【スピンオフ】清澄庭園を見ながら損益分岐点を計算してしまった話
清澄庭園に着いた。
入園料は150円。
正直、最初に思ったのは
「安いな」
だった。
そして次に思ったのは、
「これ、採算取れてるのか?」
だった。
池がある。
立派な庭石がある。
木々はきれいに手入れされている。
園内は清潔だ。
当然ながら、
誰かが管理している。
庭師。
受付。
清掃。
設備管理。
池の維持。
樹木の手入れ。
建物の補修。
警備。
電気代。
水道代。
それを考えると、
150円という金額はかなり安い。
映画館のポップコーンより安い。
コンビニのコーヒーと同じくらいだ。
そこで職業病が発動した。
もしこれを民間企業が運営したらどうなるのだろう。
例えば、
年間維持費を1億円と仮定する。
すると150円の入園料だけで回収するには、
約67万人の来園者が必要になる。
1日平均で約1,800人。
平日も雨の日も含めてだ。
かなり大変だと思う。
さらに民間企業なら、
広告費も必要になる。
SNS運用。
Webサイト。
イベント企画。
集客施策。
人件費。
管理費。
考え始めるとキリがない。
たぶん民間企業なら、
入園料だけには頼らない。
カフェ。
お土産。
ライトアップイベント。
撮影利用。
貸切イベント。
何らかの追加収益を考えるだろう。
そこまで考えたところで、
ふと思った。
私は今、
庭園を見に来たのではなかったか。
周囲を見る。
みんな池を見ている。
鯉を見ている。
木々を見ている。
写真を撮っている。
私は損益分岐点を見ていた。
完全に職業病である。
でも少し考え方が変わった。
清澄庭園は、
単純な収益施設ではない。
文化財でもある。
緑地でもある。
防災機能も持っている。
観光資源でもある。
つまり、
利益だけで存在しているわけではない。
もし民間企業なら、
「赤字だから閉鎖」
という判断もあり得る。
しかし公共施設だから残っている価値もある。
私は普段、
広告費やCPAやCVRを見ている。
数字で判断する仕事をしている。
だからつい、
この庭園も数字で見てしまった。
でも庭園の価値は、
数字だけでは測れないのかもしれない。
実際、
この日も私はベンチに座ってしばらく休んだ。
風が吹いた。
木が揺れた。
それだけだった。
もし誰かに
「その時間にいくらの価値があるの?」
と聞かれたら答えられない。
でも、
その時間が必要な人はいる。
たぶん今日の私もそうだった。
清澄庭園を見ながら、
損益分岐点を計算していた。
そして最後に、
数字では説明できない価値について考えていた。
職業病は治らなかった。
でも少しだけ、
数字以外の見方も思い出せた気がする。
入園料150円。
安いと思った。
そして帰る頃には、
むしろ安すぎる気がしていた。
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