TEAVANA 宮崎イオン店 緑の炭酸を飲みながら、マンガを描く男の話
都城の「日本一でかい水槽」のスタバを見たあと、宮崎市のイオンでもう一軒のスタバに寄った。お茶専門の「TEAVANA」だという。緑の炭酸をひとくち。気がつけば尻には根が生え、福岡の仕事を忘れていた。楽園とは、こういう午後のことかもしれない。
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都城のスタバに、日本一でかい水槽があるとインスタに書いてあった。
ほんとうかどうかは知らない。インスタというのは、だいたいにおいて話を大きくするものである。
だが、行ってみた。たしかに、でかい水槽があった。魚が泳いでいた。コーヒーの匂いと、水槽の中の小さな気泡。妙な取り合わせなのであった。


で、そのあとである。
宮崎市のイオンに、もう一軒スタバがあるという。寄ってみることにした。なんとなく、である。
ところがこれが、ただのスタバではなかった。
「TEAVANA(ティーバナ)」と書いてある。お茶専門のスタバ、だそうだ。

知らなかった。
厳選された茶葉に、フルーツやらハーブやらスパイスやらをブレンドした、ティーに特化したブランドらしい。テラコッタ色の壁が、てらてらと光っている。革張りの椅子は、尻にやさしい。
そして——でかい。


都城の水槽付きスタバより、遥かにでかいではないか。
天井は高く、ガラス張りで、向こうにはユニクロが見える。スタバというより、なんだかホテルのラウンジのようなのであった。
名前の由来も小耳にはさんだ。TEA(お茶)とNIRVANA(ニルヴァーナ、仏教でいう安息の境地)を合わせた造語で、「ティーの楽園」という意味らしい。
楽園。
たいそうな名前である。だが、座ってみると、あながち嘘でもないのであった。
おれは「煎茶抹茶 グリーン ティー スパークリング」のアイス、トールを頼んだ。730円である。

来た。
透明なグラスの中で、緑が二層に分かれていた。上は深い苔のような緑、下は淡い黄金色。氷の隙間で、細かい泡がしゅわしゅわと立ちのぼっている。STARBUCKS TEAVANA、と白い文字がグラスに刻まれていた。
ひとくち飲んだ。
抹茶の青い香りが、炭酸の刺激といっしょに鼻へ抜けた。甘さは控えめ。後味に、煎茶のほのかな渋みが残る。冷たい。喉を、しゅっと通っていく。
心地良い。
おれはおもむろに、iPad mini7を取り出した。
Clip Studioを立ち上げ、ペンを握る。描くのは、配達員のおっさんと、緑のパーカーを着たうさぎのマンガである。

しゅわしゅわ。さらさら。
ペンが画面を滑る音と、炭酸の弾ける音が、なんだか似ているのであった。
気がつくと、時計は14時を回っていた。
しまった。
おれの尻には、いつのまにか根が生えていた。福岡で待っている仕事のことも、すっかり忘れていた。グラスの底には、溶けた氷と、薄まった緑が残っているだけである。
血糖値のことは、家に帰ってから考えることにした。
いやはや、いやはや。
楽園というのは、案外こういう、なんでもない午後のなかにあるのかもしれないのであった。
読んでくれてありがとう。次もこういう、どこかへ寄り道した話を書くつもりである。
いやはや、いやはや。

