音楽とわたくし(小学生編)
私は子供の頃、木曜日が嫌いだった。
私が子供の頃住んでいたのは茨城県のド田舎。当時の私の家は隣の家まで数百メートルあるくらい人口密度の低い所で、人工物はあまりなくほぼ自然。
神奈川の都会から父の実家である茨城に越してきた母は、その景色にとても驚いたそうだ。
そんな私は、
神奈川生まれ、茨城育ち!
野生児ぽいヤツは大体友達!
HIPHOP通ってないから、これしか知らない!
あっ、ピーナッツ君は偶に聴く。
そんな野生児しかいない(私も含む)ド田舎で、生粋のお嬢様育ちの母が外で走り回る私を見て何を思ったか?
「この子にピアノを習わせよう!」
「いや無理ですって!!」
大人になった私は当時の母に注進したい。
朱に交われば赤くなると言うが、2歳児にして「ジャスコでミルクせんべい買って!」と宣う都会っ子だった私は、ジャスコなんて影も形も無い茨城の地で、既に野生児の仲間入りをしていた。
手頃な棒を見つければ振り回し、トカゲを見つけては尻尾をムンズと捕まえて振り回す。暴虐の王。
それが子供の頃の私。
大人になった今の私はドン引きだ。
そんな野生児にピアノを弾かせるなんて、まだ柴犬とか頭の良い犬に「猫踏んじゃった」を仕込む方が簡単なのでは?と思う案件。
が、母は強行した。
ド田舎の家にピアノが来る。
その日の前日、私はなんだか分からないけど母がとても機嫌が良く掃除をしている姿を覚えている。親が機嫌が良いと子供はなんだか嬉しい。
一緒になってフローリングのワックス掛けを手伝った記憶がある。
それが、「ピアノが来ると当分ワックス掛けが出来ないからしている」のであって、その来たるピアノに因って私の平穏な日々が、地獄に変わっていくという事を、まだこの時は知らずにいた。
「卵を掌で優しく包むように弾きなさい!」「また手が平べったくなってる!!」
「メトロノームをちゃんと聴いて!!!」
よくピアノの先生に怒られた台詞。
もうかなりの時が経ったけど、まだ覚えている。
ピアノの教室はコンクリート打ちっぱなしの蔦が生い茂ってるホーンデットマンションみたいな家。
そこに毎週木曜日に車で連れて行かれる。
これがもう嫌だった。
そもそもその頃は音楽を聴く習慣も無かったから、何の思い入れも無い知らない曲を弾く事になる。つまらない。
私の母は教育ママでもあったので学校後に、月金で公文式、水、土に水泳、木にピアノ、日曜は習字なんて言うスケジュール。
算数が好きだったので公文は好き。
体を動かすのも好きだから水泳も好き。
習字は筆と墨という存在が小学生には楽しいから好き。
でもピアノは、練習する時間もないし、そもそも音楽好きじゃなないし、弾いてる曲も知らないし、モチベーションもない。
練習不足で毎回先生にはこってり絞られ、その後母にもガミガミ怒られる。
だからピアノは嫌い。
音楽も嫌い。
そんな子供だった。
まぁでも何年かやるとソコソコ弾けるようにはなる。
でも相変わらず。
音楽には全く興味が無い。
私が音楽に興味を持つのは高校2年。
その時まで時を置く。(続く)
