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大河べらぼう|吉原の非情と粋な別れが交錯する【第九話】

大河べらぼう、第9回「玉菊燈籠 恋の地獄」が放送されました。

第8回放送後の記事はこちらをチェック ↓

今回は特に吉原の地獄ぶりが際立った回でしたね。夜の8時台にギリギリなNHKの攻めの姿勢、それだけ真摯に吉原を描くことに向き合っている意気込みを感じました。



吉原の非情と粋な別れが交錯

うつせみと新之助の足抜け


うつせみと新之助の足抜け
(前借金を返済せずに遊女が逃げ出すこと)があえなく失敗。
「幸せになりたかっただけ」と泣いたうつせみは、ほかの女郎たちの見ている中、見せしめも兼ねて残酷な折檻を受けます。今後はさらに苦しい下級女郎へと落とされてしまうのでしょう。うつせみだけは救われなくて悲しかった。

しかし、新之助はほぼお咎めなかったように見えましたね。震える手で切腹しようとしてなかなかできないところを、蔦重に止められてほっとしましたが…。

江戸も中期になると、赤穂浪士たちもそうですが切腹の作法など詳しく知らない武士がほとんどだったようで、後の天保年間には『自刃禄』という切腹マニュアル本まで出ていたりします。新さんが震える手で刀を腹に押し当てて「あっ、痛い」とへっぴり腰になっていたのは、それを象徴しているようでした。


瀬川と蔦重の恋の終わり


そんな二人の顛末を見た瀬川は、憑き物が落ちたかのように蔦重への想いをきっぱり断ち切り、鳥山検校との身請け話を受けることを決意します。
この時の二人の会話がとても素敵でした。
蔦重から本をもらって恋をした瀬川、そして今、本を返すことにかけて、

「馬鹿らしゅうありんす、でも馬鹿らしくて面白かったって言ってんだよ。
この馬鹿らしい話を重三がすすめてくれたこと、わっちは一生きっと忘れないよ」


と涙をこらえた笑顔で言ったセリフが本当によかったですね。どうせ逃げたところでほかの地獄が待っているだけ。それなら相手への想いを美しいまま大切に胸にしまって生きていこう。瀬川という大名跡を受けついだ花の井の、とびきり粋な別れ方でした。


女郎あがりの女将いねの真意


そしてまた、今回印象的だったのは、松葉屋の女将いね役・水野美紀さんの演技。

「このしょんべん女郎が!」
「この先どうやって暮らすつもりだ、男は博打、あんたは夜鷹になるしかないんだよ」


などなどパワーワードが飛び出しまくりでした。
でもその裏には、どうにもならない廓の籠の中で、せめて食い扶持は稼げるようにしてやりたい、いつか良い人が身請けしてくれるという華やかな夢を見させてやりたい、そんな想いがあったことを、後に生け花の剪定をしながら瀬川に語った言葉でわかりました。

いねもまた女郎出身なので、女郎の気持ちはよく分かる。よく見ている。瀬川の蔦重への想いもとっくに察していましたよね。分かったうえで、非道といわれてもこれが女郎の最善の道なのだと信念をもって女郎たちを仕切っている。
亡八とは人の心がないわけではない、人並みの心など亡くさなければやっていけない仕事だということを実感させてくれました。


おわりに


さて、瀬川は今後、鳥山検校へ身請けされることになるのですが、蔦重が嫉妬まじりに瀬川に言った「あいつらはクズ中のクズだ、お上の情けをかたにきて、葬式にまで押しかけて金をむしり取る」と言った言葉が気になりますね。

鳥山検校は、実は金貸しをやっており蛇蝎のごとく嫌われていた、と言われています。
吉原の座敷でも女郎たちには優しい反面、手下を呼びつけるときはドスの効いた声で「オイ」と言っていたのがパワハラを感じさせるとXでも話題になっていました笑

鳥山検校についてはまた別記事で触れたいと思っていますが、とりあえず次回は『青楼美人合姿鏡』が登場するようですね。毎回、創作がまじっているとはいえ、有名な本や浮世絵が誕生するシーンに立ち会えるのがとても楽しみです。

北尾重政・勝川春章画「青楼美人合姿鏡」より(NDL)。冬の寒さに着込みがすごい、かわいい笑 奥の遊女は寝そべってくつろいでます。遊女たちの普段見せないオフショットがぎっしり。

それではまた~!


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