【バンコク暮らし(9)】電話
夫がバンコクにやってくるまで残り12日だ。考えたくもなかったので今、数えた。
娘とルーちゃん(犬)とノースバンクーバーで、二人と一匹暮らしをしていたときの平和な時間みたいに、束の間、韓国の家族のことなんかすっかり忘れて暮らしていたのに。今朝、その平穏を脅かすように携帯電話の音が鳴り響いた。その画面には「宜保」の二文字。
「義母」の字面が携帯画面に並ぶとギクリとし過ぎるので、その登録は「宜保」となっている。最初は毎回着信の度に「?」となって、多少心の緩衝材になってくれていたけれど、今ではすっかり慣れっこになってしまって「宜保」の文字でもギクリとするようになってしまったのだけれど。
いずれにしても義母から電話が来た。引っ越して10日間。私から、韓国人年配者の大好物「安否電話」が待てど暮らせど来ないものだから、痺れを切らして電話をしてきたんだろう。
久しぶりの韓国語。またも心にもない適当なことを言ってしまった。着信の嫌悪感で思考能力が停止してしまったのかも知れない。とにかく空っぽの頭で適当なことを喋った。機嫌を良くした義母は「また電話するわね」と電話を切った。
私のことなんて忘れてくれないだろうか、と思いながら複雑な気持ちを抱えて、とりあえずジムに駆け込んだ。インクラインの負荷をかけてどんどん歩きながら、次なる計画「日韓夫婦解散」も必ず達成する、と思った。
