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ボーナスが入ったのに、増えた感じがしない

ボーナスが入る。

嬉しい。

はずである。

しかし最近、私はボーナスを「増えたお金」と認識できなくなってきた。

なぜなら、入る前から行き先が決まっているからだ。

税金。

保険。

固定費。

大型出費。

家電買い替え予備軍。

支給前から、もう列ができている。

こちらの口座に入る前に、生活側が整理券を配っている。

ボーナスはご褒美だったはずなのに

ボーナスという言葉には、もう少し浮かれた響きがあった。

何を買うか。

どこへ行くか。

何を食べるか。

少し良いものを買うか。

そういうことを考えるお金だった気がする。

もちろん、今でもうれしい。

入らないよりは、絶対に入ったほうがいい。

そこは間違いない。

ただ、昔思っていたボーナス感とはだいぶ違う。

今は、まず支払い予定を見る。

次に貯金を見る。

その次にNISAを見る。

最後に、少しだけ自分を見る。

順番がかなり後ろである。

私のご褒美、生活費たちの後ろに並ばされている。

未来の請求書処理装置になっている

気づけばボーナスは、自由なお金ではなくなっていた。

未来の請求書処理装置である。

かなり強い言い方だが、実感としては近い。

まだ来ていない出費。

たぶん来る出費。

いつか壊れる家電。

なんとなく不安な医療費。

来月以降の生活費。

そういうものに、ボーナスが先回りして消えていく。

入った瞬間に増えるのではなく、未来の穴を埋めに行く。

悲しい。

でも合理的である。

合理的だから、余計に悲しい。

感情としては「やったー」と言いたい。

現実としては「まず補修だな」となる。

夢がない。

いや、夢がないどころか、現実が強すぎる。

ご褒美にも審査が入る

ボーナスで少し良いものを買いたい。

そう思う瞬間はある。

働いた。

疲れた。

よく耐えた。

何か買ってもいいのでは。

そう思う。

しかし、会計前に未来の自分が出てくる。

それ本当に必要?

来月大丈夫?

NISAは?

冷蔵庫、そろそろ怪しくない?

うるさい。

未来の自分は、かなり口うるさい。

しかもだいたい正しい。

正しい人間ほど面倒なものはない。

ご褒美を買うにも、心の稟議が必要になった。

承認者は私。

差し戻すのも私。

夜に急に厳しくなるのも私。

面倒くさい組織である。

防波堤の補修費としてのボーナス

最近のボーナスは、生活防衛費の補充に近い。

防波堤の補修である。

物価高。

急な出費。

家電の不調。

病院代。

税金の封筒。

そういう波が来た時に、家計がそのまま流されないようにするための壁。

ボーナスは、その壁を直すために使われる。

ありがたい。

本当にありがたい。

でも、もう少し南国の風みたいな顔をしていてほしかった。

ボーナスという言葉に、補修材の匂いがしてくる。

かなり現実である。

それでも少しは浮かれたい

ボーナスが嬉しくないわけではない。

ただ、うれしさより先に「これで何カ月もつか」を考えるようになった。

大人になったというより、生活が先に大人になりすぎた。

私はボーナスを全部使いたいわけではない。

でも、全部守りに回すと、今の私が少し拗ねる。

未来の自分も大事だ。

今の自分も大事だ。

だから、ボーナスは停戦協定くらいがちょうどいい。

全部使わない。

全部守らない。

少しだけ楽しんで、残りで未来の自分を黙らせる。

それくらいが、たぶん私には合っている。

ボーナスは夢ではなくなった。

でも、全部を現実に渡すのも悔しい。

せめて少しだけ、うまいものを食べる。

防波堤を直したあと、焼き魚定食くらいは許されてほしい。

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