【全アルバム解説】スラッシュ・メタル界の帝王「スレイヤー」の名曲・名盤一挙紹介
もう何と言いますかね、スレイヤーの事を語ろうとすると好き過ぎてどこから話していいものやら、とても迷ってしまうのですが。
このバンドのオリジナリティはもちろん、作品の特異性、影響力、質の高さ、変わらぬ拘り、などなど、次から次へと言葉があふれてきてしまうのですが、全スタジオ・アルバム追い掛ける形で、彼らの歴史を解説していこうと思います。
■1.スレイヤーってどんなバンド?


◆略歴
1983年、トム・アラヤ(Vo. Ba.)、ケリー・キング(Gt.)、ジェフ・ハンネマン(Gt.)デイヴ・ロンバード(Drs.)の4人で結成
メタル・ブレイド・レコーズによるコンピレーションアルバム ” メタル・マサカー3 - METAL MASSACRE 3 - ” に参加しレーベルと契約、同年12月にデビュー作となる1st ” ショウ・ノー・マーシー - SHOW NO MERCY - ” を発表
1980年代に登場したスラッシュ・メタルのシーン醸造に大きく貢献し、メタリカ、アンスラックス、メガデスと共にBIG4と並び称される
1992年にデイヴ・ロンバードが脱退、新ドラマーとして元フォビドゥンのポール・ボスタフが加入
1996年、パンク/ハードコアカバーアルバム ” アンディスピューテッド・アティテュード - UNDISPUTED ATTITUDE - ” を発表後ポールが脱退し、新ドラマーとして元テスタメントのジョン・デッティが加入するが、すぐにポールが復帰した
2006年、オリジナル・ドラマーのデイヴが復帰し、約5年ぶりの9thアルバム、 ” クライスト・イリュージョン - CHRIST ILLUSION - ” をリリース、ビルボード初登場5位を記録
” クライスト・イリュージョン - CHRIST ILLUSION -” に収録された楽曲 ” Eyes Of The Insane ” が、第49回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門を受賞
2008年、 ” CHRIST ILLUSION ” のリイシュー盤に収録された楽曲 ” Final Six ” が、第50回グラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門で受賞
2011年、ジェフが右腕を毒蜘蛛に噛まれ壊死性筋膜炎を発症したためバンドを離脱、ツアーにはエクソダスのギタリストゲイリー・ホルトがサポートで参加する
2011年より壊死性筋膜炎のため療養していたジェフ・ハンネマンが、2013年5月2日 肝不全により死去
2013年2月、デイヴがツアーに参加しないことを表明、5月30日に脱退したデイヴの後任としてポールが復帰
2018年に「ファイナル・ワールド・ツアー」を開始し、このツアーが最後になると発表
2019年同11月、地元カリフォルニア州の最終公演をもって活動停止した
基本的には、オリジナル・スタジオ盤を紹介する予定ですが、いくつかのアルバムもトピックとして扱いたい(扱ってしまう)と思っています。
名曲の動画も併せて紹介しますから、もしもあなたがこれまで「スレイヤー?聴いた事ないね」というスタンスの人類なら、新たな芸術を知る切っ掛けとなるかも知れませんので、お楽しみに。
ではイ(逝)きましょう。
■2.スラッシュ黎明期
1980年代のミュージック・シーンといえば、今から数えてもう30年も前の話になってしまいますから、多くのリスナー諸氏には歴史的事実のような存在なのかもしれません。
事実、昨今のシーンとは大きくその様相が違っており、「ジャンルそのものが生まれ出る」という時代の真っ只中だったと言えます。
HR/HMシーンで言えば、70年代を席巻したディープ・パープルなどのプレグレッシヴなハード・ロックや、レインボウなど伝統的な様式美をベースにしたロックから、アイアン・メイデンをはじめとするNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)の潮流も一旦は落ち着き、次なる起爆装置の出現が待たれるような熱い空気感だったわけです。
そんな中、遂に「スラッシュ・メタル」がシーンに登場します。
後に「BIG4」と呼ばれる4つのバンドが、80年代初頭に次々デビューを果たし後のメタル・シーンにおける大きな渦となっていくのですが、デビュー直後の頃は必ずしも高い評価を得ていたわけではありませんでした。
むしろ「こんなのメタルじゃない」「速くてうるさいだけで音楽性が乏しい」というネガティヴな反応が少なくなかったんですね。
アルバム発表前のエピソードも多く残っていますがそれは別のエントリで書くとして、デビュー・アルバムからラストアルバムまで、追いかけていきましょう。
BIG4の中では、メタリカ1983年07月発表の1st ” キル・エム・オール ” に続いて2番目、1983年12月にスレイヤーが1stアルバムを発表します。
◉ [album] Show No Mercy / SLAYER (1983)

Side One
“Evil Has No Boundaries“ Lyrics:Hanneman, King Music:King Length:3:09
“The Antichrist“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman, King Length:2:49 ★
“Die by the Sword“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:36
“Fight till Death“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:37
“Metal Storm / Face the Slayer“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:4:53
Side Two
“Black Magic“ Lyrics:King Music:HannemanKing Length:4:03 ★
“Tormentor“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:45
“The Final Command“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:2:32
“Crionics“ Lyrics:Hanneman, King Music:Hanneman, King Length:3:29
“Show No Mercy“ Lyrics:King Music:King Length:3:06 ★
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Dave Lombardo – drums

メタリカのデビューから遅れる事4カ月、スレイヤーは遂にフルレンス・アルバムを発表しました。
当時メンバーは、トム・アラヤ(Ba.)21歳、ケリー・キング(Gt.)19歳、ジェフ・ハンネマン(Gt.)19歳、デイヴ・ロンバード(Drs.)18歳、という若さで、無軌道で無分別な勢い爆裂状態だった事は想像に難くないでしょう。
当時のレーベルは、コンピレーション・アルバム ” メタル・マサカー(Metal Massacre)” の発起人であるブライアン・スレイゲル(Brian Slagel)が作った ” メタル・ブレイド・レコーズ(METAL BLADE RECORDS) ” でしたが、まともなレコーディング・バジェットが用意できる状況になく、結果的にバンドによる自費制作、セルフ・プロデュースという形で録音されます。
音源そのものはお世辞にも音質が良いとは言えないながら、楽曲のキレは後のスレイヤーに繋がる片鱗を伺い知れる内容です。
しかしまだ幾分、ギター・リフや曲展開の方法に英国ヘヴィ・メタルからの影響やハード・ロック的なアプローチが見え隠れするあたりは、なんだか微笑ましくも感じますね(初期ライヴでは、ジューダス・プリーストやアイアン・メイデンの曲をカヴァーする事も多かったのだとか)。
全体を通してまだガチのスラッシュという風合いではなく、パンキッシュな風味のあるHR/HMといったイメージで、ドラム・プレイの異常なスピード感やクレイジーなギター・ソロなどの「スレイヤー節」はまだ完全には表出していません。
ただ強烈に反キリスト的な歌詞や悪魔的な内容を含んでいた事から、PMRC(Parents Music Resource Center)の抗議を1stからしっかり受けています。
この辺りは最初っからスレイヤーだったんだなあ、という印象です(w)。
デビュー・アルバムは一定の批判に晒されながらも、同時期のメタル・ブレイド・レコーズが発売するHR/HMレコードの売上が凡そ5,000枚であったのに対して、スレイヤーはアメリカ国内で20,000枚、海外でも15,000枚OVERというセールスを記録します。
◉ [e.p.] Haunting the Chapel / SLAYER (1984)

デビュー盤発表の翌年、早々にE.P.を発表します。1曲目 ” ケミカル・ウォーフェア ” は後のセットリストに長く採用され続ける名曲で、その他の収録曲もスピード感、タイトさが、明らかに1st時点よりも後の「スレイヤーらしく」表現されています。収録はたったの3曲ながら、スラッシュ・メタルの夜明けとなった名盤です。
◉ [live] Live Undead / SLAYER (1984)

E.P.発表後の1984年に録音した初のLIVE盤です。この時点のベスト選曲で、1stよりもサウンドのバランスが良く、ドラムプレイやベースラインの輪郭がより明確になりました。相変わらずジャケットはB級臭を発散していますね。
◉ [album] Hell Awaits / SLAYER (1985)

Side A
“Hell Awaits“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:6:16
“Kill Again“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:4:56 ★
“At Dawn They Sleep“ Lyrics:ArayaHanneman, King Music:Hanneman Length:6:17
Side B
“Praise of Death“ Lyrics:Hanneman Music:King Length:5:21
“Necrophiliac“ Lyrics:Hanneman, King Music:Hanneman Length:3:46
“Crypts of Eternity“ Lyrics:Araya, Hanneman, King Music:Hanneman, King Length:6:40 ★
“Hardening of the Arteries“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:55
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Dave Lombardo – drums

1stアルバムが当時のメタル・ブレイド・レコーズにとって最大の売上となった(全世界で40,000枚に到達)事で、さすがに ブライアン・スレイゲル は予算をバンドに与えました。
そうしてスレイヤーは2ndアルバムで初めて、自分達以外のプロデューサ、エンジニアと共にレコーディング作業を進める事となります。
通常使われるSEの導入やオーヴァー・ダブなど、おおよそプロフェッショナルと言える制作環境を手に入れた彼らは、1stやその後のEPに比べると、随分と長く、且つエフェクティヴで展開の多い曲を多数生み出します。
8曲中、6分を超える曲がなんと3曲も収録されました(その後のスレイヤーでは考えにくい構成です!)が、アルバム全体で見ればたったの7曲、合計37分というコンパクトな仕上がりです。
1stに比べると、2年という間隔が彼らの成長に大きく寄与した事が伺い知れる内容で、勢い一発!の状態から、楽曲の見せ場や演出、楽曲そのもののバリエーションなど、更にサウンド面でも大きく前進した印象です。
また、90年代に向けてシーンが活性化する事となる、ブラック・メタルへの影響もこの頃発露していたと言えそうですね。
判り易くトレモロ・リフでグイグイ追い立てるような楽曲も収録されていますが、この頃のスレイヤーは後期の彼らよりもより悪魔崇拝的な世界観が強いので、表現しようとする世界観そのものからして「ブラック・メタル的原石」だったと言えるかもしれません。
また特筆すべきは、このアルバム時点でトムのパーカッシヴなヴォーカル・スタイルが概ね完成している事です。
ヴォーカル・ラインのリズム、符割りが実に個性的で、シンコペーション、裏打ち、ややハネなどなど、巧みにリズムを使い分けるスタイルがただただ超カッケーですね。
是非、注意して聴いてみてください。
◉ [album] Reign in Blood / SLAYER (1986)

Side A
“Angel of Death“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:4:51 ★
“Piece by Piece“ Lyrics:King Music:King Length:2:02
“Necrophobic“ Lyrics:HannemanKing Music:HannemanKing Length:1:40 ★
“Altar of Sacrifice“ Lyrics:King Music:Hanneman Length:2:50
“Jesus Saves“ Lyrics:King Music:HannemanKing Length:2:54
Side B
“Criminally Insane“ Lyrics:HannemanKing Music:HannemanKing Length:2:23
“Reborn“ Lyrics:King Music:Hanneman Length:2:11
“Epidemic“ Lyrics:King Music:HannemanKing Length:2:23
“Postmortem“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:27
“Raining Blood“ Lyrics:HannemanKing Music:Hanneman Length:4:14 ★
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Dave Lombardo – drums

そして遂に、このアルバムが発表されてしまうわけです。
スレイヤー3枚目のスタジオ・フルレンス・アルバムにして、スラッシュ・メタル界、いやHR/HM界の歴史に燦然と輝く名盤 ” レイン・イン・ブラッド ” です。
前作では楽曲の構造を作り込み、展開やアイデアの量マシマシ状態の作風だった事に対する反動か、本作では一切の無駄を削ぎ落としたかのようなアルバムに仕上がっています。
冗長なイントロ・パートは無く、突然トップギア全開から始まるような曲が矢継ぎ早に繰り出されます。
全10曲ながら全体で28:55しかないアルバムですが、一曲一曲の濃度が異常な濃さに調整されており、聴き終えた時に感じるボリューム感は凄まじいんですよね(4分台×2曲、3分台×1曲、2分台×6曲、1分台×1曲)。
内容も基地外じみていまして唯一の1分台の曲 ” ネクロフォビック ” はBPM240です(つまり1秒間に4拍、てことは1小節)。
またこのアルバムから、後の盟友となるプロデューサ”リック・ルービン”が参戦し、スレイヤー黄金期を共に作り上げる事になります(胸アツ展開)。
更に、古巣メタル・ブレイド・レコーズを離れ、当時まだヒップ・ホップ系のレーベルであったデフ・ジャムに移籍してのアルバム発表でした。
US Billboard 200にバンド初のランクインを果たし、なんと94位まで上昇、1992年11月20日にゴールド・ディスクを獲得します。
またローリングストーン誌は、2017年「史上最高のメタルアルバム100枚」のリスト中 ” レイン・イン・ブラッド ” 6位に格付けしています。
当時ほぼ無名に等しい状態であったアンディ・ウォレスをエンジニアとして起用していますが、彼は後のスレイヤー・サウンド構築に大きく貢献した人物でして、90年代にはニルヴァーナの作品に関わるなど、オルタナティヴ・ロックの方面でもそのヘヴィなサウンド作りが広く評価されました。
もしもあなたがHR/HMリスナーでこのアルバムを全編通して聴いた事がないなら、どうか30分だけスレイヤーに捧げてください。
時代を超えるインパクトが待っていますのでね。
◉ [album] South of Heaven / SLAYER (1988)

Side A
“South of Heaven“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:4:58 ★
“Silent Scream“ Lyrics:Araya Music:Hanneman, King Length:3:07
“Live Undead“ Lyrics:Araya, King Music:Hanneman Length:3:50 ★
“Behind the Crooked Cross“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:3:15
“Mandatory Suicide“ Lyrics:Araya Music:Hanneman, King Length:4:05
Side B
“Ghosts of War“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:3:53
“Read Between the Lies“ Lyrics:Araya, King Music:Hanneman Length:3:20
“Cleanse the Soul“ Lyrics:Araya, King Music:Hanneman Length:3:02
“Dissident Aggressor” (Judas Priest cover) Lyrics:Halford Music:Downing, Tipton Length:2:35 ★
“Spill the Blood“ Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:4:48
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Dave Lombardo – drums

前作での成功を受けて、ほぼ同じ制作体制でレコーディングされた4thは、1988年07月に発表されました。
10曲で37分という数字だけを見れば前作と同じコンセプトのように思えますが、本作ではスローなパートを含む楽曲が明らかに増えています。
のちのインタビューでケリーは「レイン・イン・ブラッドと同じ事やってもあの作品は超えられないと思っていた」と語っています。
実際、それまでのスレイヤーに比べて、重たく引きずるような展開を含む曲が増えてはいるものの、ずっと遅いままというような事はなく、タメにタメてスピード・パートに繋がる演出となっており、緩急のコントラストがある為、ダルさは皆無です。
また前作までの楽曲との違いとして、トムが作詞面で貢献することが増えた作品でもあります(約半数がトムによる作詞)。
詩の内容は、サタニックでホラー的なおどろおどろしさから、戦争や中絶、自殺など、シリアスで社会的な「死」にまつわる内容へと接近しています。
本作について特筆すべきは、オリジナル・アルバムで唯一、カヴァー曲を正規の本編ラインナップに含んでいる事でしょう。
ジューダス・プリースト1977年発表 ” シン・アフター・シン ” に収録されていた曲で、ミドル・テンポのヘヴィなンバーですが、しっかりスレイヤー印が刻印されていますね。
ジューダス~は彼等のルーツ音楽の一つであり、古くからカヴァーしていた彼等の敬意が感じられるような気がしませんか。
◉ [album] Seasons in the Abyss / SLAYER (1990)

Side A
“War Ensemble“ Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman Length:4:51 ★
“Blood Red“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:2:47
“Spirit in Black“ Lyrics:King Music:Hanneman Length:4:07
“Expendable Youth“ Lyrics:Araya Music:King Length:4:09
“Dead Skin Mask“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:5:20 ★
Side B
“Hallowed Point“ Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman, King Length:3:23
“Skeletons of Society“ Lyrics:King Music:King Length:4:40
“Temptation“ Lyrics:King Music:King Length:3:25
“Born of Fire“ Lyrics:King Music:Hanneman, King Length:3:07
“Seasons in the Abyss“ Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:6:34 ★
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Dave Lombardo – drums

1990年10月に発表された5thアルバムです。
丁度バンドが本作の曲作りをしていた頃、メガデス、テスタメント、スイサイダル・テンデンシーズというラインナップのジョイント・ツアー「クラッシュ・オブ・ザ・タイタンズ」が1990年10月からスタートすることが決定しており、かなり急いでレコーディング作業を行ったそうです。
前作で彼等なりの実験的アプローチでもあったヘヴィさに振った作風により得た経験値を、本来の持ち味であるクレイジーなスピードとのコントラストという形で昇華させた決定版的アルバムで、セールスもそれまでの最高売り上げを叩き出しました。
Billboard 200では最高40位に到達、バンドにとって初となる全米トップ50入りを果たします。
また全英アルバムチャートで18位に到達、初のトップ20を果たしました。
彼等のアリジナル・アルバム中では最長の42分台のアルバムですが、3rdで感じられたような「一切の無駄を排した作風」により中ダルみ感は一切感じられません。
前作に引き続きトムが全体の半数程の曲で作詞を担当し、スレイヤーの歌世界にシリアスな世界観を持ち込む事も定番化した印象です。
リーダー・トラック"War Ensemble"は後のライヴでも定番となるハイ・クオリティな人気曲で、多彩な展開を含むスピード・ナンバーながら5分台の長尺曲ですが、一気に走り抜けるアレンジは爽快の一言に尽きます。
タイトル曲 ” シーズンズ・イン・ジ・アビス ” はシングルとしてもリリースされ、全英シングル・チャートでは51位に達しました。
同曲はバンドにとって初のミュージック・ビデオも制作されていますね。
◉ [live] Decade Of Aggression / SLYER (1991)

結成10周年のタイミングで発表された2枚目のライヴ盤です。引き続きリック・ルービンがプロデュース、この時点のベスト盤的意味合いが強い内容になっています。スタジオ盤に比べると、スピードが増しベースやキックのバランスが大きくミックスされており、ハイ・クオリティ且つ渾身のプレイを堪能できる名盤と言えるでしょう。
■3.メンバーチェンジからの実験期
バンド結成10周年を迎え、記念盤的意味合いのライヴ盤も発表、これからの10年はどんな攻撃的音楽を聴かせてくれるのかと夢想していた頃、ショッキングなニュースが報じられました。
結成以来不動のメンバーであったスレイヤーでしたが、1992年にドラマーのデイヴ・ロンバードがバンドを脱退してしまったのです。
他のメンバーとの対立、最初の子供の誕生のためにツアーを離れたいというのが、脱退の理由でした。
デイヴのドラミングは、スレイヤーの楽曲を特徴づける重要な要素の一つでしたので、後任探しは難航するかに思われましたが、1980年代後半からバンド ” フォビドゥン ” で活躍していた ” ポール・ボスタフ ” が加入します。
そうして、スレイヤーのアルバム制作期間としては最長の4年を経て、新作を発表します。
◉ [check] Music From The Motion Picture Judgement Night / V.A. (1993)

ポール・ボスタフ加入後、最初のレコーディングはオリジナル・アルバムではなく、映画”ジャッジメント・ナイト”に提供した楽曲でした。これはラッパー”アイス・T”との共作でバンド”エクスプロイテッド”の曲✕3をメドレーとして一曲にまとめたものですが、ストレートなパンク・ナンバーがスレイヤーの「らしさ」を醸し出していますね。
◉ [album] Divine Intervention / SLAYER (1994)

“Killing Fields” Lyrics:Araya Music:King Length:3:57
“Sex. Murder. Art.” Lyrics:Araya King Length:1:50 ★
“Fictional Reality” Lyrics:King King Length:3:38
“Dittohead” Lyrics:King King Length:2:31
“Divine Intervention” Lyrics:Araya, Jeff, King, Bostaph Music:Hanneman, King Length:5:33 ★
“Circle of Beliefs” Lyrics:King Music:King Length:4:30
“SS-3” Lyrics:Hanneman Music:Hanneman, King Length:4:07
“Serenity in Murder” Lyrics:Araya Music:Hanneman, King Length:2:36 ★
“213” Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:4:52
“Mind Control” Lyrics:Araya, King Music:Hanneman, King Length:3:04
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Paul Bostaph – drums

筆者は、当時このアルバムを手にした時、実に複雑な想いを持っていました。
おそらく世界中のスレイヤー信者もそうだったんじゃないでしょうか。
あの鉄壁の布陣が崩れた後、ポール・ボスタフがいかにタフなプレイヤーだったとしても、果たしてその音楽はスレイヤー足り得るのかと、不安を抱えながら1stトラックを再生した事でしょう。
1曲目 ” キリング・フィールド ” は、スレイヤーの数ある楽曲の中でもかなり珍しいドラム・ソロから始まる曲で、2小節のソロを経て、スロー・テンポ(ただしドラムは手数足数が詰めっ詰め)のリフ回しが続くのは、ポールのお披露目的な意味合いがあったのかな、と想像出来ます。
1994年といえば既にグランジ、オルタナティヴの潮流がミュージック・シーンを席巻し、暗く重たい楽曲で言葉を引きずるように奏でられていた時代ですが、そんな中においてスレイヤーはやはりスレイヤーのままでした。
ドラム・プレイに当然ながら違いはあり、例えばスピーディなドラムのフィル・インにおいて個性的な休符を織り交ぜる事で独自のグルーヴを生み出していたデイヴに対して、ポールは極めてストレ-トでタフなプレイ・スタイルを貫いており、この強烈なバンドに加入してなお自分の個性を維持しています。
アルバム2曲目以降は、しっかりテンポ・アップしたスレイヤー節を聴かせてくれます。
また特筆すべきは5曲目、タイトル曲の ” ディヴァイン・インターヴェンション ” で、スレイヤー史上唯一、メンバー全員が作詞に関わった珍しいケースの曲です。
神について歌詞にする事の意味が日本よりも遥かにデリケートでリスキーな環境下において、メンバー全員の感性を採用しているという点は、ポールをメンバー全員が受け入れた証のようにも感じられます。
本作で初めてBillboard 200のトップ10入りを果たし、全英アルバムチャートでは15位に到達、収録曲“セレニティ・イン・マーダー”は全英シングルチャートで50位を記録しました。
◉ [cover] Undisputed Attitude / SLAYER (1996)

パンクに造詣の深いジェフ主導で制作された、オリジナル曲✕3+アメリカ産ハードコア・パンクのカヴァー、という内容の企画盤です。マニアックな選曲がいかにもですが、原曲の150%スピードで繰り出される楽曲は、すっかりスレイヤー印ですね。
◉ [check] Spawn : The Album / V.A (1997)

当時の人気コミック「スポーン」の実写映画化に際し制作されたサウンド・トラックに参加しています。ラウド系バンドとエレクトロニカ系ミュージシャンとのコラボというコンセプトのアルバムで、スレイヤーはAtari Teenage Riottoと共演しました。それぞれの持ち味がミックスされた良音源となっていますね
◉ [album] Diabolus in Musica / SLAYER (1998)

All music is composed by Jeff Hanneman, except “In the Name of God”, by Kerry King.
“Bitter Peace” Lyrics:Hanneman Length:4:32 ★
“Death’s Head” Lyrics:Hanneman Length:3:34
“Stain of Mind” Lyrics:King Length:3:24 ★
“Overt Enemy” Lyrics:Hanneman Length:4:41
“Perversions of Pain” Lyrics:King Length:3:33
“Love to Hate” Lyrics:Hanneman, King Length:3:07
“Desire” Lyrics:Araya Length:4:19
“In the Name of God” Lyrics:King Length:3:40
“Scrum” Lyrics:King Length:2:16 ★
“Screaming from the Sky” Lyrics:Hanneman, Araya, King Length:3:12
“Point” Lyrics:King Length:4:11
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Paul Bostaph – drums
1998年発表のこの8thアルバムは、ある意味一番の問題作と言えるかもしれません。
カヴァーアルバム ” アンディスピューテッド・アティテュード ” 発表後、なんとポールが脱退してしまい新ドラマーとして元テスタメントのジョン・デッティを加入させるも、すぐにポールが復帰します(なんと迷惑なw)。
そうした事件が影響したのかはわかりませんが、スレイヤーが遂に時代の流れに歩み寄ったと言えるのが本作 ” 悪魔の鎮魂歌(レクイエム) – Diabolus in Musica ” でしょう。
バンド初のダウン・チューニング(C#)やエフェクティヴなヴォーカル、つぶやくようなローテンションの語りなど、それまでのスレイヤーからすればかなり挑戦的かつ実験的な内容でした。
当然ながら「スレイヤーが遂にNuメタル化した」「スレイヤーがグルーヴ・メタルをやりだした」という声が沸き起ったわけです。
アルバム・ジャケットには初めてあのロゴ以外のSLAYER表記が成された事もファンを動揺させまくりました(筆者含む)。
実際、3曲目 ” ステイン・オブ・マインド ” や、6曲目 ” ラヴ・トゥ・ヘイト ” ではAメロから明らかにリズムがハネており度肝を抜かれますし(スレイヤーがヤってるから、ですが)、7曲目 ” デザイア ” のAメロではNuメタル然とした語りのような抑えたヴォーカルを聴く事となり、これもまた目玉が飛び出てしまいます。
これまでのトムが使ってこなかった歌唱法が取り入れられているわけですが、これをネガティヴに受け止めるのか否かは、人それぞれでしょう。
当時の「時代の空気」というものを知らなければ、今聴くとフツーにカッケーじゃんと思えるかもしれませんね。
批評家からネガティヴなレビューを受けたにも関わらず、Billboard 200では31位に達し、販売初週に46,000枚以上を売り上げました(2009年までに、米国で306,000部以上を販売!)。
◉ [album] God Hates Us All / SLAYER (2001)

“Darkness of Christ” Lyrics:King Music:Hanneman Length:1:30
“Disciple” Lyrics:King Music:Hanneman Length:3:35 ★
“God Send Death” Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman Length:3:45
“New Faith” Lyrics:King Music:King Length:3:05
“Cast Down” Lyrics:King Music:King Length:3:26
“Threshold” Lyrics:King Music:Hanneman Length:2:29
“Exile” Lyrics:King Music:King Length:3:55
“Seven Faces” Lyrics:King Music:King Length:3:41
“Bloodline” Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman, King Length:3:36 ★
“Deviance” Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman Length:3:08
“War Zone” Lyrics:King Music:King Length:2:45
“Here Comes the Pain” Lyrics:King Music:King Length:4:32
“Payback” Lyrics:King Music:King Length:3:03 ★
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Paul Bostaph – drums

さて、時代としては遅ればせながら、というタイミングでモダン化に突入したスレイヤーが次に発表したのが、この9thアルバムです。
前作で色々の意味でインパクトを与えた彼等は、より自分たちのスラッシュを進化させつつ、スレイヤーの形を少しずつですが時代と調和させているように感じられました。
楽曲面では、前作で大胆に取り入れたNuメタル的なラップ調の歌唱も引き続き活用しながら、バンドとしては初めての7弦ギターでのプレイを採用してもいます( ” Warzone ” や ” Here Comes the Pain ” )。
これは、20周年を前にしてなお、自分たちのスタイルに拘りながらも常に前進しようとするタフな精神の現れだったのではないでしょうか。
盟友リック・ルービンはエグゼグティブ・プロデューサーという立場に退き、当時新進気鋭だった ” マット・ハイド ” をメインのプロデューサに迎えたのも、3rd以来見られるスレイヤー流の新作に対する意気込みだった事でしょう。
マット・ハイドとの相性を確かめるべく、まずは一曲 ” ブラッド・ライン ” をレコーディングし、映画のサントラ(” Draculra 2000 ”)に提供しますが、この成果に満足したバンドは正式に次の新作のパートナーとして彼を選んだのでした(その後同曲は ” ゴッド・ヘイツ・アス・オール ” に収録)。
アルバム発売初週で約51,000枚の売上を記録、Billboard 200では最高28位に到達しています。
またカナダのチャートでは9位、2006年時点でトータル304,000枚の販売を記録、また収録曲の ” Disciple ” はスレイヤー初のグラミー賞(ベストメタルパフォーマンス)ノミネートが成されています。
◉ [check] Nascar : Crank It Up/ V.A (2002)

アメリカのカーレース団体NASCARのイメージ・アルバムに参加しています。まさかの、ステッペンウルフのあの超有名曲をカヴァー。もはや歌詞と曲構成くらいしか原曲の面影はありませんが、スレイヤー節炸裂でめちゃくちゃカッコいい音源です。
■4.スラッシュ帝王成熟時代
2000年直前に、突然のモダン化を果たしたスレイヤーは、しかしある事件をきっかけにして2006年発表のアルバムで原点回帰を果たします。
以来、様々な要素を取り込み不屈の「スレイヤー節」はより頑強さを獲得し、ラストアルバムまで突き進む事になります。
では最後の章をどうぞ。
◉ [album] Christ Illusion / SLAYER (2006)

“Flesh Storm” Lyrics:King Music:King Length:4:14
“Catalyst” Lyrics:King Music:King Length:3:07 ★
“Skeleton Christ” Lyrics:King Music:King Length:4:22
“Eyes of the Insane” Lyrics:Araya Music:Hanneman Length:3:23
“Jihad” Lyrics:Araya, Hanneman Music:Hanneman Length:3:31 ★
“Consfearacy” Lyrics:King Music:King Length:3:07
“Catatonic” Lyrics:King Music:King Length:4:54
“Black Serenade” (Alternate version in special edition) Lyrics:Araya, Hanneman Music:Hanneman Length:3:16 ★
“Cult” Lyrics:King Music:King Length:4:40
“Supremist” Lyrics:King Music:King Length:3:51 ★
“Final Six” (special edition bonus track) Lyrics:Araya, Hanneman Music:Hanneman Length:4:10
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Dave Lombardo – drums

ライヴ盤 ” ディケイド・オブ・アグレッション ” から数えて15年の時を経て、まさかのデイヴ・ロンバード復帰のニュースは、古くからのスレイヤー信者を興奮させました。
これは2001年に脱退したポール・ボスタフの代役としてツアーに参加した後に、2006年に正式メンバーとして復帰したという経緯でした。
デイヴはスレイヤーと袂を分かったのち、自分のバンド ” グリップ・インク ” を始動させ、2004年迄に4枚のアルバムを発表していますし、テスタメントやアポカリプティカにサポートとして参加したりプロジェクトを立ち上げたりと、かなり精力的な活動を続けていました。
その活動を見るにつけ、「もうスレイヤーには全然興味ないんだろうなあ」と身勝手なファン心理で残念な想いをしていたものですが、ここに来てまさかの復帰&新譜で全面参加。
しかし残念ながらプロデュースはリック・ルービンではなく、あの黄金期の再現とはなりませんでしたが、アルバムの出来栄えは見事の一言に尽きます。
収録された楽曲は、7弦ギターによるモダンなプレイは聴かれるものの、「まさしくスレイヤー」というべき1980年代的風合いを伴ったものばかりで、ファンを悶絶させます。
1曲目から無駄を削ぎ落したファストな曲で、いきなりガツンとブチかましてくれます。
こうしたピュアなスラッシュにスレイヤーが戻ってきてくれた事について、ファンとしてはどうしても「デイヴの復帰がその契機となった」と思いたくなってしまうものです。
そうした追い風もあってかセールス面でも大成功し、アメリカではBillboard 200最高5位に到達、バンドにとって初の全米トップ5入りを果たした記念すべき作品となりました。
収録曲「アイズ・オブ・ジ・インセイン」は遂にグラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門を受賞、バンドにとって初のグラミー受賞を果たしてもいます。
歌詞の面では、アルバム・タイトルからも容易に想像出来るように、地獄や悪魔などのファンタジーな世界観からは距離を置き、戦争やキリスト教などのリアルな社会問題へと深く踏み込んだ内容です。
これは前作の発表が奇しくも9月11日だった事も少なからず影響していると思われ、単純な宗教観での善悪を語る事なく、深く人間の心理を抉り出す内容になっています。
インドではこうした歌詞について抗議が起こり、インドの発売元であったEMIインディアは本作を回収・破棄した上で、「このレコードを再発する予定はない」と発表しました。
例によって前作同様ジャケットも講義を受けて、目隠しカバーがかかった状態になったりもしました。
如何にもスレイヤーですw
◉ [album] World Painted Blood / SLAYER (2009)

“World Painted Blood” Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman Length:5:53
“Unit 731” Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:2:39
“Snuff” Lyrics:King Music:King Length:3:42
“Beauty Through Order” Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman Length:4:36
“Hate Worldwide” Lyrics:King Music:King Length:2:52
“Public Display of Dismemberment” Lyrics:King Music:King Length:2:34 ★
“Human Strain” Lyrics:Hanneman, Araya Music:Hanneman Length:3:09
“Americon” Lyrics:King Music:King Length:3:22
“Psychopathy Red” Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:2:26
“Playing with Dolls” Lyrics:Hanneman, King, Araya Music:Hanneman Length:4:13
“Not of This God” Lyrics:King Music:King Length:4:20 ★
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Jeff Hanneman – guitars
Dave Lombardo – drums

デイヴの復帰で刺激を受けたバンドが、前作から3年のインターバルで2009年末に発表した10thオリジナル・アルバムです。
本作での特筆すべき取り組みは、レコーディング・スタジオに入る前にそれぞれメンバーが一人で作曲を殆ど済ませてきたスタイルを変更し、2004年から9曲のデモ・レコーディングを経て、2005年に本制作的なレコーディングが開始、スタジオ内で曲を完成させていくスタイルで制作を進めたのだそうです。
前作同様、ストレートなスラッシュ・ナンバーがズラリと居並びますが、新しいアプローチもしっかり組み込まれています。
6曲目 ” パブリック・ディスプレイ・オブ・ディスメンバーメント ” ではデイヴにしては珍しいブラスト・ビートを聴く事が出来、曲全体を通してもデス・メタル的なアプローチの曲ですし、また8曲目 ” アメリコン ” では、ハードコア・パンク由来を思わせるシンプルで直情的な楽曲に仕上げています。
11曲目 ” ノット・オブ・デス・ゴッド ” のブリッジ部分では、バンド ” カテドラル ” のようなハネたスロー・グルーヴがカッコイイですね(個人的趣味)。
billboard 200で最高12位に到達、雑誌「ビルボード」のハード・ロック・アルバム・チャートで2位、ロック・アルバム・チャートでは4位をマークしました。
◉ [album] Repentless / SLAYER (2015)

All tracks are written by Kerry King, except where noted.
“Delusions of Saviour” (instrumental) Length:1:55
“Repentless” Length:3:19 ★
“Take Control” Length:3:14
“Vices” Length:3:32
“Cast the First Stone” Length:3:43 ★
“When the Stillness Comes” Length:4:20
“Chasing Death” Length:3:45
“Implode” Length:3:49
“Piano Wire” Lyrics:Hanneman Music:Hanneman Length:2:49
“Atrocity Vendor” LyricsAraya, King Length:2:55
“You Against You” Length:4:20
“Pride in Prejudice” Length:4:14
「★」は筆者オススメ・トラック
Personnel
Tom Araya – bass, vocals
Kerry King – guitars
Gary Holt – guitars
Paul Bostaph – drums

遂にここまで来ました。
現在最新作にして最終作が本アルバムです。
前作発表後まず、2013年2月20日にデイヴが再びスレイヤーを脱退し、後にグリップ・インクの再結成準備を進めている事が報じられました。
後任にはポール・ボスタフが復帰します(何度も同じバンドに復帰する事が多いバンドという事になりますが、人間会計が良好であった証拠なんでしょうね)。
続く2013年5月2日にジェフ・ハンネマンが肝不全により49歳で死去してしまいます。
新たなギタリストにはバンド ” エクソダス ” のギタリストでありメイン・ソング・ライターでもある ” ゲイリー・ホルト ” が迎えられました。
ジェフが亡くなる以前から、ジェフがステージに立てないライヴでヘルプ・ギタリストとして、スレイヤーと主にプレイしていたんですね。
アルバムの制作時、作曲の面でゲイリーはほぼ関与せずほぼ全ての曲をケリー一人で書いたのですが、唯一9曲目に収録された ” ピアノ・ワイヤー ” だけは、ジェフの作詞作曲です。
アルバムの内容は、正にスレイヤーの集大成的内容で、タイトル曲をはじめとするストレートなスラッシュ・ナンバーに加えて、分厚い音像のヘヴィ・ナンバー、ハードコア・ナンバー、が一切の無駄を削ぎ落した最高の形で繰り出されます。
billboard 200でバンド史上最高の4位に到達、その他10ヵ国以上のチャートでスレイヤーの史上最高位を更新しましたが、2018年にバンドは、当時のツアー終了(2019年末)をもってスレイヤーとしての活動を終了させるという発表を行いました。
2019年3月には、日本のメタル系フェス「DOWNLOAD JAPAN 2019」に出演し、多くのファンの前で来日最後のショーを見せてくれました(筆者はこのラスト・ライヴを現地で体感しましたが、ファンの一体感と鬼気迫るプレイとの相乗効果で、凄まじい空気感が生み出されていたのを覚えています)。
そして同年11月、カリフォルニア州の最終公演をもって活動停止、38年間に渡るスレイヤーの歴史に幕を閉じたのでした。
■最後に
彼等はその後、ケリーのソロ活動を経て、再結成を果たしています。
2024年2月22日、約5年振りに復活しヘッドライナーとしてライヴを行なうことを正式に発表したのち、2024年9月22日に「ライオット・フェスト」で2019年の解散後初となるライヴを行いました。
ただ、アルバム発表の予定はアナウンスされていないんですよね。
これは気長に待ちたいと思います。
スレイヤーについては、まっだまだ書きたい事が山盛りあるのですが、全アルバムを振り返るというコンセプトのエントリでしたので、出来るだけアルバム単体について的を絞りました。
そして案の定かなり長いエントリとなってしまいました。
ここまでお付き合いくださいました皆様、お疲れ様でした & お読みいただきありがとうございました。
スレイヤーについては、またいずれ違う切り口で文書を書きたいと思います。■■
