見出し画像

(お題ssあくび)夜の余韻

  「あくびを見ると、切なくなるの」
ベッドで横になる彼があくびをすると、それは帰宅のサイン。
 甘い時間は終わって、部屋には寂しい夜の静けさと、あなたのいた温もりだけが残される。

 「今日くらい、一緒に…いられない?」
彼の背中に問いかける。
着替えていた手を止めるあなた。
 少し近寄って、返事の代わりに軽いハグ。
それだけじゃ足りないのに、分かっているのに。
その瞬間だけは、許してしまう。

 彼と出会ったのは、ありがちな職場恋愛。
運命的でもない、単なる不倫の関係。
歓迎会で気がついていたよ、あなたの左手の指輪には。
 分かっているの、これは間違っているって。
だからといって、私の心は埋まらない。

 「またね…。また、すぐ会えるよね?」
返事はドアに遮られ、言葉は夜に溶けていった。
せめて今夜はシーツにくるまって、不安定な情緒と寂しい片想いを抱きしめる。
 ━━愛している。

 「ねぇ、知ってる?あなたが使ったその枕。私が昨日涙で濡らしたの。気がついていた?」
ベッドの温もりに向かって、呟いた。

 夜の冷たさで熱は解けていく。

片想い、なのか?二作目、いまだ手探り。
前作より近づいた気がするが、方向はクエスチョン。
お題、ありがとうございます!

いいなと思ったら応援しよう!