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『拝啓、フィンセントへの手紙』 ゴッホの星月夜

フィンセントへ。

貴方が拳銃で自らを撃ち抜いてから、
もう136年が経つのですね。

生前に描いた2000点の絵は、
今では世界中の心を揺らしています。

笑えますよね。
あれだけ描いて、生きてる内に売れたのは
ほぼ1点だけなんて。笑

良い広告代理店無かったんですか?

もし貴方が今も生きていたら、
あの空に浮かぶ月の一部くらい、
本当に買えたんじゃないですか。

月といえば、
療養院で描いた《星月夜》。

素人から言わせてもらうと—
あれは、ずるい。

夜空があんなふうに渦を巻くなんて。

僕には、
宇宙のうねりと貴方の心の渦が
そのまま重なって見えました。

正直、少し苦しくなったよ。

どこまでも、人間してましたね。

《夜のカフェテラス》なんて、
夜をあんなに色鮮やかに描くなんて。

貴方は本当の夜を見つけたんですね。

闇の中は無ではない。
無限に色が溢れている。

何百年夜空を凝視しても
私にはあの様に見えないかな
私、才能不在なもんで、皮肉ですよ

あのカフェで、
みんなとレモネードでも飲みたかったですか?

僕がそっちへ行ったら、
先祖に挨拶を済ませてから、
そのカフェに寄ります。

奢りでお願いします。

そのときゆっくり話しましょう。

それと—

貴方は
死んだフィンセント兄さんの代わりなんかじゃない。

貴方は、貴方です。

南アルルの空の光は、
貴方そのものだ。

あの光が爆発した瞬間、
それはきっと、
貴方だけのビッグバンだった。

誕生日には、
先に兄さんと何かつまんで待っていてください。

もう、そっちへ行くまでは
手紙は書きません。

PS
もう少し、生きててよ

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