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【バンコク暮らし(20)】サバイバルの工夫

「ママ、パパは何時の飛行機で到着するの?」「空港にはお迎えに行くの?」娘に聞かれた。そうだ、私には夫がいた。

「何時か知らないし、お迎えに行くなんて考えてもみなかった」素直に答えた。夫婦仲を取り繕ったところで騙せるだろうなんて、娘を舐めてはいけない。

この会話で思い出した。思い出したくもなかったからカレンダーにも書き込まないでいたのに。明日(多分)、夫がやってくる。

またあの大きな生活音を思い出してどんよりする。タイにやってきても、またドアをぶち抜くくらいの勢いで閉めるんだろう。耳が壊れるほどの大音量で韓国語の映画やドキュメンタリー、野球を流すんだろう。そして変な音を立てながら変な食べ方をするんだろう。私の話は毎回途中で遮られ、脈絡なんかマル無視で自分のしたい話をし、噛み合わない、音が出てるだけの会話風の風景が繰り広げられるんだろう。

色々考えたらどんどん気持ちは沈んでいく。仕方ないから「相手を変えることはできないから自分が変われ」みたいな、よく聞く格言チックなものに従ってみることにする。さあ、自分をどう変えようか。とりあえずこの事態を「家にお財布がもう一個増えるだけ。ノイズの大きなお財布ってだけ。」と認識することにしよう。

ずいぶん酷いことを言ったもんだわ、と自分でも思う。とっても情けないけれど、精神衛生を保つためにはこれくらいの意地悪な工夫が必要だ。「お財布」になら、そんなに心をかき乱されることなく暮らせると思う。多分。