【第三十八度線の火──和平が世界を焼いた日⑯】
第十五部
二〇二七年 — 帝国の終わり
中国は、外側から滅びたのではない。
内側から割れた。
北京は最後まで「国家統一」を叫んだ。
だが、上海は経済を守るために中央と距離を置いた。
香港は国際管理都市として独立回復を求めた。
ウイグルは東トルキスタン共和国を宣言した。
チベットは亡命政府の帰還を受け入れた。
内モンゴルは南モンゴル共和国として自治独立を求めた。
世界は混乱した。
だが、誰も旧中国を元に戻そうとはしなかった。
巨大すぎた国家は、巨大すぎたがゆえに、崩壊後の再統合を許されなかった。
核管理。
難民。
食料。
半導体。
港湾。
水。
レアアース。
人民元債務。
軍閥。
サイバー部隊。
宇宙資産。
中国の解体は、勝利ではなかった。
それは、人類が巨大帝国の後始末を押し付けられたということだった。

いいなと思ったら応援しよう!
再び空を飛ぶ為の訓練費用に使わせていただきますm(_ _)m