四季のグラデーションの中で
八ヶ岳の紅葉は
山頂から麓へ向かい
滲むようにゆっくりと広がってゆきます
桜の時期は反対に
麓から山頂に向かい
山を駆けあがるように淡いピンクが広がってゆきます

標高差が織り成す色彩のグラデーション
季節は絵筆を滑らせるようにやわらかく彩りを変えてゆきます

春は桜の風にのり
山を駆け登り
夏は生い茂る木々と共に
山を育み
秋は彩りのベールを引きながら
ゆっくりと山を滑り
冬は氷点の世界が広がる山頂から
静かに下界を見渡す
四季と山は共に暮らし
その偉大な流れの中に人間がいます
だから山での暮らしは
彩りの変化を見つめ
風の香りや熱を感じ
植物や生物の歌に耳を傾け
自然の流れに身を任せるのが
一番心地いい

自然がそうであるように
運命もなるようになってゆくのですよね
”則天去私”
天にのっとって私心を捨てること
我執を捨てて自然に身をゆだねること
晩年の夏目漱石が理想とした心境です
運命は仕組むものではなく
自然に委ねるもの
魂が成熟するごとに”値するものが与えられる”のならば
人も事も物も必要なものは必ず与えられるようになっているのでしょう
天使が飛んでいるような神々しい夕暮れ

ゴールドの羽根が風に舞い
山々の向こうに光が沈み
漆黒の夜の気配が訪れる
留まることのない光景は
今この瞬間にしか生きられないことを教えてくれています

