【2026春闘速報】1次集計5.26%──「大手の数字」を中小勤務が見るときの注意点
どもどもー!damakoroです。
3月18日の春闘集中回答日、ニュースを見ていたら「トヨタが6年連続満額回答」「電機大手も軒並み満額」「賃上げ率5.26%」って文字が流れてきたんですよね。
で、僕は中小企業勤務なわけですよ。会社の昼休みに同僚と「うちもそんなに上がるんですかね(笑)」って話してたら、隣の先輩が「いや、うちは関係ないでしょ」と一言。空気が凍りつきました。
このニュース、テレビでは「歴史的な賃上げ!」みたいな景気のいい話として流れてくるんですけど、画面の前で「いや、それあんたらの話でしょ」って思ってる人、たぶん相当な数いるはずなんですよね。
今日は、この春闘5.26%という数字を、中小勤務の僕らの視点でちょっと冷静に読み直してみたいと思います。煽りも絶望もなしで、淡々と数字の正体を見ていきます。
そもそも5.26%って、誰の数字なんだっけ?

まず大前提から確認します。
このたび報道された「2026春闘 賃上げ率5.26%」は、連合(日本労働組合総連合会)が3月23日時点で集計した第1回回答集計の数字です。対象は1100組合、加重平均で5.26%。25年同時期の1次集計5.46%からは0.20ポイント下がっていますが、それでも3年連続で5%台を維持している、という構図です。
ここで一つ目の注意点。
「連合が集計した」というのは、要するに連合に加盟している労働組合がある会社の数字ということです。日本の労働組合の組織率はだいたい16%前後(厚労省「労働組合基礎調査」)。つまり、日本の労働者の8割超は、そもそもこの集計の母集団に入っていません。
僕みたいに労組がない会社で働いてる人にとって、この5.26%は「労組がある会社の話」であって、自分の会社の数字とは別物です。ここを最初に押さえておかないと、ニュースを見るたびに「世の中こんなに上がってるのに自分だけ……」って勝手に消耗することになります。
二つ目。「定昇込み」と「ベア」の違いです。
賃上げ率5.26%というのは、定期昇給(定昇)+ベースアップ(ベア)の合計です。定昇は勤続年数が上がれば毎年もらえる分、ベアは賃金テーブルそのものを引き上げる分。報道で派手に扱われるのは合計値ですが、生活実感に効くのは後者のベアの方です。連合の26年要求集計だとベア要求は4.37%。実際の妥結ベアはもう少し低い水準に着地します。
つまり5.26%という数字は、
労組がある会社の話(雇用者全体のごく一部)
定昇込みの合計値(純粋なベースアップではない)
という2つの留保の上に乗っている数字なんですよね。
大手と中小、距離はどれくらいあるのか

じゃあ次に、大手と中小の差を数字で見ていきます。
2025年(前年)の最終集計を確認すると、こんな感じでした。
連合・最終集計:全体5.25% / 中小(300人未満)4.65%
経団連・最終集計:大手(500人以上)5.39% / 中小(500人未満)4.35%
連合と経団連で対象や定義が違うので単純比較はできないんですが、大手と中小でだいたい1ポイント前後の差があるのが見て取れます。1ポイントってピンとこないかもしれませんが、年収500万の人で言えば年5万円、月4千円ちょっとの差。これが毎年積み重なっていくので、5年経つと結構な開きになります。
26年の1次集計でも傾向は同じで、全体5.26%に対して中小(300人未満、552組合)は5.05%。大手側は満額回答ラッシュなので、最終的に大手と中小の差はやはり1ポイント前後で着地する公算が高そうです。
ちなみに、連合は今年「全体5%以上、中小は6%以上」を掲げてましたが、中小5.05%という数字は目標に1ポイント近く届いていません。「達成できなかった」というよりは、「掲げた目標と現場の実力にそれだけのギャップがある」と読むのが妥当だと思います。
それでも中小が伸びてきている理由と、伸びきらない理由
ここで一つ補足しておきたいのが、中小の賃上げ率自体は数年前と比べたら明らかに上がってきているという事実です。
背景には2つの構造変化があります。
ひとつは労務費の価格転嫁。中小企業庁の「価格交渉促進月間フォローアップ調査」によると、労務費の転嫁率は22年9月時点で33%だったのが、25年9月には50%まで上昇しています。つまり、人件費が上がった分を取引先に価格として転嫁できる中小が増えてきている、ということです。
もうひとつは法整備。2026年1月に「中小受託取引適正化法(改正下請法)」が施行されました。これは発注側と受注側の対等な関係を促し、価格転嫁を進めるための法律で、中小企業が賃上げ原資を確保しやすくなる環境を後押ししています。
ただ、この明るい話の裏側で、逆方向に動いている層もあります。
厚労省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、25年に賃金改定率が1%を下回った中小企業(100〜299人規模)の割合は前年から5ポイント上昇しているんですよ。これ、けっこう重い数字です。賃上げ報道が華やかな裏で、賃上げを断念せざるを得ない中小が静かに増えている。
つまり、中小企業はひとくくりに語れなくて、
価格転嫁が進んで賃上げ余力が出てきた層
価格転嫁が進まず"賃上げ疲れ"に陥っている層
の二極化が進行している、と読むのが現実に近いと思います。報道される平均値(4%台後半)は、この両方を均した数字なので、自分の会社がどっち側にいるかを見極めないと、平均だけ見ても判断材料にはなりにくいんですよね。
自分の会社の数字をどう読むか
じゃあ、僕ら中小勤務の側はこのニュースをどう消化すればいいのか。
報道の数字(5.26%)を自分の給与明細とつなぐために、僕は次の3つの視点を持つようにしています。
① 自社の業界の労務費転嫁状況
業界によって価格転嫁の進み方は全然違います。建設・運輸・製造業の一部は転嫁が進んでいる一方で、サービス業(特に対個人)は転嫁が難しい構造です。自社が属する業界が「上げやすい側」なのか「上げにくい側」なのかで、賃上げ余力の天井が決まってきます。
② 自社の経常利益トレンド
賃上げの原資は、究極的には会社の利益から出てきます。直近2〜3年の経常利益が伸びているか、横ばいか、減っているか。これは公開企業なら有報、未公開でも社内資料からある程度分かります。経常利益が伸びていない会社で大幅賃上げを期待するのは、構造的に無理筋です。
③ 自社の人手不足度合い
逆に、人が辞めていて補充に苦労している会社は、利益が薄くても賃上げを優先せざるを得ません。「採用にいくらかけても人が来ない」「離職率が上がっている」という状況にある会社は、賃上げの動機が強い。これは現場感覚で割と分かりやすいシグナルです。
報道の5.26%は、いわば全国平均の天気予報みたいなものです。全国的に晴れでも、自分の地域はずっと雨かもしれない。逆に、全国的に曇りでも、自分の地域だけ晴れる年もある。大事なのは、平均値に一喜一憂することじゃなくて、自分の会社というローカルな天気を読む解像度を持つことなんじゃないかと思います。
26年春闘、これからの論点
最後に、これから春闘がどう動いていくかの見通しだけ整理しておきます。
中小企業の本格交渉は4〜5月に本格化します。連合の集計も今後7月上旬の最終集計まで段階的に更新されていくので、26年の全体像が見えるのはまだ先です。第1次集計から最終集計までの修正幅は例年▲0.2ポイント程度なので、最終的には全体で5%前後、中小で4.8〜5.0%程度で着地する可能性が高そうです。
外部リスクもあります。トランプ関税、中東情勢の緊迫化、原油価格の動向。これらが企業業績に効いてくるとボーナスや27年春闘に影響が出る可能性はあります。ただ、26年春闘の月例賃金については、すでに大勢は決した状態に近いです。
そして、もう一つ重要な論点が実質賃金プラス定着の成否。26年1月の毎月勤労統計では実質賃金が13ヶ月ぶりに前年同月比プラス(+1.4%)になりました。ただし、原油価格高騰が長引けば再びマイナス転化するリスクもあります。名目で5%上がっても、物価がそれ以上に上がれば手取りの実感は増えない。ここが今年も最大の争点です。
まとめ
整理します。
2026春闘1次集計の5.26%は、労組がある会社の、定昇込みの数字。日本の労働者の大多数とは少し距離がある
大手と中小の差は1ポイント前後で、この構図は26年も変わらなそう
中小の中でも、価格転嫁が進む層と"賃上げ疲れ"層に二極化している
自分の会社の賃上げを読むなら、「業界の価格転嫁状況」「自社の経常利益」「人手不足度合い」の3点を見るのが現実的
5.26%という数字に対して、「うちは関係ない」と冷めるのも、「世の中はこんなに上がってるのに」と落ち込むのも、たぶんどっちも生産的じゃないんですよね。事実は事実として受け止めつつ、自分の会社の数字を別の解像度で読む。そっちの方が、ニュースに振り回されないで済むと思います。
それじゃあ、今日はこのへんで!
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
よかったらスキ・フォロー・コメントしていってもらえると、次の記事を書くモチベーションになります(笑)
それでは、damakoroでした〜!
参考データ・出典
連合「2026春季生活闘争 第1回回答集計結果」(2026年3月23日時点)
連合「2025春季生活闘争 最終回答集計結果」
経団連「2025年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(最終集計)」(2025年8月6日公表)
経団連「2025年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(最終集計)」
厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」
厚生労働省「毎月勤労統計調査」(令和8年1月分速報)
中小企業庁「価格交渉促進月間フォローアップ調査」
第一生命経済研究所 各種レポート(新家義貴氏、岩井紳太郎氏)
⚠️ 公開前 要検証データ
以下は公開前にご自身で一次ソースをご確認ください。本文中で具体的な数字を挙げている箇所です。
チャート1の2020〜2023年の連合最終集計の数字
本文では2020:2.00%, 2021:1.78%, 2022:2.07%, 2023:3.58% としています
連合公式の各年度「春季生活闘争 最終回答集計結果」プレスリリースで要確認
チャート2の経団連2021〜2024年の数字
大手・中小ともに、経団連の各年度最終集計PDFで要確認
特に中小の数字は出典が散らばりやすいので要注意
労働組合組織率「16%前後」
厚労省「令和○年労働組合基礎調査」で最新値を要確認
厚労省「賃金引上げ等の実態に関する調査」の"前年比+5pt"
一次ソース(厚労省PDF)で「賃金改定率1%未満の中小(100〜299人)の割合」が前年比+5ptであることを再確認
連合第1次→最終の修正幅「例年▲0.2pt程度」
第一生命経済研究所レポートからの引用ベース。一次ソース(連合の各年度集計推移)で確認可
26年1月毎月勤労統計「実質賃金+1.4%」
厚労省「毎月勤労統計調査 令和8年1月分結果速報」で要確認
その他、各種数字は本文末尾の出典リストで一次ソースを当たってください。
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