見出し画像

入れ替わりの早いパート(ショートホラー)

 「海の猫に、ご飯あげるだけ、ですか?」
 聞き返しながら八重ちゃんはメモ帳に、こんもりと白飯しろめしよそわれた茶碗と猫を落書きした。にゃー。

 『ウミネコに餌をやるだけ。時給1500円。』
 求人内容は本当だった。

 「パートもしくは、業務委託も可能です。
 なので保険に入って頂くことになります。
 備品とか壊れるしね?だけどインボイスとか最近うるさいでしょー。」
 …なんだかさっぱり分からない。
 「はー。」
 「うん。じゃパートにすれば?インボイス無いから。」
 「はぁ。」
 「じゃ保険料はパート代から引くけど月500円だからさ。」
 「え、パートも保険加入ですか?」
 「怪我とかあるしさ。」
 「け、怪我?」「まぁ、転んだりね」


 八重ちゃんはパート初日、バケツに入った肉団子を投げた。
 肥えたウミネコたちが寄ってくる。
 「すごいでしゅね、怖くないのー?」
 「ギャーオ!」
 「お返事じょうじゅでしゅねー!」

 ―それにしても不思議な話だ。
 八重ちゃんは思う。
 ―保険って、損害保障なら物が対象よね…。
 唯一渡されたバケツを眺める。
 ―バケツに保障要るかしら…あと怪我も保証するってさぁ、医療保険かっての。

 はっ。
 八重ちゃんは肉団子を見た。
 「生命保険か!」
 





お題:海の猫

(本文534文字)

参加させて頂きます
小牧幸助さま
よろしくお願い致します。
 

#シロクマ文芸部 #海の猫


この記事が参加している募集