とにかく面白くて濃い『ネット怪談の民俗学』を読んで
『ネット怪談の民俗学』は出版される前から注目していた。私は怖い話が好きだ。そして奇妙な話も好きだ。読まない理由は1つもなかった。
読み終わって一番最初に思ったのは、「どうやったらこんなに調べられるんだ」だった。
私は昔、オカルトサイトの記事を執筆したことがある。そのときに書いたのは確か「巨頭オ」と「コトリバコ」だった。調べるのにとても苦労した。『ネット怪談の民俗学』と違って、簡単なあらすじをまとめるだけだったのだが、それでもネットを調べると食い違った内容のものが見つかる。どれが正しくてどれが間違っているのか。「一方こんな話があって……、実はこんな話も……」なんてまとまりのない記事になってしまう。本当に『ネット怪談の民俗学』はすごいと思った。これぞ新書の良さ。こんな手軽にこんな価格で読んでいいものだろうか。
もう1つ驚いたのは、私が掲載されているネット怪談のほとんどを知っていたことだ。私はそこまでネットに浸っていたつもりはなかったのだが、ほぼ知っていた。忘れかけた記憶を呼び覚まされノスタルジックな気持ちになった。
「ろっぽんぞー」
なぜか私も覚えていた。
赤い部屋を知った時、私は自宅の2階にあるパソコンで実際に試した。私の最初のオステンション(すでに言われていることを試したり再現したりする行為)は赤い部屋だった。なんで赤い部屋を知ったのかは全く思い出せない。当時、携帯は持っていなかったしパソコンを触れる時間もそんなになかったはず。それなのになぜか『ネット怪談の民俗学』に掲載されているネット怪談をほとんど知っている。これはこれで怖い。
『ネット怪談の民俗学』にはいくつもの画像が掲載されていたが。200ページの画像は何度驚かされたことか。適当にパラパラ開くと目が合ってしまって困る。ひぇぇええぇとなりながらそれでも見てしまう。掲載する画像はどのように選定したのだろうか。
人によって怖いのラインはだいぶ違う。あまりにも怖い画像を掲載してしまうと苦情が来るだろう。購入する際にパラパラと見て棚に戻してしまうかもしれない。特に三回見ると死ぬ絵を掲載すれば大事件だ。私の場合はすでに何度も見ているので「久々に見たな~」という感覚にしかならないが……
私の好きなYouTubeチャンネル『新書といっしょ』でも『ネット怪談の民俗学』を取り上げていた。
毎回、新書の紹介と共にトークテーマを設定している。今回は「身の周りで起きたちょっと怖い話」だった。案外怖い体験をしている人は多い。そんな体験をネットに書き込めば未来に語り継がれるネット怪談になる可能性があるのではと思いワクワクした。今この瞬間にも新しいネット怪談ができているのかもしれない。それと同時に忘れ去られつつあるネット怪談もあるのだろう。有名な「きさらぎ駅」にばかり注目しないでほしい。もっと面白いネット怪談はたくさんある。定期的に読み返して懐かしい気持ちになりたいと思った。
8月6日に発売される『幽霊の脳科学』も絶対読むべき。絶対に面白い。この手の話題に関して私はハヤカワ新書に絶大な信頼を置いている。
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