【バンコク暮らし(6)】エラワン廟
去年の夏、私たちはバンコクに居た。そしてエラワン廟を訪れた。グランドハイアット・エラワン・ホテル前にあるヒンドゥー教の祠で、バンコク屈指のパワースポット。”願い事を必ず叶えてくださる神様”として知られている。
国民の94%〜95%が仏教徒と言われるタイでヒンドゥー教の神様がここまで崇拝される理由は、ヒンドゥー教も仏教も元々はバラモン教から派生した宗教で、タイ文化自体がカンボジア経由で入ってきたインド文化の影響を大きく受けて形成されているから。そういう背景があって、タイには仏教とヒンドゥー教が混在しているんだそうだ。日本でも仏教と神道が混在しているのと同じようなことらしい。
何にしても私たちはエラワン廟を訪れることに決めた。旅行の計画を立てながら娘に「行ってみようよ」と言いつつ、私の頭の中では当然のように、私も娘の幸せを祈りに行くものだと思っていた。娘が生まれて以来、初詣をしたって、お墓参りをしたって、手を合わせるときにはいつも娘の健康と幸せを祈った。15年にわたって、何の疑いもなく、ただただ娘のことを見守ってくださいと祈ってきた。
そしてふと、気づいた。「私も、私自身の幸せを祈ってもいいかなぁ」と。
一体全体バカみたいだ。異国の地で無我夢中で生きてきて、自分の幸せについて考えることすら忘れていた。気づいたら涙が出てきた。「私の幸せってなんだ」と思ってひたすらに考えた。そしてお願いすることを心に決めた。
エラワン廟を訪れたときには、心を込めてお参りした。私は私自身の幸せを願って。もちろん今も同じ熱量で願っている。
娘のお願いごとと私のお願いごと、いつか必ず叶いますように。
