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カラちゃんとシトーさんと

もう、これが見たかった。
こういうのが、見たかった。

——が、全部詰まってた。

岩本照なのに、岩本照じゃない。
ちゃんと、「カラちゃん」。

松田元太が演じるシトーさんも、
ちゃんとシトーさん。

どっちも、大好き。



正直に言ってしまうと、
これまでの岩本さんが出ていた恋愛系のドラマや映画は、
少しだけ、観ていて辛かった。

主役のキャラクターが、
“岩本照というキャラクター”の記号を強調する方向に、
寄せられすぎているように感じて。

キャラクター解釈は悪く無いけど
これ、あまりにも原作無視してて
原作に対して失礼じゃないか、とか。
ヒロインのファン、これ観てしんどくない?
とか。
岩本照の魅力って、そんなもんじゃなく無い?
とか。
結果として、
「所詮アイドル映画・ドラマ」みたいな着地になるのが、
どうしてもしんどかった。

岩本さんの演技のポテンシャルって、
本当はこんなもんじゃないだろ、って。
勝手に思ってしまうくらいには。

だって。
ダンスを見てれば、わかる。
自分自身のキャラクター要素を
切り売りしなくても
あの人はその作品の世界を深く理解して
没入して表現すること、を
ちゃんとできる人だから。



記号的な、“脚本家や消費者の理想の彼氏”
としての岩本照。

それが少しでも滲むと、
物語に入りきれなくなる。

多分これは、誰のせいでもない。
作った人でもないし、求める人でもないし、
ましてや岩本さんでもない。

ただ、私が厄介な岩本担だからだと思う。

私の中の“理想の岩本照”が、
私じゃない誰かの相手として最適化されて、
いちゃついているのを見るのが、
ちょっとだけ、痛い。

——まあ、限界オタクなんてそんなもんである。

「このキャラはこういうキャラ!!!」
を押し付けられると、スン……と引いてしまう。

だって、担当には担当の中の
“最高の推し”が絶対に存在しているから。

いわゆる、「解釈違い」というやつだ。

キャラ推し作品そのものが嫌だったわけではなく、
“キャラの使い方”もしくは"原作の使い方"に違和感があったからかもしれない。

彼は本来、内側から行動が成立するタイプの人間だ。
だからこそ、「こう見せたい」が先行した瞬間に、
キャラクターではなく“演出”が透けてしまう。

素材が強いからこそ、
使い方には、もう一段の精度が必要だったのだと思う。

恋警護は、演出がベタ過ぎてキャラ作品のはずなのに本来の良さがテンプレで終わっている。
モエカレはキャラの使い方は良かったのに
原作の物語の流れがその分犠牲になってる。
そこら辺が、めちゃくちゃモヤるポイントだったのかもしれない。

それともやはり最推しゆえの解釈違いなのか。
わからない。なんか悔しい。



でも、
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンは、全然違った。

めちゃくちゃ好きだった。

ベッドシーンもあるし、キスもあるのに、
そんなこと、どうでもよくなる。

それよりも——

ブレンダが、可愛い。
これは好きになる、と思えた。

“人として好きになる”という感覚が、ちゃんとあった。

そして何より、

この人が好き。
楽しい。
幸せ。

その“生の熱量”が、
オタクのちっちゃい嫉妬心なんて、全部吹き飛ばしてきた。

さらに言えば、
フランクという役が過剰に岩本照へ寄せられていないのも、良かった。

「ああ、このキャラクターなら、そうする」

そう、素直に思えたから。



ずっと思っていた。

岩本照は、ちゃんと演技できるのに、と。

岩本さんのために整えられた舞台じゃなくても、
ちゃんと“役として生きられる人”なのに、と。

同時に、凄いなぁって思ったのが
それだけ表現者としての
プライドも持ってる人なのに
自分自身の魅力を知ってもらう為に
わかりやすいテンプレの中に自分を入れる事も
全く恐れない、岩本さんの強さ。
これって、自分自身を商品だって
ちゃんと落とし込めてないと、出来ない事。

だから、切なかった。
私は表現者の岩本照が本当に,本当に
大好きだから。



だから。

カラちゃんとシトーさんを見て、
本当に嬉しかった。

やっと、
“役として生きてる岩本照”に会えた気がした。



恋愛というファクターがない分、
役の中で自然に生まれる感情に、ちゃんと集中できたからだろうか。

理想だけじゃない、
岩本照自身の解釈を通った「カラちゃん」が、そこにいた。



もちろん、これまでの作品を貶したいわけではない。

これは本当に、ただの好みの問題だと思う。

辰之助も、蛯原さんも、
ちゃんと“岩本照が解釈したキャラクター”だった。

ただ——

全体の見せ方がどうしても、
「岩本照の魅力を引き出す」ことに寄っていて、

“物語としてのキャラクターの美しさ”が、
少しだけ後ろに下がってしまっているように感じた。



想像の余白が、足りない。

余白のある作品を、こよなく愛している私には、
どうしても刺さらなかった。



ああ、原作もちゃんと読もう。

カラちゃんとシトーさん。
大好きな作品が、また一つ増えた。

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