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(お題ss)夏の残像

 耳をすませば、聞こえてくる。
あの日の小径の砂利が鳴る音。
揺れる草葉のさざめく音。
照りつける陽射しとセミたちの合唱。
エコーした音と、あなたと、手を繋いで歩いた。

 小径を通る僕は、あの頃より大きくなった。
手も、足も、心だって大人になった。
それなのに、憧憬を忘れられない。
音は僕を、夏に繋ぎ止めている。

 夏がくるたびに予感を抱く。
ひまわりの奥から顔を出すあなた。
笑い声が花火のようなあなた。
また会えると約束した、あなた。
青い空のような帽子を被ったあなた。
今も過去のまま、目に焼き付いている。
予感を胸に、この道を進む。

 今年の夏は瞬くように過ぎていく。
いつものように優しくない陽射しで、影すら焼いて。
「また、来年」
そう呟いて、あの頃と同じ小径を歩く。
ひとり分のさざめきが追いかけてきた。
一輪咲いたひまわりは、太陽を見ている。
輪郭の先に、帽子が見えた。
懐かしい、青色。
初恋のあなたが、確かに。

 「久しぶりだね」
優しい音で笑ってくれた。

 小径には足跡だけが、残っている。
青い空と太陽が、夏の音を彩っていた。

きれいな感じ。
お題、ありがとうございます!

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