(お題ss)時間をたゆたう
四半世紀を眠っていた。
怪獣のようなイビキを立てて。
素知らぬ顔して。
目が覚めたらタイムスリッパーの気分さ。
あれは空飛ぶクルマ。
眠りは頭に刺した電極で一瞬。
足りない栄養を霞から摂取して。
ベッドの上でお気楽、夢うつつ。
起きる意味ってあるかい?
25年後なんて倍数の遊びさ。
『対して君も変わらないよ』
『だって僕らは500歳』
目の前の赤子が笑いながら言っている。
避けた視線の先。
赤子の足は、魚の尻尾だ。
なめらかな鱗に手を伸ばして。
ささくれにひっかかる。
紅い血は空を染めていく。
四半世紀を水に流してよ。
現世には川を渡る。
三文銭をドブから拾った。
銭洗弁天で清く洗ったよ。
騒々しい無人の羽音に安堵。
瞼をこすった右手は空を指さす。
まるでお釈迦様だ。
僕だって、聖人さ。
地を指した左手の先を涙が辿る。
無機質な灰皿へ、カラリと音を立て堕ちる。
燃え尽きそうなタバコに火を点けた。
涙と灰が混ざってルビーのよう。
紫煙はくゆって、示された天上へ。
ああ、明日が流れていく。
寝起きの眼で、ただ見ていた。
なんじゃこりゃ。的な。
ふわふわ浮かんだものたち。
