第2章:「Ankiの基本操作と、勉強の仕組み」
前回の記事「看護師の勉強が続かない理由と、毎日1時間続けられる思考法」では、
“努力ではなく思考で続ける勉強”というテーマでお話ししました。
実際に現場で、「Ankiを使ってみたら」と促した結果、好評な意見もありましたが、「なんか難しいです。とっつきにくい。」との意見もありました。
…わかります。
アプリとかシステムって聞くと、
「私には難しいのでは・・・?」ってなりますよね(笑)
でも、実際に使ってみると——
操作方法さえ理解すれば、簡単に利用できるアプリです。
認定看護師の試験合格のために始めたAnkiアプリですが、
Ankiは“考える看護師”になるための最強ツールでした。
今回のnoteでは、
・Ankiをどう使えば“勉強が続く”のか
・どうやって“思考の勉強”に変えられるのか
・現場で忙しい看護師でも続けられる方法
これを、私自身の認定看護師・特定看護師としての勉強経験を踏まえて
実践レベルで解説していきます。
勉強を「やらなきゃ」から「積み重ねたい」に変える。
そんなヒントを、ここから持ち帰ってください。
第1章:なぜ看護師にAnkiが向いているのか
1.学習ノートを作る時間がない——その悩み、Ankiが解決するかもしれない
看護師の勉強って、本当に時間との勝負ですよね。
夜勤明け、眠気と戦いながらノートをまとめて、気づけば朝。
私も昔は、「きれいなノートを作る=勉強」だと思っていました。
でも、正直に言えば——それ、ほとんど頭に残ってなかったんです。
そんな時に出会ったのが、**Anki(アンキ)**というアプリ。
一言でいえば「記憶の仕組みを自動で管理してくれる勉強ツール」です。
2. Ankiは“考える記憶法”
Ankiの最大の特徴は、**「忘れかけた頃に復習させてくれる」**こと。
つまり、人間の記憶の仕組み(エビングハウスの忘却曲線)を
アプリが代わりにコントロールしてくれるんです。
看護の勉強って、“暗記だけでは使えない知識”が多い。
でもAnkiのカードを作るときに、
自分で「どうしてそうなるのか?」を整理して入力することで、
知識が“思考”に変わる瞬間があるんです。
例えば、
「なぜ高カリウム血症で不整脈が起こるのか」
をAnkiカードにするなら、
表面:高カリウム血症で見られる心電図変化は?
裏面:テント状T波。Na-Kポンプの機能低下による再分極促進が原因。
こうやって“なぜ”まで書くことで、
カードを作る=考える訓練になる。
また「NaーK」ポンプってなんだ・・・となって、また調べて新しい知識としてAnkiに入力する。そうです知識の深掘りができるのです。
3. 現場でも使える「隙間時間の学習法」
Ankiはスマホでも使えるので、
ちょっとした時間——
お風呂に入っている時間、トイレに入っている時間、休憩室の数分、通勤の電車の中、寝る前のベットの中。
私は特にお風呂でAnkiの学習時間が有意義に感じました。お風呂って、ゆっくりできる時間だし、こもって勉強ができてめっちゃはかどるんですよね
防水のスマホケースを購入して、Ankiを1時間、長ければ2時間ぐらいやっていると時間を忘れてしまって、「長風呂だと」怒られてしまいました。笑
私は今や習慣になって、1時間、2時間と復習ができるようになりましたが、最初は、1日10分と決めてやってきました。
たった10分の積み重ねで、
1ヶ月後には“現場で使える知識の貯金”ができている。
私は認定看護師の勉強中、
「1日10枚のカードを復習」だけを習慣にしていました。
寝る前の5分、起きた後の3分。
小さな積み重ねが、最終的に何百枚もの“思考カード”になりました。
4. 暗記ではなく、“考えを残すツール”
看護師がAnkiを使う意味は、
単に知識を詰め込むことではありません。
「自分がどう考えたか」を残すツールにすること。
「なぜそうなる?」をカードに書いておくと、
数ヶ月後にそのカードを見たとき、
“あの時こう考えてたな”と自分の成長が見えるんです。
これが、ノートにはない“思考の資産化”です。
第2章:Ankiの基本操作と、勉強の仕組み
1. まずはAnkiをインストールしてみよう
難しく考えなくて大丈夫です。
Ankiは、無料で使える記憶管理アプリ。(iPhoneでダウンロードする場合は有料になります。)
公式サイト(AnkiWeb)またはアプリストアで「Anki」と検索すればOKです。
パソコン版(AnkiWeb):https://apps.ankiweb.net/
スマホ版(AnkiMobile/AnkiDroid):App StoreまたはGoogle Playで入手可能
ちなみに、パソコンで作ってスマホで復習、という組み合わせが最強です。
カードを一気に作って、通勤や休憩中にスマホでパラパラ確認。
まるで自分専用の看護ポケットブックができあがる感じです。
2. Ankiの基本構造をざっくり理解する
Ankiは「カード」と「デッキ」という2つの単位で構成されています。
デッキ:テーマ(例:循環器、検査値、フィジカルアセスメント)
カード:1問1答形式の勉強内容
つまり「循環器デッキの中に、50枚のカードを入れる」ようなイメージです。
最初から完璧を目指すよりも、まずは10枚だけ作ることを目標にしましょう。
3. カードの作り方:重要なのは“考える視点”を入れること
ここが一番大事です。
Ankiを「暗記カード」として使う人が多いですが、
看護師がやるべきは**“思考カード”**を作ることです。
例えば、
「心不全の患者さんにラシックスを投与するときの注意点」
この内容をAnkiに入れるとき、こう分けます👇
表面(質問):ラシックス投与時に注意すべき電解質異常は?
裏面(答え):低カリウム血症。K喪失により不整脈リスク上昇。
ここにもう一歩踏み込んで、
「なぜKが下がると不整脈になるのか?」
を別カードにしておく。
“答えだけでなく、思考のつながり”をカード化する。
これが、ただの暗記を“現場で使える知識”に変える方法です。
4. 復習の仕組み:Ankiが“忘れかけた頃”を覚えている
Ankiのすごいところは、
**「あなたの記憶のタイミングをAIが管理してくれる」**ことです。
カードを復習するとき、Ankiが4つの選択肢を出します👇
もう一度(すぐ復習)
難しい(短い間隔で復習)
良い(数日後に復習)
簡単(1週間後などに復習)

これを繰り返すことで、Ankiが“あなたの脳の忘却曲線”を学習して、
最適なタイミングでカードを出してくれる。
つまり、勉強の「何を」「いつ」「どれだけやるか」を
アプリが自動で管理してくれるわけです。
そりゃあ、続くに決まってます(笑)
5. 看護師のためのおすすめデッキ構成
実際に使ってみて感じた、
“看護師に向くデッキ構成”の例を紹介します👇

このデッキは私が実際に使っている内容ですが、デッキ作成の内容は様々だと思います。
疾患別(循環器・消化器・・・etc)に分けるのもいいし、看護技術に分けてもいいですよね。この自由度もAnkiの強みです。
1日3デッキ×3枚ずつ=9枚だけ復習。
これを毎日続けるだけで、
1ヶ月後には270枚の知識が、あなたの中に積み上がっていきます。
6. 続けるコツ:完璧を捨てること
最初から全部作ろうとすると、だいたい3日で心が折れます。
(私がそうでした…)
Ankiの魅力は、“足し算で育てる”ところにあります。
現場で「あ、これ知らないな」と思った瞬間にカードを1枚作る。
それだけでいい。
勉強は「積み上げ型」ではなく、「拾い集め型」で十分です。
Ankiは、その“拾った知識”を忘れないように整理してくれる相棒です。
第3章:「現場で生きるAnki」——知識を“使える形”にする方法
1. 「知ってる」で終わらせない勉強を、どう作るか
Ankiを使っていると、つい“知識のコレクター”になりがちです。
「もう1000枚カード作った!」みたいな。
……いや、それすごいんですけど(笑)
でも本当に大事なのは、**“現場で引き出せる知識”**なんですよね。
ナースコールが鳴って、患者さんのSpO₂が急に下がったとき。
そのときに「えっと…あのカードなんだっけ?」となるようなら、
それは“知識”で止まってる証拠です。
Ankiでやるべきは、「現場で使うための思考シミュレーション」。
つまり、カードを“暗記用”ではなく“判断用”に設計すること。
2. 現場で使えるAnkiカードの作り方
例えば、こんなふうに変えるだけで全然違います👇

ポイントは、状況+判断+根拠をセットで入れること。
こうすると、Ankiを復習するたびに「現場を想像する癖」がつきます。
これが、いわゆる“臨床判断力”を育てる最強のトレーニングです。
もちろん、「通常のカード」も知識として知っておくことが重要です。
私の経験として、「通常のカード」での学習は、どうしても頭に定着しませんでした。思考過程になぜが生まれずに、ただの暗記になってしまうのが原因と考えます。
「現場で使えるカード」にして、知識の定着が進み、現場で実践できる知識に昇華しました。
3. 私がやっていた“現場リフレクションAnki”
認定看護師の勉強中、私はAnkiを単なる復習ではなく、
**「現場リフレクションツール」**として使っていました。
たとえば夜勤中に、
「急変時に酸素流量を上げてもSpO₂が戻らなかった」ケースがあったら、
次の日にその内容をカードにしていました。
表面:SpO₂低下が改善しない時、考えるべき原因は?
裏面:気道閉塞、チューブ位置、循環不全、換気不良などを優先的に評価。
これを数日後に見直すと、
「あの時の現場では、私は換気の確認が遅れたな」
と“考え方の修正”ができる。
つまりAnkiは、知識ではなく思考を蓄積するノートなんです。
4. Ankiはシンプルに使用する
Ankiの一つのカードに多くの情報を詰め込むのは危険です。
自分の経験ですが、一つのカードに多くの内容を詰め込んだ場合は、全く覚えることができませんでした。
その場合は、カードの内容を複数のカードに分けて、整理を行いました。
カードを作成する時のポイントは☝️
1枚のカードに詰め込まない。
1デッキにテーマを絞る。
毎日“少しだけ復習する”。
つまり、「続けるための最小単位で設計してる」んです。
Ankiは努力の代わりに、仕組みで継続を作るツール。
根性ではなく、思考の仕組み化。
それが、“考える看護師”の勉強法なんです。
Ankiを解いているときに何回も間違ってしまうカードがある場合は、仕組みを変えてみることを考えましょう
5. 最後に:Ankiで「勉強する自分」を肯定してあげてください
勉強って、結果が出るまで孤独です。
誰も「えらいね」って言ってくれないし、
夜勤明けの自習なんて、正直つらいだけ。
でも、Ankiのカードを1枚ずつ積み上げていくと、
それが**“見える努力”**になるんです。
昨日より1枚、明日も1枚。
1年後、気づいたらあなたのスマホの中に
“あなたの思考”が何百枚と積み上がっている。
それが、“考える看護師”の勲章です。
第4章:まとめ——「思考の積み重ね」が、看護師の未来を変える
1. 勉強は「根性」ではなく「仕組み」で続く
このシリーズを通して伝えたかったのは、
**「努力しなくても続けられる仕組みを作ろう」**ということ。
看護師の勉強は、気合いだけで乗り切れるものではありません。
勤務の波、生活リズム、心の余裕——
どれかが少しズレるだけで、すぐに止まってしまう。
でも、Ankiのような“仕組み”を使えば、
毎日の積み重ねが自然に習慣になる。
つまり、「自分を律する」のではなく「自分を助ける」学び方ができるんです。
2. “考える勉強”は、あなたの現場を静かに変える
気づいたら、
患者さんの変化に「ん?」と立ち止まる自分がいる。
先輩の指示を待たずに、「自分ならこうする」と考えている。
それは偶然じゃありません。
Ankiで積み上げた“思考カード”が、
あなたの中に小さな臨床判断の種を植えているからです。
それこそが、“考える看護師”の第一歩。
3. 「知る」よりも、「使える」を増やす
看護の勉強は、覚えることよりも「使える」ことが大事。
患者さんの前で“考えて動ける”ために、
今日の1枚のカードを作る。
それが、最短で現場力を上げる方法です。
Ankiを通して、
知識を「使える力」に変える練習をしてみてください。
4. 最後に:あなたの“1枚”が、次の誰かを変える
このシリーズを読んでくださったあなたへ。
たとえ今は「続けられるか不安」でも大丈夫です。
Ankiのカード1枚、ノート1ページ、
それを重ねるたびに、“考える看護師”としてのあなたが育っていきます。
そして、その姿を見た後輩が、
「この先輩みたいになりたい」と思う日が来る。
あなたの1枚が、次の誰かの原動力になる。
それが、看護の学びの本質だと、私は思っています。
【次回予告】
次のnoteでは、
「Ankiカードの実例とテンプレート集(看護師向け)」を公開予定です。
現場ですぐ使えるAnkiカード構成
症例ベースの思考カード例
認定・特定看護師の勉強に使えるAnki応用法
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