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IT&Scienceで地域人材育成を考える 第1回:就職支援だけでは足りない。自治体が今考えるべき「就業力」とは

はじめに

今年2月に本格的に活動を開始し、半年が経過しました。私が大切にしている『IT&Science』の考え方に沿って、企業DXの視点、ナレッジマネジメントの視点、大学教育の視点と発展してきました。ここまで多くの方に見ていただき本当にありがとうございます。

また、これまでの内容を無料マガジンとしてまとめてありますので、こちらも見ていただければ嬉しいです(宣伝)

今回は、第4段として「自治体における人材育成」の視点でまとめていきます。ちなみに私自身は岡山県出身、大学は広島県と西日本で過ごし、東京で就職して今に至ります。地元を離れて何十年も経ちますが、地元を大事にしたい想いは無くならないものですね、と改めて。

就職率は高い水準にあるが、本当にこれで良いのか?

「若い世代の就職先は決まっている。それでも地域の企業からは『人が集まらない』『定着しない』という声が絶えません。自治体の就業支援は、本当に地域の未来につながっているのでしょうか」

これは、私が自治体の就業支援や人材育成について考える中で、何度も感じてきたこと。もちろん、就職率は重要な指標であり、仕事に就くことは人生の大きな一歩であり、自治体としても目指す指標になるものでしょう。しかし、AIが急速に普及し、働き方が大きく変わろうとしている今、「就職できた」という結果だけで支援活動を評価してよい時代ではなくなってきたと感じています。

これから必要なのは、「就職させる支援」ではなく、「働き続けられる人を育てる支援」ではないでしょうか。今回は、その理由について考えてみたいと思います。

就職はゴールではなく、スタートになった

少し前までは、一つの会社に長く勤めることが一般的でした。一度就職すれば、その会社で経験を積み、定年まで働くという人生設計も珍しくなく、私もそんなカンジー

しかし、今は状況が大きく変わっています。AIやデジタル技術の進化によって、仕事の内容は想像以上のスピードで変化しています。新しい仕事が生まれる一方で、これまで当たり前だった仕事がAIに置き換わることも今後増えていくでしょう。

つまり、一度身につけた知識やスキルだけで何十年も働き続けることは難しくなっています。就職はゴールではありません。変化の激しい社会で働き続けるためのスタート地点になったのです。

AI時代に本当に必要なのは、AIを使う技術ではない

最近では、多くの企業や自治体で生成AIやDXに関する講座が開催されています。もちろんとても大切な取り組みですが、私は少し気になることがあります。

それは、「AIを使えるようになること」が目的になってしまっていないか、ということです。

例えば、ChatGPTの使い方を覚えても、何を質問すればよいか分からなければ十分に活用することはできません。AIは答えを出してくれることはあっても、「何が問題なのか」「何を解決すべきなのか」を考えてくれるわけではありません。

AIが使えるだけで企業DXは進むものではなく、企業が競争力を得ることもできません。AIを何にどう使うか、どう判断するか。その役割はこれからも人が担います。

だからこそ必要なのは、

  • 問題を整理する力

  • 情報を読み解く力

  • 仮説を立てる力

  • 相手に伝える力

といった、どんな仕事にも共通する土台となる力です。AI時代だからこそ、人が考える力の価値は、むしろ高まっていると私は考えています。

「就業力」という視点で考えてみる

私は、このような力をまとめて「就業力」と捉えています。

就業力とは、単に仕事に就く力ではありません。変化する環境の中でも学び続け、自分で考え、周囲と協力しながら価値を生み出していく力です。職種が変わっても、会社が変わっても、AIが進化しても、この力は変わらず求められます。

資格やツールの知識は時代とともに変わり、あっという間に廃れてしまったり、当たり前のものになってしまいますが、「考え方」は長く使い続けることができます。だから私は、就業支援の中でも、この土台となる力を育てることがますます重要になると考えています。

自治体だからこそできること

自治体は、地域の人材育成において非常に大きな役割を担っています。学生、若手社会人、子育て世代、シニア、転職希望者など、多様な人と関わることができます。だからこそ、目先の就職率だけではなく、「地域で長く活躍できる人を育てる」という視点も合わせ持つことが大切なのではないでしょうか。

もちろん、就職相談や企業とのマッチングはこれからも必要ですが、それに加えて、「自分で考えられる人」「学び続けられる人」「変化を前向きに受け入れられる人」を育てることができれば、その価値は一人の就職にとどまりません。地域企業の人材不足の解消や、産業の活性化にもつながっていくはずです。

IT&Scienceが目指していること

私は「IT&Science」という考え方を通じて、人材育成について発信しています。名前だけを見るとIT教育のように思われるかもしれませんが、私が伝えたいのはプログラミングやAIツールの使い方ではありません。それらは多くの塾や専門の教育機関、流行りのスクールがやってくれます。

私は、ITの進化によって社会が大きく変わる時代だからこそ、科学的に物事を考える力を育てたいと思っています。

現状を観察し、課題を整理し、仮説を立て、検証し、改善していく。

この考え方は研究にも、仕事にも、地域づくりにも共通しています。私自身の大学研究活動や就職後の経験でも、その必要性を強く感じています。そして、このような思考力こそが、AI時代を生き抜くための「就業力」の土台になると考えています。

次回に向けて

AI時代の就業支援は、「何を教えるか」を考える前に、「どんな人材を育てたいのか」を考えることから始まるのではないでしょうか。就職の先にある「地域で働き続け、成長し続けられる人」を育てることこそ、これからの自治体に求められる役割だと私は考えています。

次回は、「AI講座だけでは育たない。本当に必要なのは『考える力』」というテーマで、AI時代に求められる思考力について、もう少し掘り下げてみたいと思います。

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