AIが書いた文章を、放送作家が3箇所だけ直したら別物になった
「読みやすいのに、なぜか最後まで読んでもらえない」
そう感じたことはないだろうか。
実はその原因、内容じゃないことが多い。構成の問題だ。
私は放送作家として26年、バラエティ・情報番組の台本を書いてきた。最近、ChatGPTで書いたnoteを添削してほしいという声をもらうようになった。読んでみると、毎回同じ問題が3箇所に出てくる。
今日は実際にAIが書いた文章を素材に、放送作家目線で「何がまずいか」「どう直すか」を全部見せる。
まず、AIに書かせた文章がこれ
プロンプト:「副業を始めた話を、30代会社員向けに800字で書いて」
会社員として働きながら、「このままでいいのだろうか」と感じる瞬間が増えてきたのは、30代に入ってからでした。大きな不満があるわけではありません。ただ、将来の収入や働き方を考えたとき、今の一本の柱だけに頼る状態に、漠然とした不安を覚えるようになったのです。副業を意識し始めたのは、そんな小さな違和感がきっかけでした。(以下略)
読めるか?読める。
でも最後まで読みたいか?正直、途中で止まる。
なぜか。3箇所に問題がある。
問題①「引きがない」── 冒頭の1文で読者を逃している
AIの冒頭:
「会社員として働きながら、『このままでいいのだろうか』と感じる瞬間が増えてきたのは…」
これは「状況説明」から入っている。
テレビの台本でも、まったく同じことが起きる。冒頭で画が立たない台本は、理屈が合ってても通らない。 プロデューサーが読むのをやめる。会議で一番最初に落ちる台本の冒頭は、例外なく「説明」から始まっている。
noteも同じだ。冒頭の1文が「状況の説明」なら、読者はスクロールをやめる。
放送作家の原則は一つ:冒頭はいきなり「シーン」から入れ。
問題②「緩急がない」── 全部が同じ音量で読者が疲れる
AIの文章は全段落、同じトーンで書かれている。
テレビで言えば、BGMもSEもなく、ナレーターが同じ声量で8分間しゃべり続けている状態だ。情報としては正しい。でも人は飽きる。
番組の構成では、笑いの後にシリアスな展開を置く。強い言葉の後に、短い沈黙を入れる。緩急があるから、視聴者は最後まで離脱しない。
文章も同じで、緩急がない文章は「正しいのに読み疲れる」という不思議な現象を起こす。
問題③「オチがない」── 最後が「まとめ」で終わっている
AIの最終段落:
「まずは無理のない範囲で一歩踏み出してみる。それだけでも、見える景色は変わってくるはずです」
これはまとめだ。励ましだ。
でも、読んだ人の感情は「ふーん、そうですね」で終わる。
テレビの台本では「最初の15秒で興味を取れない台本は、後半で取り返せない」とよく言われるが、締めも同じだ。最後の1文が「まとめ」で終わる台本は、翌週の視聴につながらない。
noteのオチに必要なのは「励まし」ではなく、読者が「自分のことだ」と気づく1文だ。
直した版:3つの問題を全部修正した全文
副業を始めて最初に稼いだのは、680円だった。
振込通知を見て笑ってしまった。手数料引いたら赤字じゃないか、と。
でも正直に言う。あの680円は、会社の給料日よりずっと嬉しかった。
30代に入ってから、ふとした瞬間に考えることが増えた。「このまま会社だけに依存していて、本当に大丈夫なのか」という、答えのない問い。大きな不満があるわけじゃない。ただ、一本の柱しかない構造に、じわじわ気持ち悪さを感じ始めていた。
副業を調べ始めたのはそれがきっかけだ。ただ最初は、目的なんてなかった。「何かしなきゃ」という焦りだけで、SNSと記事を読み漁った。気づいたのは、早く大きく稼ごうとした人間ほど3ヶ月で消えている、という事実だった。
だから目標をこう決めた。「月に数千円でいい。ただし、自分の判断で動いて稼ぐ」
実際に始めると、予想通り地味だった。予想外だったのは、地味さが全然苦じゃなかったことだ。会社の仕事は「言われたことをやった結果が評価される」。副業は「自分が考えたことが、そのまま数字になる」。この違いは、やってみるまで本当にわからなかった。
680円を稼いだあの夜。私は初めて「会社がなくても、ちょっとは生きていけるかもしれない」と思えた。
金額じゃない。自分に対する信用が、1ミリ増えた感覚。
それだけで、十分だった。
ビフォーアフター比較
項目AI版直した版冒頭状況説明シーン(680円の振込)から入る緩急全部同じトーン笑い→シリアス→静かな着地オチ「頑張れ」で終わる読者が「自分もそうだ」と気づく一文文字数約800字約500字(短くて濃い)
まとめ:AIの文章に足りないのは「構成」だ
内容は正しい。文法も丁寧だ。でも人の感情は動かない。
バラエティ番組の台本で26年かけて体に染み込んだのは、「読ませる・見せる・最後まで離脱させない」ための構造だ。この技法はnoteにそのまま使える。
AIは骨格を作る。構成は人間がやる。その役割分担が、売れる文章を作る最短ルートだと思っている。
次回:この技法を体系化した有料記事を出します。
「引き・緩急・オチ・フリとボケ」── バラエティ構成術をnoteに転用する5ステップを、プロンプト付きテンプレートとともに公開予定です。
価格は300円を予定しています。
公開時にお知らせするので、フォローしておいてもらえると助かります。
▼4ステップ+プロンプトテンプレートの完全版はこちら(300円)
「引き・緩急・オチ・フリとボケ──バラエティ構成術をnoteに転用する完全手順【プロンプト付きテンプレート】」|たま|現役放送作家の言葉術
