「1年前の私は、まさか自分が著者になるとは思っていなかった。」 理学療法士がAiとともにKindle出版に挑んだ話⑤
申請ボタンを押してから、2日が経っていた。
まだか。
まだか。
画面を開くたびに、同じ言葉が頭をよぎった。
不安というより、期待と緊張が
ぐるぐると混ざり合っている感覚。
そして——。
「承認されました。」
その文字を見た瞬間、
思わず声が出た。
「できた。」
たった一言だったけれど、
その言葉にはこの数ヶ月分の
すべてが詰まっていた氣がした。
「自分の決意1つで、著者になれる」と知った日
出版申請から2日間、何をしていたか
正直に言うと、落ち着かなかった。
申請そのものは、思いのほか
あっさりと終わった。
必要な情報を入力して、
EPUBファイルをアップロードして、
ボタンを押す。
それだけだった。
でも、その「それだけ」のあとが長かった。
Amazonの審査には、
数時間から数日かかると書いてある。
1日目——まだ来ない。
2日目——まだか。
自分でも不思議なくらい、
氣になってしまっていた。
「本当に通るのかな。」
「何か不備があったらどうしよう。」
そんな氣持ちが、
頭の片隅にずっとあった。
ふと思った。
理学療法士として20年、
患者さんのリハビリに向き合ってきた。
その経験を「本」という形にしたいと思ったのは、
ほんの数ヶ月前のことだ。
あのとき「やってみよう」と決めなければ、
この2日間の待ち時間も、
この落ち着かない感覚も、
何も起きていなかった。
動いたから、待てる。
決めたから、ドキドキできる。
そう思ったら、
この2日間が少し愛おしくなった。
「承認」の文字を見た瞬間
「承認されました。」
その通知を見たとき、
最初に浮かんだのは安堵だった。
でもすぐに、もっと大きな感情が来た。
「自分の経験が、形になるんだ。」
20年間、理学療法士として
延べ30,000人以上の方と向き合ってきた。
その積み重ねが、
1冊の本になった。
たった500円で、
誰でも手に取れる形で。
1年前の自分に見せてあげたかった。
「あなたは1年後、著者になっているよ。」
きっと信じなかっただろうと思う。
当時の私には、
本を書く人は「特別な人」だという
思い込みがあった。
専門家、有名人、何万人もの読者を持つ人——
そういう人たちがなるものだと。
でも違った。
著者になるために必要だったのは、
特別な肩書きでも、
特別な才能でもなかった。
「やってみよう」という、
たった1つの決意だった。
これ、本当のことなんです。
Aiと分業したからこそ、見えてきた「自分の役割」
一人でやっていたら、どこかで折れていた
出版を終えて、率直に思うことがある。
「これを一人でやっていたら、
途中で止まっていた。」
本を書くというのは、
思っていた以上に細かい作業の連続だ。
構成を考える。
文章を書く。
表現を見直す。
誤字を探す。
EPUBに変換する。
レイアウトを確認する。
申請情報を入力する。
一つひとつは小さい。
でも積み重なると、かなり骨が折れる。
理学療法士の仕事と並行しながら、
これを一人でこなすのは
正直、想像するだけで氣が遠くなる。
Aiと分業したことで、
この作業が大きく変わった。
「ここはAiに任せる。」
「ここは自分が手をかける。」
その線引きが自然に生まれた。
自分の役割は、
実体験を語ること。
方向性を判断すること。
最後に確認すること。
その部分に集中できたから、
作業がスムーズに進んだと思っている。
そして氣づいたことがある。
分業することで、
「自分にしかできないこと」が
はっきり見えてくるのだ。
20年間の実体験。
患者さんとの向き合い方。
初対面で積み上げてきた信頼の感覚。
それは私にしか語れない。
Aiには書けない。
逆に、構成の整理や
文章の流れを整えることは
Aiが得意とする領域だ。
お互いの得意を活かす。
それが「分業」の本質だったと、
出版を終えた今、改めて思っている。
任せきりにした反省が、次の力になる
ただ、正直に言わなければいけないことがある。
途中、Aiに任せきりにしてしまった場面があった。
確認の手を抜いた。
校正を後回しにした。
その結果、
まとめて見直す作業が一氣に重くなった。
「あのとき、ちゃんと確認しておけばよかった。」
そう思う場面が、何度かあった。
Aiはたしかに、作業を前に進めてくれる。
でも「これが私の言葉として正しいか」を
判断できるのは、自分だけだ。
分業とは、
相手に丸投げすることではない。
自分が手放してよい部分と、
絶対に手放してはいけない部分を
見極めることだった。
この感覚は、
理学療法士としての仕事に似ていると思った。
患者さんのリハビリを進めるとき、
私がすべてをコントロールしようとしても
うまくいかない。
患者さん自身が動こうとする力を引き出して、
私はその隣で支える。
Aiとの関係も、同じだった。
主役は、あくまで自分だ。
この反省は、次に活かせる。
それだけは、間違いないです。
このシリーズを読んでくれたあなたへ
出版は、ゴールではなかった
「本が出た。」
その瞬間は確かに嬉しかった。
でも翌日、ふと氣づいた。
これは、スタートだ。
出版とは、
「書き終えること」ではなく
「届け始めること」だった。
本棚に並べるために書いたわけじゃない。
誰かの手に渡って、
初めて意味を持つ。
初対面でうまく自分を表現できずに
モヤモヤしている人に。
関係性をどう築けばいいか
わからなくて立ち止まっている人に。
この本が届いてほしい。
それが、出版を終えた今、
一番強く思っていることだ。
4本書いて、変わったこと
このシリーズを書き終えて、
正直に言うと、
Aiへの見方が変わった。
最初は「便利なツール」という
感覚だったかもしれない。
でも4本書いてみて、
もう少し複雑な感情が生まれた。
自分の体験を言葉にしてくれる頼もしさ。
「そうそう、これが言いたかった。」
そう思う瞬間が、何度もあった。
やり取りを重ねるうちに、
Aiが自分のことを理解していく感覚。
最初よりも、ずっとスムーズに
言葉が引き出されるようになっていった。
でも同時に、
怖いと感じる瞬間もあった。
氣づくと、
自分が意図していない方向に
話が進んでいる。
「あれ、これは私が言いたいことだったか?」
そう立ち止まる場面が、
何度かあった。
だから思った。
Aiはいきなり「自動化」するものじゃない。
人と人が信頼関係を築くように、
時間をかけて、確認しながら、
一緒に歩んでいくものだ。
そしてもう一つ、
予想していなかった収穫があった。
自分の経験を言葉にする作業を通じて、
記憶が整理されていったのだ。
20年間の出来事が、
頭の中でぼんやりとしていた景色が、
文章になることで
輪郭をもって蘇ってきた。
「あのとき、こういうことがあったな。」
「あの患者さんとのやり取りが、
今の自分をつくっているんだな。」
書くことは、
自分を知ることでもあった。
表紙1枚に、何時間かけたか
本文を書き終えたあと、
もう一つ大きな作業が待っていた。
表紙のデザインだ。
Claudeで指示書を作り、
別のAiツールで画像を生成する。
仕組みとしては、シンプルだった。
でも実際にやってみると、
そう簡単にはいかなかった。
フォントの大きさが合わない。
文字の形が内容と合わない。
背景のイメージが違う。
全体の構成がしっくりこない。
何度もやり直した。
「これでいこう」と思っては直し、
「やっぱり違う」と思っては直す。
その繰り返しだった。
かなりの時間を要した。
でも完成した表紙を見たとき、
初めて「本らしくなった」と感じた。
中身だけでは本にならない。
表紙があって、初めて
「手に取りたい」と思ってもらえる。
読者さんの目に最初に触れるのは、
文章ではなく表紙なのだ。
そのことを、
この作業を通じて体感した。
一歩踏み出したい人に、伝えたいこと
1年前の私は、
自分が本を出すとは思っていなかった。
著者というのは、
もっと特別な人がなるものだと
どこかで思い込んでいた。
でも違った。
決意1つで、著者になれる。
難しいスキルも、
特別な才能も、
必要なかった。
必要だったのは、
「自分の経験には価値がある」と
信じる勇氣だけだった。
本文を書く。
表紙を作る。
申請して、待つ。
承認されて、出版される。
どの工程も、
一人でゼロから生み出したわけじゃない。
Aiという存在と一緒に、
一歩ずつ前に進んできた。
それでも、著者は私だ。
あなたにも、
誰かの役に立てる経験が
必ずあると思います。
それを形にする方法は、
確かに存在する。
この経験のすべてを、
1冊に詰め込みました。
私がその一人である証明として、
この本をお届けします。
【書籍のご案内】
『やさしい、はじめまして』
信頼につながる初対面の設計図
理学療法士20年・延べ30,000人以上と向き合い、
指名2,000人を超えて導いた私の答え
伊達あさひ 著
初対面のたった3秒が、
その後の関係性を決める。
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初対面で自分をうまく表現できない。
関係性をどう築けばいいかわからない。
そのモヤモヤに、
20年分の答えを詰め込みました。
ぜひ、手に取ってみてください。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
では!
伊達あさひ
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