英語ができても、仕事が決まらない理由。──キャリアから逆算する教育という視点【リレー連載|インターナショナルスクール・教育移住・進路を考える4つの視点④】
こんにちは。
英語とキャリアの“分かれ道”案内人、ディーン千賀子です。
このリレー連載では、
インターナショナルスクール、教育移住、進路選択について、
それぞれ異なる立場から「 リアルな視点 」が語られてきました。
そして最終回の今日は、
私がこれまで多くの親子・学生・社会人と向き合う中で、
何度も目にしてきた問いから始めたいと思います。

「英語はできるのに、仕事が決まらない」
これは、決して珍しい話ではありません。
海外経験がある。
インターナショナルスクール出身。
英語でのコミュニケーションに不自由はない。
それでも、
・希望する仕事に就けない
・キャリアが定まらない
・強みが言語化できない
そんな壁にぶつかる人を、私は数多く見てきました。
ここで一度、はっきりさせておきたいことがあります。
英語は「武器」ではあっても、「職業」ではありません。
英語は“何かをするための道具”
企業や社会が求めているのは、
「 英語ができる人 」ではなく、
「 英語を使って、何ができる人か 」です。
・どんな価値を生み出せるのか
・どんな課題を解決できるのか
・どんな分野で、どんな役割を担えるのか
そこが見えないまま、
「 英語があるから何とかなるはず 」と進んでしまうと、
キャリアは途端に不安定になります。
これは本人の努力不足でも、能力不足でもありません。
設計の問題です。
教育を「積み上げ」で考えてしまう落とし穴
多くの家庭では、教育をこう考えがちです。
・とりあえず英語
・とりあえず海外
・とりあえず選択肢を広げる
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただし、「 出口 」を考えないまま積み上げると、
途中で必ず迷子になります。
英語教育出口までの設計図。
どこに向かうのか。
どんな世界で生きたいのか。
どんな働き方をしたいのか。
その問いがないまま進むと、
英語も、学歴も、経験も、
“ 使いどころの分からない資産 ”になってしまうのです。
ゴール(キャリア)から逆算思考
では、どう考えればいいのか。
答えはシンプルです。
「どんなキャリアを描きたいか」から、教育を逆算する。
・専門性はどこに置くのか
・英語は主役か、補助輪か
・海外はゴールか、通過点か
この視点があるだけで、
インターナショナルスクールも、教育移住も、
意味の持ち方が大きく変わります。
英語を始める前に、考えてほしいこと
英語教育は、
「どこをゴールにするか」によって、まったく設計が変わります。
例えば
エベレストに登るのか。
富士山に登るのか。
それとも、地元の山に登るのか。
登る山が違えば、
準備期間も、必要な装備も、基礎体力も、
そして「出口」も変わってきます。
英語も同じです。
ゴールの違いを無視して、同じ準備をすることはできません。
進路タイプ別|必要な英語力マップ
① 海外エリート
(海外トップ大・グローバル企業・国際機関)
必要な英語力
・CEFR C1〜C2
・アカデミック英語(論文・討論・批判的思考)
・ネイティブと対等に議論できる CALP
具体例
・Ivy League / Oxbridge
・外資トップ(戦略・投資・政策)
・国連・WHO・World Bank
👉 英語は「 道具 」ではなく「 思考言語 」
② 国内エリート
(日本の難関大・官僚・大手企業幹部)
必要な英語力
・CEFR B2〜C1
・読解・プレゼン・会議対応
・日本語思考+英語アウトプット型
具体例
・東大・京大・一橋
・総合商社・官僚・研究職
👉 「 英語ができる日本人 」というポジション
③ 海外専門職
(技術・医療・IT・研究・航空)
必要な英語力
・CEFR B2〜C1
・専門分野特化の英語
・実務・マニュアル・安全英語
具体例
・パイロット・整備士
・エンジニア・研究者
・医療・心理・教育
👉 専門 × 英語 = 世界市場で働ける
④ 国内専門職
(国内での専門性を武器にする)
必要な英語力
・CEFR B1〜B2
・読解・情報収集・限定的会話
・英語は「補助スキル」
具体例
・医師・建築士・士業
・IT・デザイン・研究補助
👉 英語があると選択肢が広がる
⑤ 地域でエリート
(地方 × 国際|ここが強い)
必要な英語力
・CEFR B2前後
・実践会話・交渉・文化理解
・BICS+実務CALP
具体例
・沖縄 × 観光 × 教育
・地方 × インバウンド × 行政
👉 「 地域 × 英語 」は最強ポジション
⑥ 地域で専門職
(地域密着 + 専門性)
必要な英語力
・CEFR A2〜B1
・接客・説明・安心対応英語
具体例
・不動産・医療補助・教育補助
・観光・福祉・行政窓口
👉 “ 困らせない英語 ” が価値
正解は一つじゃない。でも、軸は必要
この連載を通してお伝えしたかったのは、
「 これが正解 」という答えではありません。
むしろ逆です。
正解がないからこそ、判断軸が必要。
英語教育も、進路選択も、
誰かの成功例をなぞるものではなく、
自分たちの価値観と未来像に合わせて設計するものです。
最後に|この続きを、対話で
英語ができることは、確かに大きな強みです。
でもそれは、人生を自動的に成功へ運んでくれる“ 保証書 ”ではありません。
だからこそ大切なのが、
「 英語の先に、どんなキャリアを描きたいのか 」
「 どんな世界で、どんな役割を担いたいのか 」
この問いには、
一人で考えても答えが出ないことも多いですし、
家庭の中だけでは視野が狭くなることもあります。
今夜22時から開催される教育しゃべり場「スナック道しるべ」第6回では、
まさにこうした
「 英語・教育・進路・キャリアをどうつなげて考えるか 」を、
正解探しではなく、“ 対話 ”を通して深めていきます。
スナック道しるべは、
私たち4人が、それぞれグローバル教育に挑戦してきた中で、
「 こんな場所があったら、もっと安心して進めたよね 」
そんな思いからスタートした場です。
立場も経験も違う人の話を聞きながら、
比べ合うのではなく、
「 自分たちにとっての納得解 」を探していく。
これからの未来を生きる子どもたちのために、
親御さんが一人で抱え込まず、
少しでも安心して、最適な選択を重ねていけるように。
そんな願いを込めて、続けています。
この記事を読んで、
少しでも立ち止まったり、考えたくなった方は、
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