてください。
実例を示しましょう
実例その1
CO①「何を相談したい?」
CL「ダイエットについてです」
CO②「いつそれが必要だと感じる?」
CL「ついつい飲みすぎてしまうときです」
CO「現場では何が起きている?」
CL「飲んでるうちに楽しくなって、歯止めが効かなくなる」
CO③「それがどうなったらいい?」
CL「ほどほどの量で楽しめるようになる」
CO④「その先で本当に望んでいることは?」
CL「健康体で幸せな人生を送ることです」
CO「当初の問題はどう考えるとよい?」
CL「痩せるというより健康になることが大事」
CO⑤「具体的にどうなることをゴールにする?」G
CL「まずは5キロ走れるようになること」
CO⑥「すでに何ができてる?」R
CL「昔、マラソンに出たことがあります」
CO「使ってないリソースは?」
CL「一緒にチャレンジしてくれる仲間がいます」
CO⑦「あなたが良い状態で臨むためには何が必要?」
CL「晩酌の量を減らすことですね(笑)」
CO⑧「ゴールが達成できたとしたら何を変えたから?」O
CL「近所のジムに入会して毎日少しでも走る」
CO「他には?」
CL「ウエアの替えを数着買う。靴を新調する」
CO⑨「途中で起こりそうな障害は?」
CL「仕事がしんどくて数日走れない」
CO「それが起こったらどう対応する?」
CL「ハードルを下げて再開。無理をしない」
CO⑩「まず何から始める?」W
CL「ジムに申し込みをする」
CO「それをやったらどうなる?」
CL「逃げられないです(笑)。スタートすることになります」
どうでしょうか。一問一答でも構造の力によって、なんのために何をするのか、ゴールの実現のためには何がポイントなのかが、どんどんと明確になりますね。
それぞれの質問を解説
CO①「何を相談したい?」
CL「ダイエットについてです」
何について話すのか、コーチングのテーマやトピックを明らかにする質問です。「何について話したい?」「一緒に考えてみたいことは?」などでもいいですね。この答えが、クライアントが扱ってみたい課題や問題となります。
CO②「いつそれが必要だと感じる?」
CL「ついつい飲みすぎてしまうときです」
CO「現場では何が起きている?」
CL「飲んでるうちに楽しくなって、歯止めが効かなくなる」
クライアントがその問題や課題を扱いたいと思った現場で何が起きているのか知りたいわけです。「どんな時にダイエットについて考えたいと思うの?」「なにがあったからダイエットをしようと思ったの?」「ダイエットしたいと思った時のこと教えて」などもわかりやすいですね。
そして、いつそう思ったのかが明らかになったら、その現場で何が起きているのかきいています。問題の現場の現場検証ですね。「そのとき何が起きてるの?」「そこでは何が起きてるの?」などでもいいです
CO③「それがどうなったらいい?」
CL「ほどほどの量で楽しめるようになる」
問題の解決イメージをきいています。「本当はどうなることを望んでる?」「どうなりたいの?」「どうなったら満足?」とかでもいいですね
CO④「その先で本当に望んでいることは?」
CL「健康体で幸せな人生を送ることです」
解決の先で、クライアントが本当に望んでいるものをきいています。クライアントは問題解決のために近視眼的になっていることが多いので、視野を広げて、本当に大切なこと(大目的)を明らかにしようとしています。
CO「当初の問題はどう考えるとよい?」
CL「痩せるというより健康になることが大事」
これ、ちょっとわかりにくいですね。でも大切な質問です。このケースではクライアントは「ダイエットをしたい(痩せたい)」と言っていました。ところが大目的「健康的に幸せになる」にアクセスした段階で、当初の問題意識が変化する可能性があるわけです。なのでそこを確認しています。
「もともとダイエットしたいで始まったけど、今はどう思ってる?」「最初はダイエットしたいと言っていたけど、それについてどうしたらいい?」などでもいいですね
CO⑤「具体的にどうなることをゴールにする?」G
CL「まずは5キロ走れるようになること」
いわゆるゴールというやつです。でも3ステップで作られてます。
STEP1 問題の解決イメージを描く
STEP2 その先の大目的を明らかにする
STEP3 あらためて「なにをゴールにするか」決める
という構造になっています。なので、問題から一度意識を離した上で、本質的なゴールの設定ができるわけです
「では具体的にはどんな状態になることを目指すと良いですか」「まずは何を目指して動きますか?」「なにをゴールにするとよさそうですか」などもいいですね
このゴール設定をするときにSMARTゴールというガイドラインがとても役に立ちますので、次回以降このシリーズの中で解説していきます!
CO⑥「すでに何ができてる?」R
CL「昔、マラソンに出たことがあります」
CO「使ってないリソースは?」
CL「一緒にチャレンジしてくれる仲間がいます」
GROWでいうR。ここではRはリソース(資源)のRとしています。ゴールから現状を見た時に、すでにできていることを明らかにしています。
現状の何がリソースかはゴールから見るからわかるのです。太っていることは、相撲取りがゴールならリソース。スーパーモデルがゴールなら課題になりますね。なのでゴールの視点から何がリソースか見極めたいのです。
「使ってないリソースは?」というのも面白い質問ですね。ゴールの達成にに向けて役にたつリソースはたくさんあります。その中には、まだクライアントが気づいてないもの、使ってないものがたくさんあるのです!!ぜひリソースを掘り起こしましょう!!
CO⑦「あなたが良い状態で臨むためには何が必要?」
CL「晩酌の量を減らすことですね(笑)」
今度はリソースフルのRです。こちらのRは使っているコーチはそれほど多くない印象です。
※リソースフル=自分の内側、外側にあるリソースが使える心の状態
リソースをたくさん探すこともいいですが、リソースを使いこなせる心の状態になるためには、どうしたらいいのか?を考えることも重要ですね!!
「なにをしたらいい状態で取り組める?」「何に気を付けると、あなたはいい状態でいられる?」「あなたがいい状態になるには、どんな時間が取れるといい?」などもいいですね
リソースフルな状態をつくる上で、SPACEモデルを知っていると、とても役にたちます。これも次回以降このシリーズで解説していきますね!
CO⑧「ゴールが達成できたとしたら何を変えたから?」O
CL「近所のジムに入会して毎日少しでも走る」
CO「他には?」
CL「ウエアの替えを数着買う。靴を新調する」
GROWのOです。オプション、選択肢のことです。ゴールを達成するために、いくつもやり方が存在します。でもクライアントは放っておくといつものやり方でゴールに向かおうとするものです。なのでまずは、どのようなアプローチの仕方が存在するのかを洗い出して、その中から効果的なやり方を選んでもらいたいのです。
「ゴールが達成できたとしたら何を変えたから?」は僕が気に入っている質問の一つです。ゴールが達成できた前提で、これまでと何を変えたのが効果的だったか考えてもらうわけですね。他にも
「このゴールを簡単に達成できる人はどんな取り組み方をするんだろう」「これまでと違うやり方で達成するとしたら?」「新しいリソースを使うとしたら?」「誰かに協力してもらうとしたら?」など色々な切り口がありますね
CO⑨「途中で起こりそうな障害は?」
CL「仕事がしんどくて数日走れない」
CO「それが起こったらどう対応する?」
CL「ハードルを下げて再開。無理をしない」
これを使っているコーチも多くないですね。でもとても大切です。研究によると、この質問を入れることでゴールの達成率が有意に向上します。
コーチングでは、ゴールに向かう行動は決めますが、取らないほうがいい行動については考えないことが多いですし、途中で起こり得る問題の対策を考えないことも多いのです。でも実際は、途中で問題が起こって止まってしまうことも多いのです。実は事前に想定できる問題も多いので、こうやって先に潰してしまうわけですね
CO⑩「まず何から始める?」W
CL「ジムに申し込みをする」
CO「それをやったらどうなる?」
CL「逃げられないです(笑)。スタートすることになります」
コーチングの最後は行動で締めます。行動によって現実を変えていくのです。ですので、最初の行動を明らかにします。そして、その行動を取ったらどうなりそうか事前にイメージをしてもらいます。行動が難しそうだったり、効果が薄そうだったり、その行動をとることで問題が起こりそうなら、別の行動に変えていきましょう。
ということで、10種の質問の簡易解説でした!
ここでそもそも論。コーチングは質問だけではうまくいきません。あなたの態度や、相手の話を聴くスキルも必要です。こちらの記事なども参考にしてください
使用例その2
この記事の最後に、今度は対人関係のケースでコーチング例をのせます。復習を兼ねてご覧ください!
CO①「何を相談したい?」
CL「妻との関係改善について」
CO②「いつそれが必要だと感じる?」
CL「わたしが妻にイライラしてしまうときです」
CO「現場では何が起きている?」
CL「妻は黙っています。僕はなんで喋らないのかとイライラしている」
CO③「それがどうなったらいい?」
CL「妻も気楽に話せる。僕も落ち着いて話が聞ける」
CO④「その先で本当に望んでいることは?」
CL「子どもにとって理想の両親となること」
CO「当初の問題はどう考えるとよい?」
CL「妻と対等な関係でいるためには、と考えるとよい」
CO⑤「具体的にどうなることをゴールにする?」G
CL「妻が僕に対して思っていることを何でも言えるようになる」
CO⑥「すでに何ができてる?」R
CL「最低限の情報共有はできてるし、雑談はします」
CO「使ってないリソースは?」
CL「家族LINEですかね」
CO⑦「あなたが良い状態で臨むためには何が必要?」
CL「睡眠が足りていることです」
CO⑧「ゴールが達成できたとしたら何を変えたから?」O
CL「こちらから聞かせてほしいとお願いする」
CO「他には?」
CL「感謝を伝える」
CO⑨「途中で起こりそうな障害は?」
CL「やっぱり話をしていてイライラ」
CO「それが起こったらどう対応する?」
CL「話を止める。妻にもそのことを事前に宣言しておく」
CO⑩「まず何から始める?」W
CL「妻にこの話をすることからスタートします」
CO「それをやったらどうなる?」
CL「協力的になってくれると思います」
いかがだったでしょうか。さまざまなテーマでこのフレームワークが使えますので、ぜひ自分のものにしてください。
確認の質問というコンセプトをご存知の方は、それらと組み合わせると、パワフル度合いが上がります。次回以降の投稿ではそれもご紹介しますね
ちなみに確認の質問はこれですね

それでは今回はここまで
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