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【韓国生活追想(113)】心配を食べてくれるお人形

娘の人生の節目に、必ず娘と出掛けていたところがある。仁寺洞インサドンのサムジッキルにあるトゥリドゥアートショップだ。カナダに引っ越す前だとか、学校を変えるときだとか、そんなときには必ず娘と出掛けた。娘も大好きな場所だ。

娘が小さい頃に偶然見つけたお店で、お人形を自分で作ることができる。心配を食べてくれるお人形だ。だから娘の新しい生活のお守りに、娘が作りにいけるようにしていた。

今回も、国際引越しと転校を控えて、お人形さんを作るべく出掛けてきた。二度と韓国に戻るつもりはないから、要らないものは全部処分するし、大がかりな引っ越しになるから、やることは山積みなのだけど、それでもお人形さんを作りに行くことは、私にとっても娘にとっても大切なことだった。

娘は10年生を終えて夏休みに入った。メイクもするし、ネイルも可愛くしてるし、おへそにピアスもあいてるし、早く大人になりたくて、普段はめいっぱい背伸びをして暮らしている。ママのお話なんて素直に聞けないこともいっぱいあるけれど、「お人形さん作りに行く?」と聞くと、迷うことなく「うん」と答えた。娘にとっても心配を食べてくれるお人形さんを作りに行くことは、大切なイベントだったと思っている。

そして昨日、娘と、引っ越しを機に別れてしまう娘の大の仲良しと、3人で仁寺洞インサドンに出掛けてきた。

いつもの場所を探す。でもお店はなくなっていた。とても悲しかった。何度も何度もサムジッキルの螺旋の建物を1階から3階へとぐるぐる回ったけれど、やっぱりなかった。もしかして移転しちゃっただけかも知れないと、一縷の望みにかけて電話もしてみたけれど、繋がった先の電話の方から「お店は閉店しちゃったんです」と伝えられた。

悲しい。大切なものがまた思い出の中だけに存在する。

歴代、娘の心配を食べてくれたお人形さん。

今まで娘との大切な節目の思い出を彩ってくれてありがとう。これまで娘の心配を食べてくれた子たちと一緒に引っ越します。この子たちがいてくれるから、娘はきっとだいじょうぶ。